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好きな言葉はありますか?

先日、日本語を学び始めた友達に
"What is your favorite Japanese word?"と聞かれた

自分の第一言語であるのに、すぐに答えられず、
咄嗟に思いついた「おもてなし」かなとか「侘び寂び」かなとか
と日本らしい言葉を伝えてみた。
もちろん、それはその場しのぎのアイディアだった。

余談:言葉に興味を持ち始めたきっかけ

私が言葉を紡ぐことに楽しみを覚えたのは1年前のこと。
私は幼い頃から人に何かを伝えることは好きであり、
特に話すことは好きだった。
でも書くことには馴染みがなく、寧ろ苦手意識を持っていた。

私が話すことを楽しんでいた理由は、
会話においては、自分が最初に発した言葉が完璧である必要はない。
その言葉を受け取った相手が理解できないのであれば、
それはどういうことか、という疑問が返ってくる。
そして、それに答えることで、自分の説明を補っていく。
最後に、自分も相手も相互に納得できる形を修正しながら作る。
そんなプロセスを楽しんでいた。

それに対して、書くことは、文字がアウトプットとして完成形になる。
つまり、文字を最終形にするまで、どんな言葉が適切かな?と
自分の中でじっくり考える。

私の楽しんでいた会話においては、自分の発する言葉の意味を深く考えることはあまりなかった。
何となくのイメージで言葉を操り、伝わらなければ、違う言葉を試し…ということができた。
けれど、自分が大切な人々と離れて暮らすようになってから、
自分の感じたことを日本語でリアルタイムで伝える機会が減ってしまった。
それをきっかけに、今度伝えたいから言葉に書き留めておこう!もしくはLINEやインスタで伝えよう!という気持ちになった。
そこではもちろん文字に起こすこと、書くことが求められた。
書くことを通して、私は、一つ一つの言葉の意味に意識を向けるようになった。この表現って私の伝えたいことが一番伝わる言葉なのかな?と。

今の私が好きな言葉:「有難う」

ここでようやく本題に戻る。
友達に、好きな日本語の言葉は何かと尋ねられ、その夜考えてみた。

語彙力が皆無と言ってもよい私には到底難しすぎる問いだ。
その時、偶然 "Thank you" を "有難う" と訳すことは正しいのだろうかなどと考えていた。
"Thank you"は、相手 (you)に感謝している感じがして、
"有難う"は、噛み砕けば、有ることが難しいという、人に感謝しているだけでなく、その状態や状況も含めて感謝している気がしたからだ。
なんだかんだ、これに関しては腑に落ちる結論は自分の中に出ていないが、
"有難う"という言葉って素敵だなということを感じた。

日常生活でも多用するこの言葉は、人々にとって欠かせない言葉であることは確かである。
けれど、「有ることが難しい」から、それに感謝を示して、「有難う」という意味がきちんとある。

私は自分の発する言葉の意味を深く考えずに会話をしていたと、
上の余談のところで話しているが、思ってもないことを言葉として発することは、実はあまり好まない。

例えば、「大好き」や「可愛い」など、特に同世代との会話の中ではよく耳にする言葉だが、自分はそれらを容易に使うことに抵抗がある。

それを考えた時に、自分はどんな時に「有難う」と言っているのだろうと考えた。そして今「有難う」と伝えたい人は誰なのかと。

ここで、たくさんは語らないが、自分の兄妹に「有難う」を一番伝えたいと感じた。楽しい思い出も、喧嘩した思い出も、たくさんあるが、幼い頃から共に時間を過ごすことが多かった。そこで築き上げた関係があるからこそ、助け合ってきたからこそ、今離れて生活をしていても、数年ぶりに再開しても、少し大人にはなっているものの、昔のようにたわいの無い話ができるのである。

この関係性は、他の人にとっては「有ることが難しい」のかもしれないとふと思った。私たちの家庭環境があったからこそ、出来上がったかけがえのないものだと気がついたのだ。

決して時間が長ければ良いということではないが、愛おしい時間をくれた人、そんな人に私は「有難う」を伝えていきたいなと、今は感じている。

そして、自分の好きな言葉について考えるきっかけをくれた、考える時間をくれた私の友達に有難う。

最後に、まとまりのない文章を読んで下さったあなたに有難うと伝えさせて下さい。




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