第85話「出会い、恋の予感」
卒業パーティーが終わった翌々日、カツヒロ宛に一本の電話がかかって来た。
「もしもし、上村と申しますが、武藤さんですか?」
受話器を通して明るい女性の声が聞こえてくる。
「はい、そうですが・・・。」
「突然の電話で申し訳ございません。私、武藤さんがメルボルンに留学していた時のお友達の阿部さんからこの電話番号を教えて頂いたんです。実は私の弟が阿部さんとお付き合いしていて、私がワーキングホリディでオークランドに行くと言ったら、友人でキウイエアラインに勤務している友人がいるから、連絡先を教えてあげると言われて、それで、お電話したんです。」
「あっ、そうなんですか。阿部ちゃんの紹介だったんですね。」
「ええ。もし、良かったら一度お茶でもしませんか?実は私、こちらにやって来てまだ、5日しか経っておらず、お友達もいないんです。英語もそんなに出来るわけでは、無いので、武藤さんのような方にお友達になってもらえたらとても嬉しいです。」
「はい。もちろん良いですよ。良かったら、今晩ごはんでも一緒にいかがですか?実は、明後日から10日間のロンドン乗務があるので、お急ぎでなければ、2週間後でも良いですが。」
「そうですか、良いですね。是非、行きましょう。実は、今、NZ人とイタリア人の家庭にお世話になっているんですが、もう一人、日本人の女性がいるんですが、彼女も連れて来ても良いですか?」
「ええ、良いですよ。それなら、私も先輩の男性フライトアテンダントとフラットシェアしていますので、先輩を誘っていますね。よかったら、電話番号を教えて下さい。30分後にこちらからかけ直しさせて頂きますので。」
カツヒロはそう伝えて、電話を切った。
カツヒロはその日、地上勤務が休みだったら自宅に木村に事情を説明して、一緒にディナーに行こうと誘った。
「先輩、私の友達の知り合いの女性からさっき、電話をもらって、一緒にご飯を食べようと誘われまして、もう一人、女性が来られるそうなんで、一緒に行きませんか?」
木村は40歳の独身男で、特に特定の女性とは付き合いはないようだった。
勝弘にしてみたら、12歳上の先輩CAの女性関係を聞くのは聞きづらい点もあったが、あえてその点は聞かなかった。
「うん、いいよ。私が知っている美味しい焼肉屋があるから、そこに行こう。」
「はい。よろしくお願いします。それでは、6時にパーネルで待ち合わせと言うことで連絡しておきますので、よろしくお願いします。」
・・・・・
その頃、上村由紀恵は、おなじステイ先の先輩同居人、関根さとみに、カツヒロたちキウイエアラインのCAと一緒に夕食に行こうと誘っていた。
「さとみさん、今晩、時間あります?」
「はい」
「実は、弟の彼女の友人と言う男性と会って食事をする事になったのですが、良かったら一緒に行けませんか?なんだか、美味しい焼肉屋さんをしっているそうで、向こうはフラットシェアをしている先輩と一緒と言う事なんですが。」
「え~、そうなんですか?たまには焼肉なんていいですよね。ところで、相手はどんな方なんですか?」
「正直な所、私も良く知らないです。実は今回が初対面なので・・・。」
「そうなんですか?どんな人が来るのか、ちょっと楽しみですね。なんだか、ブラインドデート見たい。」
「そうなんですよ。でも、弟の彼女がメルボルンにワーキングホリデイ中にスゴク仲良くしていたらしく、とても頼りがいがあって、良い人だから、何か困ったら彼に相談すると良いよ。と言っていたんです。私、オークランドに来たばかりで、お友達もいないから、誰かお友達が欲しいと思って電話してみたんです。」
「あっ、そういう事だったんですね。分かりました。では、一緒に行きましょう。」
その日、関根は勤務先のイタリアンレストランのオーナーの気まぐれで偶然、休みをもらい暇を持て余していたので、上村の提案を素直に受け入れた。
関根は上村より1年近く前からオークランドにワーキングホリデイでやって来た。当初の予定では1年間、滞在したら日本に帰国するつもりでいたが、ニュージーランドのライフスタイルを気に入り、滞在を延長することにした。今はイタリアンレストランのオーナー夫婦の家でベビーシッターをしながら、レストランも手伝っていた。
「ねえ、ゆきえさんて、何でまた、ニュージーランドにワーキングホリディで来ようと思ったの?」
「そうですね、日本だけなくて世界を見てみたいと思った事と実は私、半年程前に離婚して・・・。色々と落ち込んでいた時期もあったんだけど、どうでも、いいやって、思っちゃって。」
「えー、そうなの。嫌の事聞いちゃってたらゴメンね。」
「うーうん、別に気にしなくて良いです。未だ完全に吹っ切れたワケじゃないけど、浮気した彼から、100万円程の慰謝料をもらったから、人生やり直そうって思って、オークランドに来ちゃったんだ。だから、思いっきり楽しもうと思っているよ。」
つづく。
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