マジックの本を称賛するだけの文章(Drawing Room Deceptions)
注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。
タイトル: 『Drawing Room Deceptions』
著者: Guy Hollingworth
出版年: 1999年
ジャンル: カード
『Drawing Room Deceptions』はGuy Hollingworth 氏が1999年に発表した書籍で、Guy Hollingworth氏のカードマジックを紹介した作品集となっています。
Guy Hollingworth氏は英国のマジシャンで、非常に独創的なマジックをすることで知られています。Guy Hollingworth氏のマジックをまとめた書籍は数が少ないため、この1冊はとても貴重なものとなっています。
本書はカードマジックに特化した書籍であり、彼の独自のアイディアを章で分割したものとなっています。つまり、各章には異なるアイディアが紹介され、そのアイディアに基づいたマジックが紹介されています。有名なもので言えば「Waving the Aces」や「Reformation」であり、彼の代名詞とも言えるマジックが掲載されています一方で、あまり知られていないアイディアや作品も掲載されています。その中でもおすすめなものが第3章や第5章に書かれているアイディアです。その詳しい内容まではここで言えませんが、どちらも他の書籍では目にしないものであり、ある意味では尖ったアイディアをうまく昇華した作品が紹介されています。また、途中の「インターバル」と名前のついた章では彼のスライトが紹介され、第6章では他の章には分類できなかったものが紹介されています。その中でも今回は「Three Cards Under a Box」と「The Cassandra Quandary」についてコメントしたいと思います。
「Three Cards Under a Box」はカード・アンダー・ザ・ボックスのプロットですが多くのバリエーションとは異なり、演技に必要なスペースが最小限となっていることに大きな特徴があります。また、3枚のカードが選ばれることにも意味があり、手順全体が一つの大きな流れになっています。現象もバラエティに富んでいて、良い構成となっています。一般的な手順と一味違ったものを求める方にはとても刺激的な作品になっています
また、「The Cassandra Quandary」はギリシャ神話に出てくる悲劇の予言者、カサンドラをモチーフにしたマジックです。カサンドラは予言者でありながら、「その予言を誰も信じないように」という呪いをかけてしまう人物です。この人物になぞらえて、作品の中でも同様に予言を信じられないような状況が作り出されます。そのため、ある意味ではOpen Predictionのような状況になっているのですが、あり得なさそう(improbable)であるのではなく不可能(impossible)であるという点に大きな違いが存在します。この過程はとても魅力的であり、他のプロットの中でも同様のモチーフを連想させることができるのではないかと思います。そういった意味でも、本作品は刺激的で持っている人にはおすすめの作品となっています。
この本のもう1つの特筆すべき点は、本書全体に英国的なウィットや遊び心が散りばめられている点です。本書は本を読む中でも楽しい「対話」を強く感じる書籍となっています。それはプロローグから始まり、エピローグに至るまで飽きることがないようになっています。
まとめると、『Drawing Room Deceptions』はGuy Hollingworth氏のウィットに富みながらも、彼の知性と独創性を大いに楽しめる書籍になっています。
以上が『Drawing Room Deceptions』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。