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【BBG】BBGセッション10月レポート|りきや

2023年10月15日 雨のち曇り
BBG(Blue Berry Garden)黒岩の破戒劇場にて振付家・ダンサーの鈴木ユキオさんによるコンテンポラリーダンスワークショップを開催しました。今春より15名のメンバーが定期的に集い、鈴木ユキオさんのメソッドと向きあって来たBBGセッション。10月の様子をレポートいたします。

鈴木ユキオさん

鈴木ユキオさんの「カラダ」のワークを毎月丁寧に積み上げて来たBBGセッションのメンバーたちは、それぞれに自分と向き合いながら、その体験を仲間とシェアする時間を過ごしてきました。いつものストレッチは、これまでのワークで共有したカラダに宿る感覚を呼び起こす為の大切な時間です。

いつものストレッチでカラダに意識を集中する

BBGセッションの参加者の半数は、演劇による表現活動をしています。松本市からご参加している前田斜めさんは、「野らぼう」という劇団を主宰しています。野外上演やテントでの芝居づくりを、仲間たちと取り組んでいます。

劇団「野らぼう」主宰の前田斜めさん

前田斜めさんの奥さんの水野安実さんも「野らぼう」の舞台に立つ役者さんです。ストレッチが始まると見学席の隅で、おもちゃで遊ぶ息子さんの様子を見ながら、安実さんも一緒にストレッチを始めました。これまでのセッションを見学席で観ていたので、鈴木ユキオさんのワークが演劇表現にも応用可能である事を感じて、カラダを動かしたくなったのだと思います。床を使ったワークからBBGセッションメンバーの仲間に入りました。

息子さんの様子を見ながら見学席の安実さんもストレッチ
床を使ったワークに合流した安実さん(左端)

母親である安実さんがこの様に参加できるのも、ワークショップ会場で子供たちも過ごせる環境があるからこそ可能であったと思います。そうした状況に加えて鈴木ユキオさんご自身が、奥さんの安次嶺菜緒さんや娘さんも含めたファミリーでいらっしゃっている事も理由の一つではないでしょうか。BBGセッションに鈴木ユキオさんと共に来ていただいてる菜緒さんは、鈴木ユキオさんのアーティスト活動を支えるパートナーでもあります。スケジュール調整や制作的な連絡事項などは、基本的に菜緒さんが担っています。菜緒さん自身もコンテンポラリーダンサーであるので、ワークショップでの音出しや進行のサポートなど、鈴木ユキオさんとの絶妙なコンビネーションが可能なのだと思います。

鈴木ユキオさんと話す安次嶺菜緒さん
ダンサーとしても絶妙なコンビネーションのお二人

さて、この日のBBGセッションは、これまで取り組んできた様々なワークの中から11月のショーイングに向けて、どのワークをどの様に構成するのかをメンバーと共有する時間でした。振付家としての鈴木ユキオさんのスキルが、ひとりひとりのカラダに宿るそれぞれの感覚をバランスの良い構成に落とし込んでいきます。「カラダCOLORS」がショーイングで披露するダンス作品のタイトルです。

11月26日のショーイングに向けて構成を共有する

ショーイングの構成に沿って実際に踊りながら、ワークごと丁寧に確認していきます。それぞれのカラダから紡がれる思考が、ダンスの多様性を表現しています。今春から前回までに行って来たワークが、メンバーたちの中でリアルな感覚と結びついている様に感じました。

スクエアの角を意識して空間を埋めていくワーク
空間の中で多様なカラダが立体的に表現されて行きます
ティッシュペーパーを使ったワーク
皆の前を踊りながら通過する瞬間を写真の様に捉えるワーク
動かす椅子をトレースするワーク
缶ケースに操られるカラダは予想できない動きを紡ぐ
ティッシュペーパーのワークがドラマチックな展開へ

さて、これまでのBBGセッション同様、キザムさんにインタビューをしていただきました。今回インタビューに答えていただいたメンバーは、ひかりさんとなみさんです。BBGセッションに対して、どの様な想いや感想をお持ちなのでしょうか。

ひかりさん(中央)

【質問・1】 BBGセッションに参加してみて、心境とか普段の生活で変化した事はありますか?

【ひかりさん・1】 えー。なんか、ダンスって言うモノのイメージが、昔は音楽があってテクニックがあって、出来る人が。テクニックがある人が、より出来ると言うイメージだったんですけど。あのー、色んなワークするじゃないですか?ここで。けっこうそれぞれの感性を大事にして、そのままそれを自分の動けるように表現するって言うのも、ダンスなんだなって、概念が変わりました。それぞれ色んなダンスの種類がある中で、ジャズとかヒップホップとかコンテンポラリーとか、違うとは思うんですけど。このコンテンポラリーは、けっこうなんだろう。ユニバーサルと言うか、何と言うか日本語で。自由度が高くって、いつでもどこからでも始められるみたいな所が、奥が深いなぁ~と思って。それが自分の生活に何か影響したかって言われると。う~ん。あー。でも家にいて、ちょっと気持ちがフラフラ何も考えていない時とかに、あの~。ちょっと何もない所から「無」の状態から動き始めて、ダンスになるなぁって言うか。動くとけっこうスッキリするじゃないですか。色々考えが整理される様に、ちょっとその時の気分で、その通りに動かす事で、自分が整理されるって言うか、その時も。もし、なんかイライラとかしていたら落ち着く。気持ちも落ち着くって言うか、なんか。気持ちも。気持ちにも。落ち着かせるって言う事が、あるのかなって思う。うーん。そんな感じですかねぇ。

【質問・2】 セッションに出てみて、自分の可能性みたいなものって感じる事ありますか?

【ひかりさん・2】 あー。最初どう動けばいいのかわからなかった時とか、けっこう周りの人とか見て参考にさせて貰ったんですけど。えー、そうですねぇ。音楽とか音とか、この雰囲気。皆がつくっている雰囲気によって、動かされる部分もあったので、自分の思いもよらない動きが、けっこう出来るんだなぁって思ったりしてましたね。始点をここにして動くとかって言うワークをいっぱいやらせて貰ったんですけど。あの~、意識をどこかに置く事で、普段はそういう意識をせずに動いているから、なんとなく普段と違う動きが出来るかなぁ~と思いました。

【質問・3】 これからまた、拡がりそうな感じですか?

【ひかりさん・3】 そうですね。うーん、なんか。上手く表現できないですけど。うーん。忘れずに、日頃から何かやっていれば発展させられるかなぁと言う感じはします。前回、発想を飛ばすみたいなのがあったんですけど。そういう動きの、動き方を変えるとか、そういう所からなんか普段の行き詰った時とかも、同じ様にここを飛ばすみたいな、それで問題を打開するみたいなとか、出来るんじゃないかなぁ。動きとは関係ないんですけど。可能性は、おおいにあるかなぁ。自分のものに出来たらいいですけど。あまり上手じゃないので、出来る人がやれば、もっと可能性がどんどん拡がって行くかも知れないですけど。

ストレッチするなみさん(中央)

【質問・1】 このBBGセッションを受けてみて、気持ちとか生活している中で変わった事って、何かありますか?

【なみさん・1】 やる前と?でもなんかこう、日常生活のふとした時に、なんか自分のカラダの状態を意識するって言う様な事があって、やっぱ調子悪いなぁって時ってあるじゃないですか。そうなると、ああ。肩こっているのかぁ。でも肩こってんのかぁ、とかも、今までだったら回すだけだったのが、もうちょっと中側を意識して回してみようみたいな。なんかそういうので、体調とかも自分の。自身の状態をもうちょっと意識する様になったかなぁって思います。日常生活的に。

【質問・2】 ダンスに対して変わった事や変化した事ってありますか?

【なみさん・2】ダンスに対して?うーん。そうですね。でもやっぱ始める前はずっとその、いわゆるダンスの方が。意識がありますけど。でもやっぱり始めてみて、そうじゃなくても良いんだって言うのと、そうじゃなくても面白いじゃん、て言うのとありますね。えっと。自分でやってみた時に改めて面白さを感じるって言うか。より面白さを感じる様になったし、抽象と具体って話が滅茶苦茶印象的で、いままで見ていて、あー動いている。何か面白い動きだなぁぐらいだったのが、もうちょっと。きっとこの人には、人の具体的な意識があるから、どういうのなんだろうなぁみたいな所にも、ちょっと思いを馳せるとか。自分でやる時はもうちょっと具体性を持とう、みたいな事には凄い意識する様になったかなぁと思います。

【質問・3】 今、感じる自分の可能性みたいなモノ。これからダンスに関わる事じゃなくても良いんだけど。これからどんな風にして行けるかなぁみたいな。自分の可能性みたないモノを感じる事ってありますか?

【なみさん・3】でもなんか続けては行きたいなぁ、みたいな感じなのはずっとあって。具体的にこうなる、こうなりたいみたいなのは、いま思い浮かべてないんですけど。やっていく中で、これ面白そうだなぁとか、まあ何か。見つかるモノがあれば良いなぁ。で、あと今ちょっと楽しんでとか。なんかそれこそ、これからのカラダの変化みたいなモノとかも、楽しめたら良いなぁ、と思っています。はい、ありがとうございます。

パソコンで音出しする安次嶺菜緒さん

鈴木ユキオさんと共に、BBGセッションに携わってくださる菜緒さんにも、インタビューさせていただきました。

【質問・1】BBGセッションにずっと来ていらっしゃって、参加している皆さんが、どんな風に変わってきたか、感じる事ありますか?

【菜緒さん・1】目に見える所では、断然カラダが自由になっていると言うのは、回を重ねるごとに実感します。動きのボキャブラリーが凄く増えているし、ただそれが色んな事が出来るようになったと言う意味じゃなくて、一つ一つの動きにどんどんみんな迷いがなくなっていると言うか。自分の動きが、とってもシンプルな動きでも、そこに凄く自信を持ってるし、人と比べなくなってるし、そういう意味で。例えば手を上げるって同じ動作も、人が違えば全部動きは違っていて。そのボキャブラリー。その質感のボキャブラリーって言うのが、増えているから、凄く面白い。それとまた別に、言葉をいっぱい皆で共有したから、考えを言葉にするのがみんなすごく抵抗がなくなっているし、良い効果のエクスチェンジが出来ているって言うのは、思いますね。みんなの頭の中が、いっぱい迷ったり、いっぱい考えているのが、見えないけれども見えている感じがして。初めの頃はまだ、みんなどこから考えたらいいのかわかんないから、それぞれの考えとか、やりたい気持ちとか、わかんない気持ちとかがモヤモヤしていたけど、今は手に取る様にわかる感じがします。それは、やっぱり回数を重ねたからわかったと思う。とっても有意義な時間ですね。

【質問・2】親身になってセッションをやってきていただいて、この先の可能性みたいなもの。どうですか?

【菜緒さん・2】もう無限大ですよ。うん。なんか今からやりたいって、凄い!凄い思います。例えば今回ここで創ったモノを、今度は、全く違う劇場とかの非日常空間。あっ、ここも非日常だけど。例えば、いわゆる劇場でやったら、みんなのカラダがどう変わるかとか。じゃあ、今やってる中で、なんかどこかのシーンをピュッと取って、誰かのソロ作品を創ってみたりとか。なんか凄く楽しみ。で、例えば、今度はもっともっと振付って言うモノをやってみるとか。なんて言うのかな、交換する深さをどんどんどんどん深くしたい。もっともっとみんな、掘ったらどんどんどんどん出てくるし。みんなが作品を創り始めても面白いし。ほぼ今回も自分で動きを創ったり、自分の感覚で動いたりしていて、決まった動きをやるみたいな事はないから、そういう意味ではみんな創っているけど、じゃあ作品の種からみんなが創ったらどうなるんだろう、とか。なんか楽しみしかないです。うん。やりたい事は、いっぱいですね。あと私もここで踊りたいし、もっと!とかね。ここの空間の可能性は無限大。空間もここに集まっているセッションメンバーも、本当に無限大だと思います。それはもう文句なしでそうです。


今回のBBGセッションはショーイングのチラシに載っている鈴木ユキオさんのメッセージが、具体的に立ち上がって来る事を感じる瞬間が沢山ありました。レポートの締めくくりとして、ショーイングのチラシから鈴木ユキオさんのメッセージをご紹介したいと思います。


BBG(ブルーベリーガーデン)で毎月丁寧に積み上げて来た「カラダ」のワーク。自分と向き合い、その体験を仲間とシェアをする。それぞれのカラダから紡がれる時間や思考。ダンスの形の多様性が、ここBBGの景色の中に立ち上がります。 鈴木ユキオ

BBGセッション後、皆で豚汁を食べました。

写真:りきや

次回、いよいよショーイングです。
2023年11月26日(日)15:00
(15分前より開場/上演時間約60分+アフタートークあり)
会場 BBG黒岩(ブルーベリーガーデン黒岩)
   長野県小諸市御影新田966-1
  (ローソン小諸御影東店そば)
料金 1,000円(小学生まで無料)
定員 25名(要予約) 
お問合せ wakachiza@gmail.com
     080-5108-5544(担当 つかさ)
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