「医療現場の清浄と滅菌」誕生の逸話
私が、「医療現場の清浄と滅菌」(原著名:Sterilization of medical supplies by steam)を知ったのは、2010年11月、ドイツ、デュッセルドルフで開催していたMEDICA会場でした。
著者であるJanさん(Jan Huijs氏)があるメーカーのブースに自著のPRに来ていたところに行き合わせたのです。
Janさんの熱弁を隣で耳にしていると、本の内容がとても気になり、その場で思わず一冊35ユーロで本人から購入してしまったのでした。
ホテルに戻りその本を開いてみると、図説が多数用いられ、丁寧に、中学生卒程度の学力でも、理解できるように分かりやすく蒸気滅菌について解説されています。さらに、滅菌にばかりでなく、洗浄や包装等、中央材料室全般の業務についても容易な言葉で綴られています。
私は、これは凄い本だと思いました。なぜなら、当時、中央材料室で勤務する人が、ご自分たちの業務がどのような根拠に基づき行われているのか、明快に解説した本というものが日本にはなかったからです。
それが、Janさんと私との長い付き合いの始まりでした。Janさんと翻訳、版権につき契約を交わし、医療関係を得意とする出版社をまわって、6社目でようやく中山書店専務であった梅村氏に巡り合い、「医療現場の清浄と滅菌」を出版することができたのでした。
今回、同書をネットで公開するのは、中央材料室で働く方は相変わらず、洗浄、滅菌、包装などの業務に確信を持てない方が多いように思われるからです。
中央材料室の業務を知りたい方や、何か疑問を感じた方はぜひ、本書を手にしていただきたいと思います。
株式会社名優
代表取締役社長 山根貫志