マジックの本を称賛するだけの文章(Card Fictions)

注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。

タイトル: 『Card Fictions』
著者: Pit Hartling
出版年: 2003年
ジャンル: カード

『Card Fictions』はPit Hartling氏が2003年に発表した書籍でPit Hartling氏のマジックの中から7作品が掲載されています。

これぞ、良書と呼ぶべき完成度を持った書籍です。発表からすでに20年が経過していますが、いまだに発表から色褪せない魅力を持った本であることは間違いありません。紹介されている作品はどれも良質であり、素晴らしく構成された手順になっています。また、作品に加え、彼のエッセイもこの本の価値を押し上げています。

本書に掲載されている作品が持つ良さは新しさ、賢さ、楽しさ、不思議さなどどれをとっても濃縮されていますが、私は特に実用性の高さが素晴らしいと考えています。7作品の全てが一般的なカードで実現できるだけでなく、どれもが大きく異なる現象であり、高い完成度を誇っているために、これらの作品を学ぶだけで多くなインパクトを与えることが可能です。難易度は作品によってまちまちですが、難易度が高い作品であっても決して無理なことはしていないため、それだけの時間と努力をかけられるかどうかという問題に帰着する点も素晴らしいと考えています。

その中でも特に「Finger Flicker」「Cincinnati Pit」「Triple Countdown」が本稿で取り上げたい内容となっています。まず「Finger Flicker」はDai Vernon氏が有名にした「Breather Crimp」の興味深い特徴を利用したマジックで、面白い現象が実現できています。実際、この特徴は本書の発表時に日本でも大きな話題になりました。この手順も単なる小ネタではなく、一つの手順としてまとまっており、実用性の高い作品になっています。

「Cincinatti Pit」はギャンブリング・デモンストレーションの一つです。この種のマジックは作品によっては、難易度が天井知らずで上がることがあります。本書では素晴らしい工夫によってその点を解決しており、購入者がアクセスしやすいようになっています。私はこの作品を初めて読んだ時、非常に感動しました。昔からあるプロットですが、そういった中にも新鮮な発見が楽しめる作品であると思います。

最後に「Triple Countdown」です。この作品は取り扱いが難しいコンセプトを掛け合わせて、非常に効果の高い現象を実現しています。バランス感覚を必要とする手順構成は読んでいても面白く、私が出会った中でも素晴らしいバランス感覚の中で作られているのがこの作品です。この作品に影響されたものも多く見ましたが、やはり難しいなと感じます。そういった意味でも、この作品は本書の中で光る作品となっています。

まとめると、『Card Fictions』はPit Hartling氏の良質な作品が楽しめる本です。どの作品も工夫と創造性に溢れており、カードマジックが好きであれば、間違いなく満足できる書籍となっています。次作の『In Order To Amaze』とは異なる面白さでありながら、同等に良質の書籍を出すPit Hartling氏の書籍は常に安心しておすすめできるものとなっています。

以上が『Card Fictions』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。

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