国内のどんな生物が絶滅危惧種なの? 両生類編
前回までで、国内の絶滅危惧種の中でも特に絶滅危機が高い「絶滅危惧種IA類の哺乳類・鳥類・爬虫類」を紹介させていただきました。
今回が、絶滅危惧種の種類の紹介ラストになります。
両生類編です。ご一読いただけたら嬉しいです。いいねも押してくれたら励みになるのでお願いします。
目次
絶滅危惧種 段階
絶滅危惧種は、野生生物により、どのくらい絶滅の危機に陥っているのか異なります。
その中で、最も絶滅の危険性が高いのが、絶滅危惧種IA類に分類されている野生生物です。
絶滅危惧種IA類に選定されているのは、哺乳類12種類・鳥類24種・爬虫類5種・両生類5種の合計46種です。
今回は、絶滅危惧種IA類の両生類5種類の紹介をします。
0. サンショウウオについて
実は、両生類で絶滅危惧種IA類に登録されているのは、すべて「サンショウウオ」です。
ですので、先にサンショウウオについて説明したいと思います。
魚のように泳ぐことから、名前の最後に「ウオ」と付けられました。
ですが、大人になると大部分を陸上で過ごすので、魚類ではなく両生類です。
大きく分けて、サンショウウオは、渓流で繁殖する流水性の種と、池沼や水たまりで繁殖する止水性の種がいます。
主に普段は、川の石の隙間や、落ち葉の下などで隠れるように生活しているためあまり知られていませんが
日本全土には、現在確認できているので、46種類のサンショウウオが生息しています。
そのうち、オオサンショウウオは2種類で、その他の44種類は小型のサンショウウオです。
サンショウウオは、動きもゆっくりで移動力が小さいこともあり、進化の過程でここまで種が増えたと言われています。
そのため、サンショウウオ中に広く日本中に分布するものは一種類もいません。
「カエル」や「イモリ」と見分け方もぜひ覚えてください。(種によっては結構似ていたりします)
まず、カエルは、「おたまじゃくし」からカエルになる過程で尾がなくなりますが、サンショウウオは尾を残したまま大人になります。
また、イモリとの違いですが、これは2つあります。
1つ目は、「皮膚の質感」です。
イモリは皮膚がザラザラですが、サンショウウオはツヤツヤしたゼラチンのような手触りをしています。
2つ目は、「お腹の色」です。
イモリはお腹が赤くなっています。サンショウウオにはそのような腹部の特徴はありません。(例外あり)
実は、日本に生息しているイモリは、アカハライモリ・イボイモリ・シリケンイモリの3種類です。
お腹が赤い特徴があるのは、「アカハライモリ」ですが、「アカハライモリ」のみが本州・四国・九州に生息しています。イボイモリ・シリケンイモリは、沖縄県にしかいません。
ですので、サンショウウオとの違いとして、お腹が赤いかどうかを見るのが手取り早いと言われています。
イモリ全ての種が、お腹が赤いわけではないので気をつけてください。
1. アベサンショウウオ
アベサンショウウオは、全長は10cm程度の日本固有種です。
背面は暗褐色、腹面は淡褐色の特徴があります。
生息地は、サンショウウオの中では広い方で、①京都府下丹後地方 ②兵庫県下但馬地方 ③福井県嶺北西部・嶺南東部 ④石川県加賀西部 に生息しています。
動物学者の阿部余四男(あべよしお)さんの名前を取って、名付けられました。
絶滅危機の理由としては、森林伐採・道路建設・農地開発・人間による採集・外来種(アメリカザリガニやアライグマなど)による捕食などが考えられています。
2. アマクササンショウウオ
アマクササンショウウオは、全長は11~14cm程度で、流水性のサンショウウオ属のなかでは中型の大きさです。
色は紫みを帯びた褐色で、体側に細かな白点が散ることが特徴的です。
熊本県天草諸島のみに生息していることから、「アマクサ」という名前が付けられました。
絶滅危機の要因としては、開発等に伴う生息地の減少や、産地場所が限られていることなどが考えられています。
3. ミカワサンショウウオ
ミカワサンショウウオは、全長10cm程度で、止水性のサンショウウオの中では、小型の種です。
オリーブ色をしていて、尾の先端が丸みを帯びています。
実は、2017年に新種記載された種です。
愛知県東部にしか生息しません。三河地方で発見されたことから、「ミカワ」という名前が付けられました。
絶滅危機の理由は、もともと生息数が少ないこともありますが、森林伐採・シカの食害による繁殖地の減少・アライグマやアズマヒキガエルの食害などが懸念されています。
4. トサシミズサンショウウオ
トサシミズサンショウウオは、全長11c~14m程度で、止水性のサンショウウオです。
背面は暗い緑褐色で、腹面や体側面には白色の小点が散らばっているのが特徴的です。
高知県土佐清水市にしか生息しないため、「トサシミズ」という名前が付けられました。
実は、2018年に「オオイタサンショウウオ」から分けられ、新種として記載されました。
オオイタサンショウウと似ていますが、背面に黒い斑点を持たず、腹面に白点を持つこと、体サイズが小さいことで分けられたみたいです。
絶滅危機の要因としては、特に記載されていませんが、他の種類と同様、森林伐採などによる生息地の減少が考えられます。
5. ツクバハコネサンショウウオ
ツクバハコネサンショウウオは、サンショウウオ科 ハコネサンショウウオ属で、全長12~16cm程度の種です。
ハコネサンショウウオ自体は、体全体が赤褐色が特徴的です。
ツクバハコネサンショウウオも、背面に明瞭な赤褐色が目立ちます。他のハコネサンショウウオ属よりは、尾が短いみたいです。
茨城県の筑波山系のみに生息しています。
絶滅危機の要因としては、生息環境の悪化・愛好家の捕獲等による個体数の減少が考えられています。
サンショウウオは、移動が容易ではないため、基本的に生息地は限定的です。
ぜひ、みなさんが現在お住まいの地域では、「どんなサンショウウオがいるのか」調べてみてください。
最後にぜひ今回覚えてほしいことがあります。
サンショウウオは高温に非常に弱い生き物です。
手にとって観察する際は、まず手を冷たい水の中につけるなどして体温を下げるか、熱が伝わらないような素材の手袋をして扱ってほしいです。
周りの知らない人にも教えてもらえたら嬉しいです。
今週もありがとうございました。来週もよろしくお願いします。