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「わかったつもり」にアラート。採用やマネジメントにも活かしたい、Z世代のシゴト観を深掘り

U-22 Lab. Powered by Steenz」では、10代・Z世代に特化したメディア&コミュニティプロジェクトSteenzならではの視点とつながりを活かし、彼らのライフスタイルや思考、行動をn=1の視点で深掘り。数字を肌感覚で捉えるのに役立つリアルなインサイトをお届けしています。

今回のテーマは「Z世代のシゴト観」です。

1990年代半ばから2000年代生まれを指す「Z世代」。2000年生まれでも今年24歳と、多くのZ世代がすでに社会に出て活躍しています。そんなZ世代といえば、安定志向、ワークライフバランスやコスパ・タイパを重視……といったことが言われていますが、実際はどうでしょうか。

今回は、過去にSteenzの「気になる10代名鑑」に登場した方が集まる「Steenz Community」より、15歳から20歳の男女をピックアップ。就職活動を目前に控えた大学生や、起業をめざす高校生、デザイナーとしての活躍を目標に掲げる専門学校生など、個性豊かな4名にインタビューを実施しました。


やりたいことが明確な10代にとって、就職はたくさんある手段のひとつ

Q. 社会に出て働く際に、最も重視したいことは?
A. やりたいこと、興味があることを諦めたくないから、パラレルキャリアで働ける企業が理想。自分の生活や家庭も大事にしたい。


大学で教育について学ぶ森垣 穂香さん(19) 子育てに関するNPO法人などでも活動中

生活のためじゃなく、やりがいとワクワクを感じながら働きたい

大学で興味を持った、産後うつに関する研究や仕事がしたいと考えています。就職をはじめ、進学、起業など、手段はいろいろあると思っていますが、なにより、やりたいことや興味があることを諦めたくないのが第一。ひとりでは叶わないこともあるから企業への就職を考えているけど、起業した方が自分の想いをのせやすいのかもしれないし……。なるべく身軽に動けるよう、就職するならパラレルキャリアで働ける企業が理想です。

また、わたしは「生活のために働くのではなく、やりがいを感じてワクワクするような仕事がしたい!」と考えている一方で、仕事一筋ではなく、仕事をしながらも自分の生活や家庭は大切にしたいと思っていて。ライフステージにあわせて働き続けられるかどうかも重視したいところですね。

大学では入学直後から、就活やキャリアを考える機会が多くありました。周囲には就活を見据えてサークルや授業を選んでいる子も。それもひとつの生き方だけど、わたしは、いまは学びや活動に集中して、自分のやりたいことに向き合い、将来につなげたいと思っています。

考察:
Z世代の教育の特徴として「探究」がひとつのキーワードとして挙げられます。自分の興味、やりたいことを主体的に探し、学び深めてきた経験が、将来の道を選ぶ際の考え方に影響しているのかもしれません。転職や独立が当たり前の選択肢としてある昨今。企業は、働き方、働く環境の選択肢を柔軟に増やしていくことが、自分らしい働き方を望む若者たちとマッチするためのポイントになってきそうです。

Steenzコミュニティ調査:
Q. あなたが働く際に重視したいことは何ですか。
(複数選択)

「やりがいをもって働ける」が群を抜いて1位に。次いで「パラレルキャリアで働ける」が2位、「自分のペースで働ける」「働く場所や時間の自由度が高い」といった選択肢も上位に挙がりました。また、「起業したい」も6番目に多く、就職以外の選択肢を含めて、自分らしくいようとするインサイトが垣間見えます。

比べない・競わない時代?「競争」が大きなエネルギーになる場合も

Q. 将来、仕事のやりがい・モチベーションになるものは何?
A. 競争で高みをめざすことが大きな熱量に。それによる成長、得られる金銭も大事なやりがいのひとつ。

アントレプレナーシップ教育に関する活動や、起業を視野に入れて化粧品の開発などに取り組む
鈴木 大輝さん(17)

失敗や負けた経験がエネルギーを生み、成長につながっている

プロジェクトを立ち上げたり起業をめざしたりする中で、大きなアクションには、強い熱量を生み出す原体験が必要だと気付きました。僕の場合は、競争に「負けた」ことによる悔しさがそれに当たるみたいです。

たとえば、ビジネスコンテストで手ごたえを感じていたのに何の賞も取れなかったとき。失敗や負けた経験が、プロジェクトの、そして自分自身の成長のエネルギーになっていると感じました。そして、次はもっとうまくやろうというモチベーションが湧いてきて。あとは、起業やプロジェクトには資金も必要ですし、結果が見えやすいので、仕事で得られる金銭も大事なモチベーションのひとつです。

最近の「人と比べない、競わない」風潮もたしかに感じてはいます。でも、僕は部活で陸上競技をしていたせいか、競争に抵抗がないというか。ビジネスコンテストに応募し続けている理由のひとつに、競争していないと熱量が失われてしまいそうだから、というのもあります。常に競争し続けていたいタイプなのかも。

考察:
マネジメントやコミュニケーションにおいて、比較や競争は避けた方がよいというのをよく耳にしますが、鈴木さんは競争がやりがいにつながると話していました。世代別の傾向というのはもちろんありますが、最終的には個人に向き合い、相手がどのようなタイプなのか、どう接したら良いのかを丁寧に判断していくのが大切になってきそうです。

Steenzコミュニティ調査:
Q. あなたの仕事のやりがい、モチベーションにつながるキーワードを教えてください。
(複数選択)

過半数の56%が「成長」を選ぶ結果となりました。また、「クリエイティブ」「夢・目標」といった選択肢を選んだ割合も高く、Z世代の多くが仕事を自己の成長や自己実現の機会と捉えていることがわかります。

「自分らしく」を重視したい20歳。職場の飲み会をどう捉えている?

Q.「職場の飲み会」どう思う?
A.人とのつながりや視野を広げる機会は大事。でも正直、ランチ会でも良いんじゃない?

学生団体でサステナブルなファッションについて発信するMikuさん(20)

そこに意味があってこそ。時間を使うなら、価値のある経験がしたい

「職場の飲み会」に、そこまでマイナスのイメージはありません。人とのつながりは大切だし、一緒に働く人と良い関係を築いていくためにはそういう場も必要だと思っています。なので、わたしは「なるべく参加したい」派。尊敬できる人の話を聞いて、価値観が変わるような経験ができることもあるんじゃないかな。

ただ、本音を言うと「親睦を深めるなら、飲み会じゃなくてランチでも良いのでは?」とも思いますね。大人数だと疎外感を抱く人もいるかもしれないし、夜は早く帰りたいって人もいるかもしれない。どちらにしても、せっかく時間を使うならちゃんと意味があるものであってほしいです。

いま大学2年生なので、就職活動は来年から本格的に始まります。就職するなら、重視したいのは自分らしく働けるかどうか。年齢や立場に関係なく自由に発言できるとか、自分の裁量で働ける、自分の頑張りがちゃんと認められるとか……。でも、進学や海外でのワーホリなど、就職以外の道もあると知って、模索してもいるんです。どの道を選んでも後悔がないよう、価値のある経験を積んでいきたいですね。

考察:
自分らしく働ける環境を重視したいMikuさん。職場の飲み会に対しても、その考えがベースにあるようです。Z世代はコスパ・タイパ重視、飲み会にも来たがらない、という説が広まっているように感じますが、一概にそう決めつけてしまうのは危険かもしれません。「意味のある場であってほしい」「ランチ会でも良さそう」という意見は、今後の飲み会の在り方を考えるヒントになりそうです。

Steenzコミュニティ調査:
Q. 「職場の飲み会」について、あなたの考えに近いものをすべて選んでください

「なるべく参加したい」が1位に。「参加したくない」回答はほとんどが一桁台でしたが、人数によっては参加したくない、という回答は21%と、比較的多くなりました。「その他」には、「日程や自分のその時の体調がよければ基本的に参加する」「会合的なイメージのことはしたくないがフランクに対話が出来る場だったら喜んで参加する」「孤立しないなら参加する」といった回答がありました。

デザイナーをめざす19歳が抱えるストレスとは

Q.あなたが「ストレスを感じること」は何?
A.日常的なストレスはいろいろあるけど、一番は人間関係。みんなでひとつのものを作るって難しい!

デザイナーをめざし、服飾の専門学校に通うマナミさん(18) 

人との協業はストレスもあるけど、楽しくもある

普段ストレスを感じるのは、人間関係です。といっても、友情や恋愛とかではなくて、人との協業。学校で、ファッションショーをする機会があったんです。学科なども超えてたくさんの人と協力しながら進めていくのですが、連絡がつかないとか、認識の齟齬があるとか、同じ目標に進んでいるはずなのにうまくいかないことが起こると、大きなストレスを感じました。それが原因で疎遠になってしまったことも。難しいですよね。

ただ、みんなでひとつのものを作っていくことに楽しさも感じていて。将来はデザイナーとして企業に就職して、舞台やコンサートの制作に携わることを目標にしています。幅広い分野で活躍したい、安定した企業で長く勤めたいというのもありますが、人と関わりながら働きたいっていうのも大きな理由のひとつですね。

あと、社会に出たときストレスになりそうだな、と思うのは、年齢や立場だけで判断されること。実際に学生時代、企業との案件でそういった経験をした友だちから話を聞くことがあったんです。逆に、年齢や立場に関わらず認めてもらえたり、頼ってもらえたりすると本当にうれしい!将来勤めるなら、能力や結果でちゃんと評価される環境が理想です。

考察:
ストレスを抱きながらも、人との協業は楽しい、と話すマナミさん。デジタルネイティブのZ世代は、コミュニケーション能力や多様な価値観を受け入れる姿勢、協調性や共感力に長けているといわれています。しかも彼らは、学生時代にコロナ禍とその後をどちらも経験し、対面もオンラインも使いこなしてきたのです。若い世代から学ぶことが、今後どんどん増えてきそうですね。

Steenzコミュニティ調査:
Q. あなたが普段、最もストレスや不安を感じていることは何ですか。

■複数回答

■単一回答

複数回答では、54%が「将来のこと」を選択していました。長引く不況に加え、就職難、就職以外の選択肢が豊富にあることもまた、将来への不安要素となっているのかもしれません。「SNS関連」は意外にも3%と少なく、SNSネイティブのZ世代は距離感や使い方を熟知しているともいえそうです。

最後に:
個性豊かな彼らのエピソードは決して「Z世代は、こう」という、都合の良い枠に当てはめることはできません。ですが、彼らの未知なる感覚や価値観をよりクリアに理解していくための一助になれたら嬉しいです。

さて、Steenzでは「アウトプットの機会を探している10代」と「課題を持っている企業」との橋渡しを積極的に行っています。

▼プロジェクト例

その他、グループインタビューやインナーコミュニケーションのためのコンテンツ制作、Z世代向けのプロモーション施策など様々行っています。

Steenzの「メディア&コミュニティプロジェクト」としての強みを活かし、素敵な若者たちと一緒に何か面白いことがしたい、世の中をより良くしていきたい、そんな皆さまからのお問い合わせをお待ちしております!
お問い合わせ先:小学館 渡邊 keisuke.watanabe@shogakukan.jp

U-22 Lab. Powered by Steenz
Text : Kyoko Onishi
Editor : Keisuke Watanabe

多様性時代を駆け抜ける10代が、「自分」と「仲間」を見つける
メディア&コミュニティ Steenz(スティーンズ)

<定量調査>Steenz調査
調査期間:7月18日〜7月25日
調査対象:Steenzコミュニティの16〜21歳 39名
調査方法:WEBアンケート


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