「できない」のと「できるけどあえてやらない」のは全く次元が違う
ステージングについてちょっと話をしたいのですが、ステージ上でパフォーマンスをする時には「魅せる」ということを意識しなくてはなりません。
表現者として「歌う」だけでなく、手振りや身振りなど、体を使って表現することが必須となります。
ダンサーと共に動きを見せるステージや、振り付けがある場合は事前にリハーサルを積み重ねなければなりませんが、そうでない場合でも、事前にステージングのために時間を割いて準備することです。
場数を踏むことで習得できることももちろんありますが、できればステージに立つ前に、どんなふうに表現するのか、どんなふうに魅力的に見せるのか、ステージングを意識しておくことは必要です。
ステージではしっとりと、あまり動きがない感じでやりたいというのもアリなのですが、ここで知っておいて欲しいのは、「できない」のと「できるけどあえてやらない」というのでは、見え方が全く違うのです。
その昔、とあるベーシストにステージでのアクションを考えて欲しいとリクエストしたことがあります。
ほとんど動かずに手元ばかり見て弾く姿は、あまり格好の良いものではありませんでしたから。
彼が言うには、ステージではクールでいたいと。
もちろんそういうコンセプトで演奏するのもOKなのですが、「動けないからクールに」というのと、派手な動きもできるけど、「あえてクールに演奏する」のとでは違うということを理解してもらいました。
ステージに立つ以上、華がなければなりません。
オーラという言葉に置き換えることもできますが、存在感を示すことができなければ、ステージ全体が絵面として死んでしまうのです。
ステージは、参加するメンバー全員でつくるものです。
例えば10人のメンバーがステージにいるとして、そのなかでたった一人でも華がないというか、魅せるということに意識が向いてないメンバーがいたらアウトなのです。
ライブでは、お客さんに対しておもてなしをするつもりで、歌や演奏をバッチリ決めることはもちろんのこと、ステージングに関しても意識を向けましょう。曲順だけ決めて、あとはなんとなくMCで繋いでという簡単なものではなくて、トータルでの流れも考えつつ、ショーとして楽しめる内容にすることで、楽曲の印象もよくなるし記憶に残るライブになります。
その結果、CDやグッズなどの売り上げにも直接影響しますから、ぜひ!演出や構成、ステージングに意識を向けて欲しいと思います。