ブルーボトルコーヒーで名乗ること
建築が素晴らしいと話題の南禅寺の近くにあるブルーボトルコーヒーに来た。
ブルーボトルコーヒーは東京にも店舗があるが、コーヒーが飲めないのと、(私にとっては)少し敷居が高いのでなかなか行かないお店だ。
注文を終え、席に着こうとすると
「お名前でお呼びしますので、お名前を教えていただけますか」
とのこと。
この何気ない一言に私は逡巡してしまう。
はて、この場合店員さんにどんな名を伝えるのが正解なのだろう。
苗字は鉄板だ。
しかし、私の苗字は西山という割と平凡な苗字。
もしかしたら他に西山さんがいたら店員さんも困るのではないか。
そしたら名前?
いやいや、スタバじゃあるまいし。
そんなフレンドリーな感覚で名乗られても、店員さんに苦笑いされてしまうのではないか。
う〜ん、フルネーム?
と思ったが、何だか自意識過剰のようだし、店員さんに長い名前を覚えさせるのは申し訳ない。
「西山と申します。」
めちゃくちゃ固いが社会人として鉄板な挨拶だ。間違いない。
ただ注文をしただけだが、何だかどっと疲れ、席に着く。
他の人は何て名乗るのだろうと、カウンター脇で耳をそばだてていると、大体の人は苗字で呼ばれていた。
なんだ、これが正解だったわ。
しかし、中には下の名前で呼ばれる人もいる。
「ゆい様〜」
駆け寄ってきた人に目を向けると、ポニーテールを揺らせている元気な高校生だった。
名を名乗るだけでこんなに悩む人もいれば、何の迷いもなく名乗る人もいる。
あぁ、こんなことでウジウジ悩む自分は、なんてめんどくさい人間なんだ。
でも、こんなことで30分も時間を潰せるのは、まぁ悪くない。