「うまい歌手」と「いい歌手」はちがう
常日頃から、歌は技術より伝わるかどうかが大事ということを言っていますが、役者も同じです。
以下、マーケティングコンサルタントの藤村正宏さんのブログを読んで、とてもわかりやすかったので一部転載します。
よく芝居の稽古で「伝わってねえよ!」という言葉が出てきます。
伝わらない。
うまい役者といい役者はちがうってこと。
演技がうまい人っています。
訓練したら、みんな演技はうまくなる。
演技がとっても上手。
何をやらせても、上手にこなす。
でも、ぜんぜん伝わらない、存在感のない役者。
一方で、演技は下手くそなんだけど、とっても存在感のある、伝わる役者。
こういう人は稽古をしているうちに、すごい演技をするようになる。
その違いは何かというと、自分を隠さず、裸で演じているかどうか。
これなんです。
舞台の役者っていうのは、この覚悟があるかどうかで、伝わり方がまったくちがうのです。
隠しごとのない演技。
自分を目一杯出す。
役を利用して、自分を表現すること。
これが「伝わる」か「伝わらない」かの差になるのです。
演劇を創り続けているうちに、そういうことを学びました。
舞台に立つということでは歌手と役者は似ているところがたくさんあります。
歌に「自分」を出せているか、歌を利用して「自分」を表現することができてるかどうか、ということがとても重要なんです。
どうすればもっと上手に歌えるようになるのか、ということにこだわる気持ちもわかります。
まぁそれは当然のことなのですが、そこばかり気が向いてしまうのは、やはり本質をつかめていないと言わざるを得ないでしょう。
表面的なところばかり取り繕っても、人を感動させる歌にはなりません。
その空間の空気を一瞬にして変えてしまうような存在感がある人は、やはり歌に魂がこもっているし気迫が違います。
「いい歌手」のステージや、「いい役者」の舞台を観ることで、ぜひその感覚を身につけていってください。