アデノウイルス尿道炎
アデノウイルスは、風邪の原因ウイルスの一つですが、その他に結膜炎の原因としても知られています。「プール熱」(咽頭結膜熱)や「はやり目」(流行性角結膜炎)です。
そんなアデノウイルスですが、尿道炎の原因にもなることが最近分かってきました。まだまだ有名ではありませんが、外来ではたまに見かけます。
この記事ではアデノウイルス尿道炎について説明します。
症状、潜伏期間
潜伏期間は1週間〜10日くらいで、症状は尿道の痛み(特に排尿時痛)が中心です。時間が経つにつれてだんだんと痛みが強くなり、症状が出始めてから1週間くらいで痛みがピークに達します。この時期は痛みがかなり強いようで、つらそうにしている方が多いです。
診察してみると、尿道の入り口周囲が真っ赤になっていることが多く、膿などが出ていることは少ないです。
また、尿道炎以外に結膜炎も起こしていることが多いです。アデノウイルス尿道炎の患者のうち40%が結膜炎も起こしていたという報告があります。
検査
アデノウイルスの検査をすることはほとんどありません。検査をすることはできるのですが、日数がかかる上に保険が使えず、しかも後で書くように診断がついても特に治療法が無いので、検査をしないことがほとんどです。
診察の時点でアデノウイルスが怪しいと思うことも結構ありますが、クラミジアや淋菌に感染している可能性もあるので、忘れず検査しておくことが大切です。
治療
アデノウイルス尿道炎に対する治療法はありません。イメージとしては風邪に近くて、痛み止めなどを使うことはありますが、基本的には自然に良くなるのを待ちます。ピークから1週間~10日程度で良くなることが多いです。
その他
アデノウイルス尿道炎は性行為でも感染しますが、自分の目や喉のウイルスが手に付いて、その手で性器に触ることで感染する可能性もあります。つまり、感染経路は性行為だけではないと考えられています。そのため、風邪や結膜炎の時にはこまめな手洗いがとても大切です。