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ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

M11-Pのレビューはあちらこちらにありますので、敢えて書き加えることはないでしょう。この記事は、最近私の常用レンズになった「ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM」についてのレビューです。


PRODUCT OVERVIEW

メーカーの公式サイトによると、レンズ名冒頭には「Compact」を意味する「C」があり、「T*」は「T*アンチレフレックスコーティング」というコーティング名とのこと。後述の通りこのコーティングは逆光耐性という点では大変素晴らしいです。そして、開放F値が"2.8"ではなく"2,8"となっているのはドイツ製だからでしょう。現在では日本で製造されていますが、その源流は1934年にドイツで開発された最初のビオゴンになります。

Size

開放F値が2.8ということから、小さい躯体を連想する方も多いと思います。勿論サイズは小さい方ですが、同じクラスのレンズと比較して最小の部類ではありません。例えばコンパクトさで有名な「COLOR-SKOPAR 35mm F2.5 P II」 ほどのインパクトはありません。最新のエルマリート28mmより僅かに大きいと言えば、なんとなくサイズ感が分かる方も多いかと思います。

Mechanism

2005年以降このレンズはコシナが製造しており、鏡筒にも"Lens made in Japan"の刻印があります。そうなると、フォーカスリングや絞りリングは非常に滑らかで何の問題もないことが容易に想像いただけるでしょう。フォーカシングノブがないことを気にされる方の意見を見ましたが、確かに気になる方は気なるかもしれません。私は、ミニマルな佇まいが好きなため寧ろノブがない方が好きです。

Hood

サードパーティの角型のレンズ フードを使用しています。フードがなくても逆光耐性は問題のないレベルですが、レンズ保護のためお守りとして使用しています。

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PROS AND CONS

写りは、絞り開放からシャープで非の打ち所がありません。2005年発売のレンズとは思えないほど、現代のレンズと比較しても類い稀なき写りです。

Bokeh

あくまでも目安ですが、最短撮影距離の0.7mから1.5m辺りで焦点を合わせると背景がボケます。このボケは好みですね。現代のズミルクスのように溶けるようなボケも美しいですが、ある程度背景のディテールを残してくれる少しザワつくボケは私のスタイルにあっている気がします。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

更に、背景に光源がある場合は、美しい玉ボケになります。檸檬型に潰れる玉が少ない特性も魅力です。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

Vignetting

35mmのレンズで周辺減光の全くでないレンズはないでしょう。このレンズも周辺減光はでますが、極端な状況下での撮影でない限りポストプロダクションで修正できる程度です。

Flare / Ghost

逆光耐性は素晴らしいです。レンズ表面のコーティングのおかげだと思いますが、今まで一度もフレアやゴーストが出現したことはありません。下の作例のように強い光源でもフレアを抑えます。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

Color fringing

アポクロマート機構ではないので、パープルフリンジは出現します。ほとんどの場合は気になりませんが、逆光で木の枝葉を撮影したりすると逆にアポズミクロンの凄さがわかります。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

Coma aberration

コマ収差は、晴天の日に屋外で絞りを開放にして撮影すると顕著にでます。晴天の日にわざわざ屋外で撮影するようなことはあまりないので、個人的には気になりませんが。子供の運動会は、砂埃が気になることもあり寧ろスマートフォンで撮影しますね。

Distortions

ビオゴンは、「広角で正しく写す」ことを基本に設計されているそうです。そのため、このレンズでは35mmという焦点距離にもかかわらず歪曲収差が皆無です。建物の撮影とかには重宝します。その副作用として、開放F値の暗さやバックフォーカスの長さが露見されますが、現代のビオゴンは非球面レンズを採用することでだいぶ改善されています。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

SUMMARY

このレンズは2024年5月現在でも販売されていますが、ひと昔前の製品のため品薄による受注生産状態のようです。中古でもあまり見かけませんので、ご購入は期間に余裕を持って検討する方が良いでしょう。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

このレンズにとってM11-Pに搭載されている6,000万画素の撮像素子はオーバースペックではないかと思っていましたが、どうやらM11-Pは古いレンズでも性能を極限まで引き出せるような感じです。M11-Pとこのレンズを組み合わせて撮影した写真は、他の作例と比べてもクリアです。その分、オールドレンズのような癖のある写真は撮影できませんが、ここは好みが分かれるところでしょう。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

このレンズを道具として使っていると、日々その写りに魅せられます。特に、M11-Pとの組み合わせでは高品質な写真が撮れるという印象です。このレンズを導入してみたいと思っているマニアックな方がいらっしゃたら、このレビューが参考になればと思います。

LEICA M11-P + ZEISS C Biogon T* 2,8/35 ZM

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