「ナイキスト周波数」の定義の曖昧さ回避
突然通信の話です。
通信や電気系の勉強をしたことがある人向けです。
標本化【サンプリング】定理というものがあります。
これは、ある波形信号を標本化してやろうという時に、エイリアシングというエラーが発生しないようにするために満たすべき条件のことです。
その条件というのは、サンプリング周波数fs、波形信号の最高周波数fmaxについて、必ず
fs >= 2fmax
を満たすようにしなさいというものです。これが標本化定理です。
ナイキスト周波数の2通りの定義
ナイキスト周波数は、みなさんにとってどんな定義となっていますか?
私がとある大学で2年前に習った定義はこうでした。ここから自分と違うという人が出てくると思います。
定義①:ナイキスト周波数fn、サンプリング周波数fs、波形信号の最高周波数fmaxに対して、
ナイキスト周波数:fn = 2fmax
これが、私が習った定義でした。
これは、波形信号の最高周波数の2倍をナイキスト周波数とするもので、標本化定理より、
「サンプリング周波数はナイキスト周波数以上のものとすればエイリアシングは起きないよ」という教訓を得ることができます。
(ここで「は?」と言ってる人が居るのではないでしょうか?)
対して、ネットで「ナイキスト周波数」と調べて出てくる定義はこうでした。
定義②:ナイキスト周波数fn、サンプリング周波数fs、波形信号の最高周波数fmaxに対して、
ナイキスト周波数:fn = fs/2
これは、サンプリング周波数の1/2をナイキスト周波数とするもので、ここからは標本化定理より、
「最初にサンプリング周波数を定めた時、実際にサンプリングできる波形信号の最高周波数は、ナイキスト周波数以下じゃないとエイリアシングが起きちゃうよ」という教訓を得ることができます。
この2つの定義から得られるfn はそれぞれ違う値となり、同じものではありません。
よって、教科書や文献を読むときにこのナイキスト周波数という単語が出てきたときは、どちらの意味で言っているのか注意深く読む必要があります。
今さっきそれでしばらく悩まされたところです…。
ただ、①の定義は文献上・教科書上でしか見たことが無く、逆にネット上では見たことがありません。
②の定義はネット上でしか見たことが無く、文献上では見たことがありません。
勝手に想像するに、アカデミックな場では①の定義で、②の定義は何かしらの勘違いをしてしまった人が広めてしまったものではないかと思いました。