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第78話「トレーニング最後のテストに向けて」

新人CAトレーニング5週目の月曜日、

制服姿のカツヒロがトレーニングセンターの駐車場からセキュリティゲートに向かって歩いて行くと、カツヒロ達より4週遅れで入社した新人乗務員の女性が一人がスーツ姿で歩いていた。

彼女の表情からとても凄く緊張している様子がうかがえる。まるで4週間前の自分を見ている感じがした。

カツヒロはこの4週間、自分が進んで来た道をしみじみと思い出した。

FA物語:FAトレーニングセンター前

とりあえず、4週間、何とかやってこられたから、今の自分がいるだな。第1週目の最初のテストで90点を取れなくて、ジャスティンと一緒に再テストを受けた時は本当に落ち込んだ。あの時は自分がここにいる事が本当に許された人間なのか?って、真剣に落ち込んだ。
だけど、自分はここに来るために4年近く海外留学をして英語力を磨き、絶対にCAになるんだって強い気持ちでたくさんの航空会社に応募して不合格経験を乗り越えて来たから、こんなところで、いつまでも弱音を吐いている暇はないと奮起した。幸いフラットシェアをさせて頂いている先輩CAの木村、そして仲間思いのクラスメイトがいつでも助けてくれたら、厳しかったEP(emergency procedure)トレーニングも乗り越えられた。

本当に自分が何とかここまでこれたのは、支えてくれた皆様のおかげだ。そう思いながら、これから5週間のトレーニングが始まる少しだけ後輩の女性に心の中でエールを送った。

「頑張ってね。きっとトレーニングは楽ではないけど、やり遂げた時の自信と達成感は何モノにも代えられない素晴らしい宝物になるはずだから。」

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教室の中に入ると、先に来ていたアメリアが話しかけて来きた。

「ねえ、カツヒロ、週末はどんなことしたの?」

「俺、昨日、車を買ったんだ。」

M4.カツヒロ

「えー、スゴイじゃん。どんな車なの?」

「ホンダのドマーニ、色はシルバーなんだ。」

「へー、そうなの。私、あんまり車の名前は詳しくないけど、何だかかっこよさそうな車だね。今度、その車を見せてちょうだいね。」

「うん、いいよ。」

カツヒロは自分の車の事を褒められたようだったので、朝から気分が良かった。アメリアとはこれまで、何度かグループワークやペアタスク等で接点はあったが親しく会話した事はあまりなかったので、声をかけてもらえて嬉しかった。

「そう言う、アメリアは何したの?」

「私は久々にヨガをしたわ。時々、無性にヨガをしたくなるだけどね。」

「へー、そうなんだ。何時もランチの時に野菜ステックを食べてるけど、とっても体のケアをしているんだね。」

「そうね、まあ、ランチは作るのが面倒だから、夜にまとめて野菜ステック作って置くだけなんだけどね。」

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いつものようにインストラクターのミッシェルが笑顔を振りまきながら、教室に入って来きた。

「皆、週末は何していたの?」と言った西洋人が良く、月曜日に尋ねる質問をした後、一人ずつ、簡単にその質問に答えた後、機内サービストレーニングのグループメンバーが発表された。

「第1組はジェームズ、キャシー、アンディ、カオリ、レイチェル、アメリアの6人です。そして、今、名前が呼ばれなかった残りの6人は第2組になります。これから、10分間時間をあげるので、グループ毎にリーダーと水曜日に実施するサービス実技トレーニングのポジションを決めて下さい。」

カツヒロは第2組でメンバーはジャスティン、ジェーン、ケイト、スーザン、サラと一緒のグループになった。話し合いの末、第2組では乗務経験のあるケイトがチーフをする事になりました。

機内モックアップ

※サービス実技トレーニングを行う、モックアップルームのイメージ

それぞれの役割分担は

①ドリンクカートのセッテイングとドリンクを担当スーザンとカツヒロ。

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②ミールカートへ温めたミールを積み込む担当はジャスティン(ギャレー担当)

③サラとジェーンはミールカートを担当

④離陸前のセーフィティデモンストレーションは、チーフのケイトがPAマイクで読み上げ、残りの5人が左右と真ん中に分かれてデモをする事になった。

67.セーフテイ・デモ

役割分担が決まった後、全員でB747のエコノミークラスの座席が6列セットされているモックアップルームに移動した。

本番の機内サービステストが行われる水曜日は、実際に座席番号が記載されたボーディングパスも用意されるから、外部から招待されたお客様(キウイエアラインの関係者)を座席まで案内したり、離陸前のシートベルトのチェックや荷物の収納確認もする。

このモックアップルームで行う機内サービステストが実質上、最後のテストになる。だから、しっかりとDutyをこなせるように、皆、一生懸命に練習をした。

つづく。

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