三年ぶりのポケットおじさん

サトシは押し入れの奥からホコリの被ったダンボール箱を、取り出した。

あの出来事から3年がたっていた。

サトシは小学校五年生になっていた。

あの出来事が起きてから夏休みの宿題が終わってないときや風邪を引いたときオジサンを召喚しようと一瞬思ったことはあったが嫌な記憶がよみがえり
オジサンに頼ることを諦めていた。

この日は熟慮したうえでの決断だ。
迷いはなかった。

というのもお腹が空いて仕方なかったからだ。
いつもは学校にいく時間ギリギリまで寝て朝食を食べずに学校に行き給食を食べて家に帰ったあと夕食をとる。

しかし母は最近、夕方になってもコンビニのパートから帰ってこないことが増えてきたのだ。
いつもは母が遅くなるときは作り置きしてあるのだがこの日は何もなかった。
さらに今日は学校が午前中までで給食もなかった。
いつも棚に置いてあるカップラーメンすらなかったのだ。

朝から何も食べてなかった。
成長期、食べ盛りのサトシ、これまでの人生で経験したことないひもじさなのだ。

ボンッ 煙とともにオジサンが現れた

「あ、いたたたた」
壁にぶつけられた痛みに顔を歪ませるオジサン

3年ぶりにみるオジサンは以前より痩せて黄色っぽかった皮膚は黒ずんでいた。

オジサン「ああ サトシくんか偉い久しぶりやな」
オジサン「まかせとき オジサン今日はええもん食べさせたるで」
オジサン「サトシくん えらい大きなったなあ 中学生なったらオジサンの背追い越してしまうのとちゃうか?」
オジサンは上機嫌だった。

サトシ「ええ!本当に!」

オジサン「ビックリドンキーいこか?」
サトシ「うん!」

やっぱり大人だお金持ってる!サトシは思った。

〜ビックリドンキー店内〜
オジサン「何でも食べたいの食べや〜」
人生で、はじめての空腹状態のサトシにはメニューのハンバーグの写真はよだれがたれそうになるほど美味しそうにみえてる

喜びでいっぱいのサトシは特大のハンバーグ300グラムの他にジュースやスイーツなどいろんなモノを注文した。

オジサンはちょっと不安そうな顔をしたがオジサンは上機嫌だ。
オジサンはコーヒーを、いっぱい注文した
サトシ「オジサンは何も食べないの?」

オジサン「オジサンもう食べてきたわ 遠慮せんと食べてくれてええで いっぱい食べて大きならなあかんで サトシくん」

サトシ「うん!」

でてきたハンバーグをご飯ごとかきこむサトシ
それだけお腹がすいていたのだ。

オジサン「ええ食いっぷりや〜 」笑顔でコーヒーを飲むオジサン
まるでほほえましい生活保護の父親と子供のようだ。

会計をすませ幸せそうにビックリドンキーをあとにする二人

「それじゃあまたな、オジサン帰るで 元気でな サトシくん」
どことなく寂しそうにそう言うとオジサンはボールに戻っていった。

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