ポケットおじさん VS 不良中学生

空き地

おい、サトシ
あのおっさん連れてこい

長山と大島がやる気満々な感じだ。
大島はバットで素振りの練習してる
「ポケモンおじさんがやられちゃう!」
頭が真っ白になるサトシ
大人にとって不良は子供に過ぎない、だが
子供にとって不良はめちゃくちゃ怖い存在なのだ!

大人が暴力団組事務所に連れて行かれ周りをヤクザに囲まれる感覚に近い

呼べといわれたら呼ぶ以外に選択肢がないのだ。

家に帰ったサトシは押し入れからダンボール箱を取り出した
あの臭いオッサンボールはビニール袋に三重に包んでダンボールに保管してあるのだ

はやくオジサンをもっていかないと自分がやられてしまう
サトシは恐怖で頭がいっぱいなのだ。

ぷわ〜ん

「うわっ くっさっ!」 
酸化した皮脂とアルコールと炭酸飲料が混ざったようなオッサンボールの臭いに耐えながら壁に投げつける

ボンッ 煙とともにオッサンが現れる

「いたっ!いたたたた な、何するんや!」
「ああ、サトシくんか 話はわかった」

現れた瞬間に全てを理解するオッサン
サトシはこの人は不思議な人智を超えた存在なのだと子供ながらに思った

「サトシくん 何も怖がらなくてええで オジサンからみたら中学生なんて子供やからな」
オジサン特有の威圧感のある野太い安定した声を聞いてサトシの不安がやわらいだ
「サトシくん いこか」
夕暮れの道を二人で歩く オジサンとサトシ

「サトシくん ええか 人間は強くならないとあかん 世の中にはいろんな人間がおる 良い人もいれば悪い人もおる 
良い人だけと付き合えたらいいけど、どんな人に出会うかなんて運やからな運が悪いと悪人と付き合わないとあかんようになる」

「だから悪い人間に悪いことされないようにするにはどうすればいいのか覚えていかなあかん」
「悪い人間の言うことは聞いたらアカン 弱みをみせたらどんどんつけあがってくるで」
小学生のサトシは考えたこともなかった話で深く理解することはできなかったが
オジサンが自分のことを親身になって考えてくれてることだけはわかったのだ。

空き地がみえてきた。

オジサンはどんどん歩いていく
その背中を追いかけるサトシ
ついさっきまで恐怖でパニックになっていたサトシ
今は何も怖くなくなってることに気づく

長山と大島がこっちをみてる 大島は威嚇するかのようにバットをくるくる回し始めた。

横からオジサンの顔を覗き込むと
オジサンは完全にビビっていた。
オジサンの手は小刻みに震えてる

中学生にしては大柄でしかもバットを振り回してる
何するかわからない中学生だから逆に怖いというのもあってオジサンは当初の勢いは消え去っていた。

長山と大島はオジサンが怖じけづいてることを瞬時に見抜いた。
長山「おい、おっさんコラ 調子のんなハゲコラ」
大島「殺してまうぞ」大島はバットで殴るフリをする
オッサン「ひ」か細い悲鳴をあげて手で頭をかばうオジサン

長山と大島「ぷーっwww 」「ひ だって〜wwww」「ぎゃはは」
笑われるオジサン

サトシの前で笑われたことでオジサンのプライドは傷つけられた。
何とかこの状況を挽回せねばいけない

おじさんにはサトシのことを気にする余裕なんてなかった。

「ははは キミら体大きいな〜 おじさん怖いわ〜 ははは」
オジサンはひきつった笑顔で気味の悪いお世辞をいいだしたのだ!

完全に勝利を確信した長山、オジサンのクビをツカミ押し倒した!

ジャリッ!オジサンは砂に押し倒され
顔を地面に押し付けられた。

「うぐぐぐ」苦しそうな表情のオジサン
オジサン「うぐぐ、ごめんなさい ごめんなさい」

大島がオジサンの顔面を蹴り上げる
オジサン「ぐっ」
口の中を切ったのだろうオジサンの口から血が流れ出す。
長山「なめたらあかんぞおっさん 今度でてきたら殺すからな」
悔しそうな顔で倒れたままのオジサン
辺りは暗くなっていた。

長山と大島はバツが悪そうに帰っていく

サトシはただただオジサンのことが心配だった
サトシ「大丈夫?」

オジサンは立ち上がりファイティングポーズを決めてこう言い放った!

「よっしゃー!あいつらの顔は覚えたで〜!」

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