趣味を作れと言われるので趣味を始めた:愛知県 猿渡川の源流を探す
私は水が好きだ。町の中に水路が流れているようなものは特に好きだ。郡上八幡は大変に楽しかった。ちなみに少し北上した美濃白鳥という駅の辺りも良い。
もちろん滝も好きだ。愛知県には阿寺の七滝という愛知唯一の「日本の滝100選」がいるが、この遊歩道の途中に分岐点がある。猿滝という小さめの滝に繋がっていて、これが結構いい。道中もなかなか楽しませてくれる。
というわけで、何かしら川にかかるものを趣味にしていこうと思った。幸い同行者にも恵まれた。妻は私と同じく水路のある町や滝を好むし、山中の厳しい所は滝と登山を好む友人がいる。つまりメンバーを変えれば私の望む川近辺の見たいところは大体行けるのだ。
問題はペーパードライバーなことなので、簡単な所から友人に運転指導をしてもらいつついく事にした。
今回はタイトル通り、愛知県を流れる2級河川、猿渡川の源流を探していこうと思う。
詳細はWikipediaに譲るとして、私は生まれと育ちと現住所、いずれも最寄りの河川が猿渡川だ。初めに選ぶにはいい川だ。実際には以前に寒狭川の源流に登っているが、自分の運転で行くのは猿渡川が先なので良しとする。
Wikipediaの記載や国土地理院の地図を確認すると、豊田市のトヨタ本社工場から少し北西、山之手というところに起点が求められるという。
地図や過去の航空写真を確認してみると、もっともらしいことが分かる。
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中心点に斜めに走る線が地図上の猿渡川と一致する。
1960年頃には上記写真のようになっており、画像上部を横切る大きな道路以降は判然としないが工場や住宅等が立ち並んでいるようであった。
Wikipediaの記載によれば、この道路を跨いだ先からは側溝等の形になるようだ。標高図などを確認しても、川を直線に伸ばした先に谷筋と思われるものが確認でき、Wikipediaの記載は概ね正しいように思われる。
豊田市市街地から南に約1キロメートル、トヨタホーム丸山営業所裏の側溝、展示場付近の谷地の側溝が源流である。昭和の地域地図を見ると、この側溝が大風川と明記されている。この付近は緩やかな谷地であるが、谷頭は前記駐車場のすぐ北側にあるトヨタホーム愛知丸山営業所に迫っており、高低差もわずかに数メートルである。この谷を200メートルほど下った丸山町9丁目西交差点と丸山町9丁目東交差点の間の信号のない交差点の下をくぐり、山之手2丁目に入ると開渠となる。ここから愛知県道491号豊田環状線を再び暗渠でくぐり、スギ薬局の裏手を流れて、山之手公園北端で開渠となり公園内の北端~西端を回る。山之手公園内では、山之手小学校西側の住宅街の緩やかな谷を源流とする流れも合流する。この時点では、猿渡川ではなく大風川と呼ばれている。
というわけで結論から、これが猿渡川(大風川)の最初の開渠である。
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念のため側溝の始点も探したが、当日雨上がりであったためどこも水が流れているほか、存外分岐が多かったり、起伏が明白でないこともあり見つけられなかった。
しかしながら近くを枝下用水が流れており、いくらかはそちらに流れることを考えると、画像の範囲内にある側溝で始点のほとんどを求められるのではないだろうか。
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趣味としては始めたばかりであるため、この辺りの特定は知見が無く叶わなかった。しばらくは他の河川等を巡り、練度を上げたころにリベンジを試みたい。
生まれ育って最も身近な川がこのように住宅地内の側溝から始まるというのは味気なく感じるかもしれないが、川の始まりは山中の沢やどこか水がわいてくるの池からという勝手なイメージを改める機会となった。
一方で先述の通り、これに先立って寒狭川源流を訪れており、こちらは沢筋を長く歩いた末に典型的な"最初の一滴"を見出す事が出来た。
水というのは表情が余りにも多く、辿るだけで地学と歴史の両面で発見がある。少なくとも数年は飽きることなく源流を地図上で探し続けて楽しむことが出来そうだ。