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【大人】植物観察からゲーテの認識論へ③ 植物を見て自己教育?

去年の秋、大人クラスで植物観察をはじめてから、9か月がたちます。

植物観察からゲーテの認識論へ 植物を見て、そんなことまで!?
植物観察からゲーテの認識論へ② 植物観察の7段階。強力な助っ人登場!

「植物を観察する」と言う時、ふつうは外見を観察することを差します。
葉っぱの形とか、花の付き方とか、被子植物とか裸子植物とか。そこを越えて、見た目よりももっと深く、本質的なところまで観察するゲーテの植物観察の方法があります。

毎月1回オンラインで集まり、各自、好きな植物を観察した結果を、ワイワイガヤガヤと分かち合っています。いろんな視点からリードしてくださるKさんの導きで、ドイツ語で「こころの暦」を味わったり、学校教育に植物観察を取り入れた事例を読んだり、自己教育についての論文を絡めたり…。植物観察からゲーテの認識論、そして自己教育への道筋が見えてきました。

同時に、植物観察の7段階の練習をしながら、ものの見方も少しずつ少しずつ深くなってきたように…少なくとも「今、モノゴトの表面しか見えていないとしても、自分が見ようとすれば、どこまでも深くまで見えるはずだ」という実感は持ててきたように思います。

たとえば、この夏。暑いので、植物観察のために外に出かけたくなくて、窓の外の緑のカーテンのキュウリを観察していました。いろんな方法がありますが、今回、私が試してみたのは、主語を変えてみる方法です。

「ソレは」という主語で、外から見える部分の一般的な観察ができます。次に「あなたは」という主語で、キュウリさんと個人的に仲良くなって、最後に「私は」という主語で、キュウリの中に入って一体化してみて、自分がどう感じるのかを試してみる、という方法です。

たとえばこんな感じ。

「ソレ」は水が枯れるととたんに元気がなくなる。水さえやっていたら、夏の間、1~2日に1本ずつ実る。実り終わると一気に葉っぱから枯れていく。蔓はいつまでも残る。

「あなたは」3週間もの間、私たちに瑞々しいのにカリリとした歯ごたえの恵みをくれた後で、硬い蔓だけ残して、バリバリでトゲトゲの葉は嘘みたいにヒラヒラと枯れていった。雨に濡れて揺れている黄土色でシワシワの葉っぱ。いつまでもそこにくっついているよりは、強い風にヒラヒラと飛ばされることを望んでいたわね。もう会えないけど、ひと夏を生き切ったあなたに心残りはないはず。ありがとう。

「私は」若い頃には大きくて濃い葉っぱだった。太陽の光に自分をさらし、無敵な未来を描いていた。大きな葉は、トゲトゲしていたが、「傷つく方が弱いのだ」くらいに思っていた。大人になり、自分の小ささに気付くにつれて、まわりの無限の大きさをもっともっと知りたくなった。それを知って行くためには、トゲをまるめる必要があった。トゲをまるめたくなったものの、性格や姿勢が変わるのに10年かかった。少しは謙虚になったが、同時に自分に対する自信も減った気がする。こんなはずでは! でも、まわりから教えてもらえることは増えた。

蔓の部分は、強制的に引きちぎられない限りちぎれない。枯れても風が吹いても失われない。どんなに謙虚になっても、硬い骨のように残る。私の蔓って、何? 人間が自由になっていくことへの信頼。人は、世界は、宇宙は、どうなっているのか、人間とは何か、幸せとは何か、という問いの答えに近づきたいという思い。

…なんて風に。

そして今朝、ちょっと嬉しかったこと。キュウリはもはや花も実もなく、葉っぱも枯れて、蔓にすぎない。

なのに。

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いつの間にか朝顔がキュウリの蔓に巻き付いて、それを支柱変わりにぐんぐん伸びて行って、花を咲かせていました! 自立しない蔓でも、ふさわしい組み合わせの中では、そのままで十分なんだ。キュウリはキュウリネットに頼っているけど、人間だって古典だの最新の研究だの人間関係だの、支えるものはいくらでもあるもの。

…なんて、すっかりキュウリ気分になっているのでした。

「キュウリ」なんていう自立もできないものに自分を重ねるなんて、若い頃は冗談でもしなかったと思うけど、じっくり観察して仲良くなった今は、びっくりするほどシンパシーを感じています。

でも、次回は対極に違うものに自分を重ねてみるつもり。だって、何の植物を見ても、そこに、自分の中にある要素と、その植物との共通点が響き合うのを感じるから。来月は、まっすぐ自立したものの中に、どう自分を重ねられるか。ワクワクします。

一緒にやってみたい方は、メールください! オンラインなのでどこからでも参加可能です。
steiner.kobe@gmail.com

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▼オキツ 神戸シュタイナーハウス代表 大人クラス担当
書く人、聴く人、考える人、作る人、遊ぶ人。小さな勉強会や仕事、普段の暮らしの中で、ちょっと立ち止まって考え、言葉にし、行動してみる。少しずつ、みんなで幸せになっていけたらいいな。
ブログ毎日更新中。「自由の哲学を読む」~日々の暮らしから~
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神戸シュタイナーハウス
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