Point of No Return
こんにちは、ステラ・システムズCEOの原です。当社はスタートアップの資金調達や事業計画の策定を支援しています。この会社は2019年8月から副業の状態で続けています。先日、共同創業者の角田とディスカッションをしていたのですが、その時にPoint of no returnに陥らないようにしようという話をしました。
Point of no returnとは?
Point of no returnとは、言葉通り、「戻れなくなる地点」です。登山チームでいうと、この地点までは安全に引き返せるが、ここから先に進むと安全に引き返せない、最後まで進むしかない地点を言います(相方の角田が山岳のセミプロみたいな人で、彼から教えてもらいました)。
このPoint of no returnって、山登り以外でも簡単に陥ってしまいます。
例えば、ソーシャルゲームでガチャを引いた欲しいものが出なくなり、ガチャを止めらなくなったりとか、UFOキャッチャーで商品がとれず、何千円もつぎ込んだりとかです。企業でも、今は全然儲かっておらず、赤字を垂れ流しているにも関わらず、今の社長が始めたビジネスで止められないとかも同じ類のものです。
僕たちの会社でいうと、今のプロダクトに拘るあまり、他のプロダクトの開発をしなくなってしまうとか、がこの状態です。他の言い方をすると、当社におけるPoint of no returnに陥っていない状態とは、いつもで止められる状態ということです(プロダクトを作り直せる、サービスを考え直せる、極端な話会社も解散できる)。
僕たちはPoint of no returnにならないようにはかなり気を付けており、顧客を増やしすぎないようにしたり、開発スケジュールもお互いの本業の忙しさに合わせて柔軟に決めています。
何故陥らないことが重要と考えているかというと、僕たちは自分たちの作っているプロダクトが世の中に通じているか試している段階で、そこに目途が立っていない状態で、全力コミットメントは危険だと思っているからです。
起業家としては、自分のプロダクトに自信があるので、全力で踏んでいきたい気持ちもあるので、複雑と言えば複雑な心境ですが、一度踏み始めたら、なかなか元には戻れないので、そこは慎重に判断しています。
Point of no returnの心理的安全性
このいつでも戻れる、いつでも止められるというのは非常に大きな心理的安全性につながります。
自分たちの自由に出来るというのは、「自己決定」が出来る状態ですが、これが幸福度に大きく貢献しているという記述があります。
「所得」「学歴」「健康」「人間関係」「自己決定」。この5つの要因のうち、幸福度を決めるのはいったいどれでしょう?2018年の神戸大学、同志社大学の共同研究で日本人2万人を対象に調査されました。結果は、幸福感に与える影響力は高い順から、「健康」「人間関係」「自己決定」「所得」「学歴」となりました。
樺沢紫苑.精神科医が見つけた3つの幸福(Kindleの位置No.925-928).株式会社飛鳥新社.Kindle版.
僕と角田は二人とも他に仕事を持っていますが、その仕事では自分の思うように決定できないことが往々にしてあります。その時にも、自分たちの副業は決定できるというのは大きな安心感につながります(本業で嫌なことあってもそこまで気にならない)。また、僕たちの会社は順調に売上高等は増えていっているので、将来的にその事業に専業できるという選択肢も常に持っています(本業に過度に依存しなくてよい)。この安心感は、本業にもいい影響を与えているように思います。
以上、Point of no returnについてでした。