アメリカ大企業のSTEM教育投資ーシェブロン

アメリカは日本より産学連携が進んでいると言われて久しいです。もちろん企業によって重点的に投資する領域は変わってきますが、アメリカの名だたる大手企業のの中にはSTEM教育に投資をしている企業もあります。
例えば、Chevron(シェブロン:アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く石油関連企業。世界の石油関連企業の中でも特に巨大な規模を持つ国際石油資本、所謂スーパーメジャーと総称される6社の内の一社。)は、STEM教育をサポートしています。今回のNOTEでは、シェブロンが具体的にどのようにSTEM教育をサポートしているのかをご紹介しようと思います。

Chevronの取組み事例 未来の社会の担い手への投資

アメリカ全土で13万の学生にエンジニアリングのカリキュラムをパートナーのProject Lead the Wayと共に提供。これまでのシェブロンがサポートするProject Lead The Wayのプログラムは228にものぼります。
Project Lead The Wayは、小学校・中学校・高等学校用のSTEMカリキュラムを開発するアメリカのNPOです。子供達にどの分野の職種にも通用する、社会に必要とされている優れたスキルを身につける事ができるよう、学生や教師に対して世界水準のカリキュラムや教師へのトレーニングを提供しています。
Project Lead The Wayhttps://www.pltw.org

Fab Foundationとパートナーシップを組み、シェブロンが操業している地域でFab Lab ※(STEM教育を行うための、最新のデジタル技術の機器などを備えた研究室) を設置できるよう活動。
Fab Labはカリフォルニア、テキサス、ワシントンDCなどにあり、レーザーカッターや、機械類、精密部分品などが供され、実体験できるようになっています。
このFab Labでは、子供達は “Dream it, design it, and make it.” (夢を持って、デザインして、やり遂げなさい(成功しなさい)。)と教えらています。
Fab Foundation : http://www.fabfoundation.org

👉※ここではSTEM教育を行うための研究室と記載しましたが、ファブラボは一般的には以下のようなものです。日本でも渋谷・池尻・鎌倉・大阪・福岡・宮城など増加しつつあります。

シェブロンのサポートによる、National Academy of Engineering(全米技術アカデミー)の新しいウェブサイトの開設。
このウェブサイトは、アメリカのプリキンダーから高等学校までの教育者のエンジニアリング教育を促進するために設けられたもので、大学入学前までのアメリカのエンジニアリング教育の向上を目的とした、教師の為の初めてのプラットフォームや家庭などの学校外で子供達に教える教育者達の為の学びの場を提供しています。

次世代の女性イノベーターとリーダーを育てるため、Techbridge Girls をサポート。Techbridge Girlsのミッションは、実体験を通して女子学生のSTEM分野への興味を掻き立て、その分野への情熱を見出してもらうこと。女子学生には、サーキットを作ったり、建築物のデザインやメンターとの作業、課外授業を通してたくさんの経験をしてもらいます。
Techbridge Girlshttps://www.techbridgegirls.org

👉これまで「STEM分野は女子は苦手、男子の分野だよね」といった 科学的根拠の無い固定観念が日本だけでなくアメリカにもありましたが、近年は「女子だって適性があるんだ!」「女子達よ、世界を変えたきゃSTEMを学べ!」といった風潮になってきています。実際アメリカでは女子向けのSTEM書籍が数多く出版され、アマゾンでベストセラーになっている書籍もあります。

Chevronの取組み事例 メーカーズのサポート

シェブロンは、創造や革新、アイデアの具現化といったこの世界的な動きである、メーカーズムーブメントをサポートしています。

👉メーカーズムーブメントとは。

(Source :NTTデータ経営研究所ウェブサイトhttp://www.keieiken.co.jp/pub/infofuture/backnumbers/57/report05.html)

Maker Edとパートナーシップを組み教育者などに専門的能力の開発機会を提供。Maker Edは有意義なものづくりや学習経験を推進するため、教育者やコミュニティー(特に十分な行政サービスを受けていない地域)を支援しています。
Maker Edhttps://makered.org

The Nation of Makersのサポート。The Nation of Makersは支援活動やリソース共有、コミュニティー育成活動を通してメーカーコミュニティーをサポートしています。メーカーのスペースや、メーカーのイベントや地域の組織のサポートは、コミュニティーや教育、そしてSTEM領域の変革を目的としています。
Nation of Makers : https://nationofmakers.us

2016年には、シェブロンのサポートによりDigital Promiseは中学生・高校生にプロダクトデザインやフィルムメイキングの機会を提供するfilmMAKER challegeを開始しました。
Digital Promise:https://digitalpromise.org/initiative/maker-learning/

Chevronの取組み事例 教師へのサポート

イノベーションを起こすには、リソースが必要です。しかしクラスルームに存在するリソースには限りがあります。アメリカでは教師は平均して毎年500ドルものポケットマネーを授業に使用する備品に費やしています。

シェブロンはFuel Your School programを通して、アメリカ全土の公立の幼稚教諭から高校教師といった教育者に対して授業に必要な資材を提供しています。プログラム開始以来DonorsChoose.org.とのコラボレーションにより5000以上もの学校へ資材提供。これらの資材によりSTEM領域の実験など、子供達の体験学習に寄与している。体験学習によって子供達の世界は大きく変わる事が知られています。

シェブロンは、130大学以上の大学や関連団体にUniversity PartnershipsやAssociation Relations Programを通じて奨学金のスポンサーをしていますが、教育の質向上のための教師のトレーニングプログラムへの投資を通してSTEM教育についてもサポート。具体的には、カリフォルニア州立大学とパートナーシップを組み、教STEM領域の教師や研究者向けのプログラム(STAR Program)をサポートしています。

シェブロンが伝えている「未来のイノベーターは今日アメリカの学校にいる。The innovators of the future are in America’s schools today.」という言葉、本当にその通りです。日本の学校にもたくさんいると思います。

アメリカにはSTEM教育を推進・応援する団体がたくさんあります。
日本にももっとたくさんのSTEM応援団が増えて、子供達にSTEMに触れてもらう機会が必要ですね。

教育への投資が未来の繁栄に繋がる。

(掲載写真は全てChevronのウエブサイトより転載しました。
https://www.chevron.com/corporate-responsibility/creating-prosperity/education/partners-programs









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