残穢★★★☆☆
原作があまりに面白すぎて、前にネット配信で観ました。
今回、マンガ技術研究会の「探偵系ホラーの構造分析部」に入りまして、それでまた観る事になりました。
「身近な小さな事件や怪異を追っていくと、巨大なオカルトに遭遇する」というタイプの作劇の構造を分析し、自分の創作に活かす為にマンガ関係の同志と週一回ホラー映画を観ます。
その第一回!
誰が、なぜ、事件を引き起こしたのか。
聞いてしまった奇妙な「音」は、連鎖する不可思議な事件への招待状だった――。
小説家である「私」(竹内結子)のもとに、女子大生の久保さん(橋本愛)という読者から、1通の手紙が届く。
「今住んでいる部屋で、奇妙な“音"がするんです」
好奇心を抑えられず、調査を開始する「私」と久保さん。すると、そのマンションの過去の住人たちが、引っ越し先で、
自殺や心中、殺人など、数々の事件を引き起こしていた事実が浮かび上がる。彼らはなぜ、“音"のするその「部屋」ではなく、
別々の「場所」で、不幸な末路をたどったのか。
「私」と久保さんは、作家の平岡芳明(佐々木蔵之介)、心霊マニアの青年・三澤徹夫(坂口健太郎)、そして「私」の夫・
直人(滝藤賢一)らの協力を得て、ついに数十年の時を経た、壮大なる戦慄の真相に辿り着く。だがそれは、
新たなる事件の序章に過ぎなかった―。
すべての事件をつなぐ【穢れ】の正体とは?
予定調和を許さない驚愕のラストまで、目が離せない。(公式あらすじより)
こんなお話です。
原作が好き過ぎて勢いで観ましたが、正直原作のがいいです。
ただ、どう考えても映画向きでない原作をよくここまで映像化出来たなあと思います。
調査が多いので、単調で正直ホラーとしては怖くないです。
どっちかというと謎解きなので、ミステリー要素の方が強いかも。そういう意味では部の趣旨にマッチするのですが、観終わった感想が微妙な方も多く…………まあ確かに山場少ないですしね。
一応、映画オリジナルで怖いシーンも入れてありますが、最後の編集部のシーンはいらないかも。思わせぶりな坊さんも謎です。
あと、原作を忘れているのでいたずら電話の意味が全くわからないまま、終わってしまいました。長男がおかしくなって、かけまくったのはわかるんですが「時間を聞く」のと「消火器の有無(でしたっけ?)を聞く」意味が分からなくて。何か原作では意味があったような??
あと小説好きは、出てくる実在作家がこの俳優さんかあ!っていうのが、多分かなり面白い要素かと。綾辻行人が滝藤賢一で、平山夢明が佐々木蔵之介ですよ、奥さん。楽しくて仕方ないです!
部で出た面白くない理由として、「タイムリミットがない」「探偵に被害が及ばない」というのがありました。
探偵=視聴者だとすると、確かにいつまでに謎を解かないと自分が死ぬ!みたいなハラハラ感はないですね。
この映画は、探偵である主人公の作家は自分に被害が及ばない場所から興味だけで調査をしているので、そういう緊張感はないです。依頼人?は多少被害にあってはいますが、この時点では命が狙われるかというとそうでもないので、なかなかのんびりです。
裏を返せば、ホラーで面白くするには「期限を設けて」「主人公に被害が及ぶ」状態にすればいいという事ですね。なるほど。
幾つか関係ない小さな怪異が出てきて、それが徐々に繋がり、やがて想像以上の怪異に辿り着く、この展開が謎解きものとしては完璧でたまらないです。
個人的には、ここらのミステリーとホラーのバランスがいいのは、「リング(原作!!)」だなあと思うのでした。映画は主人公を女性にした時点で、論外。
(2020年5月10日視聴)
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