【雑文】本を称賛することができなくなったので雑文【Steps】

副題:カードマジックができない世の中

雑文を。

2020年に飲食店は原則屋内禁煙となりました。
対象外のお店はあるようですが、この変更は「改正健康増進法」に伴ったものと理解しています。

結果、タバコのマジックを見なくなりました。

タバコのマジックを行わない私には全く影響の無い決定でしたが、マジックが世の中の流れと独立して存在するものではなく、文化に根付いたものであることを改めて感じるときでもありました。

タバコが唯一の事例ではありませんが、見なくなったマジックというのは多く存在します。最も古いマジックの記述はウェストカーパピルスまで遡りますが、その中にはガチョウの頭を引き抜いて戻したとあります。このマジックは私の人生ではまだ見たことがなく、世界中で行う人もいるのかもしれませんが、ごく一部に限られているでしょう。最近の例でいえば、Dr. Hookerのライジングカードも見たことがありません。この他にも時代の流れの中で失われたマジックは多くあります。

考えてみると、法律によってマジックの1ジャンルが無くなってしまうわけですから、この変化はとても大きなものです。世の中からすれば、小さな変化なのかもしれません。言語も失われ、生物の多様性も失われ、武力紛争が起こっている世の中で手品の1ジャンルというものの優先順位は低いのでしょう。しかし、当事者からすれば大きな問題です。昨日できていたものが今日はできなくなってしまうのです。

昨今は環境問題やデジタル化などのトレンドも見られます。書籍も紙の書籍の売り上げは低下傾向であるにもかかわらず、電子書籍の売り上げは上昇傾向です。変化というものは個人の好みにかかわらず進みます。もしも電子化と環境に対する配慮が今以上に進めば、紙がとても貴重で高価なものになってしまい、結果としてカードマジックができない世の中というものも考えられます。

これは杞憂でしょうか。そうかもしれません。
カードマジックができなくても、コインマジックや日常品のマジックなどが存在します。マジシャンの中にはカードを取り出すことをためらう人も存在しますので、無くなっても困らないのかもしれません。また、カードマジックが無くなってもマジック自体は無くならないのでしょう。また、書籍や口伝などを通じて密かに技術は伝承されるのでしょう。

しかし、タバコのマジックは見なくなりました。実演の場が減ることで10年もすれば技術を持つ人も今以上に少なくなるでしょう。より身近な例としてはキャンセル・カルチャーも存在します。可能性が低いとしても、ある日、突然カードマジックが無くなるといった未来も無いと言い切れないわけです。

これは極端な例としてカードマジックを取り上げましたが、多くのコンテンツに当てはまる可能性があります。

「Live Long and Prosper」
単なる長生きではなく「繁栄」を実現するには、カードマジックに限らず自分が大切にしているものを守るための活動もこれまで以上に必要になるのでしょう。

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