マジックの本を称賛するだけの文章(Esponjismagia Xuliana)

注意:この文章ではただ私が私の感じるままに、マジックの良書を褒めるだけの文章です。

タイトル: 『Esponjismagia Xuliana』
著者: Xulio Merino
出版年: 2017年
ジャンル: スポンジ

『Esponjismagia Xuliana』はXulio Merino(シュリオ・メリノ)氏が2017年に発表した書籍であり、スポンジマジックにマジックに焦点を当てた作品集となっています。

Xulio Merino氏はスペインのマジシャンで、スポンジマジックを専門としています。日本やアメリカでレクチャーを行った実績を持ち、アメリカのTV番組「Fool Us」でも絶賛された実績を持っています。

本書『Esponjismagia Xuliana』はスペイン語の名前で、もし日本語にするなら「Xulio風スポンジマジック」になるかなと思います。名前の通り、スポンジマジックについて書かれた本で、私のスポンジマジックの基礎はこの本で勉強しました。この本は他の書籍と違って称賛に前提知識が必要となりますので、そこからお話ししようと思います。

まずスポンジマジックはカードマジックやコインマジックと異なり、多くのバリエーションがあるようなものではありません。これはこの道具を専門的に扱う人が少ないことに由来します。スポンジマジックは一般的に初心者用のスターターキットに含まれているようなものなのです。そのため、スポンジマジックの専門書を見つかけることは極端に珍しいものとなります。本書レベルの品質に出会うことも珍しく、これが同時に実現している本書は希少で奇跡的な本なのです。

本書には約16作品のスポンジマジックが掲載されています。現象は多岐に渡り、一つの道具が持つ可能性を感じるものになっています。同時に全ての作品が非常に緻密に構築されたものとなっています。中に書かれた文言は含蓄に富み、マジックの楽しさと奥深さを感じるものとなっています。また、本書は非常にきれいにパッケージ化された書籍となっており、必要な知識や技法についても書籍の中で学べるようになっています。 
本書も魅力的な作品が多いため特定の作品を取り上げるというのは心苦しいのですが、この文章では特に「Cuenco Tibetano」「Simplicidad Xuliana」についてコメントしたいと思います。

「Cuenco Tibetano」はXulio氏のシグネチャ・ピースと呼べる作品です。本の中では1つ前に説明されている「The Roy Benson Bowl Routine」と並んでベンソン・ボールルーティンに対する氏のアプローチです。両方ともに素晴らしい手順ですが、明らかな違いが含まれています。その違いは単に現象や道具といったものだけではなく、手順全体のまとう深みのようなものにまで及んでいます。
これはどちらが良い、優れているというものではなく、「Cuenco Tibetano」が氏のシグネチャ・ピースとなっているかどうかという違いを生むものとなっています。別の観点で見れば、「The Roy Benson Bowl Routine」を取り上げることもありますのでその違いを感じる、さらには氏の代表作を楽しむという意味でも読み流すことができない作品として紹介しました。

また、「Simplicidad Xuliana」はXulio氏の知性を感じるものとなっています。流れ自体は「two in the hand one in the pocket」と呼ばれるもので本書には複数回登場しています。そういった情熱を感じることができるという点でも良い作品です。その中でも本作品は道具もスポンジ以外を使わず、アクセスしやすい、応用が効くという意味でもオススメでき、スポンジマジックに対して興味をもたれたのであれば、すぐにでも読んでいただきたい作品となっています。

まとめると、『Esponjismagia Xuliana』はスペインのXulio Merino氏の専門分野であるスポンジマジックについて新たな地平を開く書籍であると同時に、素晴らしい構造を持ったマジックが多数紹介されている傑作とも呼べる書籍です。

以上が『Esponjismagia Xuliana』について勝手に本を称賛した文章でした。この文章は決して書評ではありません。ただ褒めるだけの文章です。力不足ながらも、この本が持つ魅力の一片を伝えられれば幸いです。

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