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元ウィルグループ社長の大原さんが社外取締役に就任 Staywayの上場に向けて全面サポート

Staywayはこれまで、3度の資金調達や各地域金融機関へのサービス導入、名古屋・福岡オフィスの開設など、上場に向けてさまざまな取り組みをおこなってきました。この度、上場への取り組みをさらに加速するため、元ウィルグループ代表取締役社長の大原茂さんにStaywayの社外取締役として参画していただくことになりました。

今回は、Stayway代表・佐藤との対談を通して、大原さんはどのようなご経歴をお持ちの方なのか、佐藤さんとの出会いやStaywayに参画した理由をお伺いしました。

小さな事業会社を売却し上場企業の社長に就任 大原さんの人物像とは

佐藤さん:
改めて大原さんのご経歴やご経験されてきたことなどを伺いたく、簡単に自己紹介をお願いします。

大原さん:
この度、Staywayの社外取締役に就任した大原茂です。大学卒業後は、長谷工コーポレーションに就職し4年ほど働きましたが、学生時代から自分で事業をやりたいという想いがあり、27歳で独立しました。その後は、ちょっとしたご縁があり、ウィルグループの前身の会社(株式会社セントメディア)へ当時の会社を売却し、ジョインすることになりました。そして、16年間ほど同社の代表を務め、その過程の2013年には同社を上場に導き、2023年3月期では売上は1,439億円、営業利益は54億円まで拡大することに成功しました。主に、人材ビジネスを中心とした事業の創出やM&A、サクセッションプランの策定など、企業を拡大するための業務に携わりました。

佐藤さん:
当時、ご自分が立ち上げた事業をセントメディアへ売却したとのことですが、どのような経緯があったのですか?

大原さん:
私が立ち上げた事業は、FAXを活用したダイレクトメールの事業です。妻と2人で立ち上げた小さな会社でしたが、当時はこのような事業をおこなっている会社はありませんでした。企業へのダイレクトメールは郵便が主流で、封筒代や切手代、データ代など、1通200円くらいのコストをかけることが当たり前の時代でした。そのような中、郵便の代わりにFAXを活用したダイレクトメールを企業に推進していきました。FAXは郵便に比べて、開封率が高い、コストが安い、すぐ送れるなどのメリットが多く、大企業を含む法人顧客を一気に獲得することができました。

佐藤さん:
奥さんと2人で事業をされるなんて仲が良いですね!

大原さん:
そうなんです、妻とは今でもとても仲が良いんです。事業を始めて3年後には、設立当時に決めた売上目標を超え、とても喜んだ記憶があります。しかし、父が大阪での信用組合の理事長を務めていたのですが、当時、大阪府下の信用組合や信用金庫は単体での存続が厳しく、父の信用組合には債権回収機構が入り、何行かと合併することになりました。また回収見込みが厳しい不良債権がいくつかあり、債権回収機構から未回収貸付の返還請求をされたりと大変な時期でした。そのような中、合併する社員たちへの説明や社員たちの不安を取り除くために必死に動いいている父の姿をみて、同じ社長という立場でありながら、その責任の違いを私自身と比較して凄く違和感を覚えました。会社をしっかり大きくしようとしながら、社員の人生を背負う父の姿を見て、自分自身も成長しなければいけないという想いを抱くようになりました。

そのような中、セントメディアとビッグエイドが合併するのをきっかけに、知り合いの社長から「上場を目指すから一緒にやらないか」と声がかかりました。父の件もあったので、もし上場すれば、それは非常に貴重な経験になりますし、上場という大きな目標に向かって仲間とともに奮励することで、自分自身も会社も最短で成長できると思い、ジョインすることを決めました。

佐藤さん:
合併後はどのような経験を経て、上場まで辿り着いたのでしょうか?

大原さん:
ビックエイドという工場系の人材会社と、セントメディアというテレマーケティング会社の合併だったのですが、工場系の人材サービスはそこそこの利益があった一方、 テレマーケティング事業は芳しくありませんでした。ちょうど合併の前年度(1999年)、ラディアホールディングス(グッドウィル・グループ)という会社が上場し、65億円程の売上で、営業利益が2億円、それでいて初値で940億円という時価総額に衝撃を受けました。「よし俺らも」という期待を膨らませながら合併しましたが、結果的には不採算事業が多く、合併して半年間、赤字が継続するという状況が続きました。そのため、いくつかの事業を清算していき、数年後、最終的に当時のメイン事業であるテレマーケティング事業も清算しました。

佐藤さん:
テレマーケティング事業は利益が出ていなかったということですか?

大原さん:
一応、ある程度の利益は出ていましたが、月によっては赤字幅も大きかったりと、なかなか売上の見通しが立ちづらく、結構しんどい状態でした。

テレマーケティング事業は、自社のオフィスを設立し、システムを装置していく必要があるため、事業を拡大するほど投資コストもかさんでいく一方で、人材派遣事業は、取引先の軒先で働かせていただけるので、投資コストが少なくて済むんです。

人材ビジネスにフォーカスしたことが、会社としての成長のターニングポイントだったと感じています。

佐藤さん:
なるほど。たしかに、経営資源を投入する事業の取捨選択は、会社の将来を大きく左右する重要な意思決定といえますよね。

「企業とはバトンを繋いで大きくしていく」 大原さんがウィルグループ社長を退いた理由

佐藤さん:
ところで、大原さんは昨年ウィルグループ社をやめられ、後継者の育成や企業の成長サポートをする立場に回られたと思うのですが、そのような決断に至った理由や背景はありますか?

大原さん:
人生100年時代といわれながらも、健康体でいられるのは70歳までと仮定したとき、50歳頃には仕事を退き、それまでにある程度の経済的な余裕や仲間、趣味をつくっておき、残りの15〜20年は思う存分好き勝手して生きたいという想いがベースとしてありました。

また、自分自身のビジネスキャリアを振り返ってみると、20代ではがむしゃらになんでも挑戦し、30代ではそこに知識と経験値が積み重なり、40代でビジネスマンとして大きく開花できたと思っています。後任には、そういった機会を活かしてほしいと思って40代の新社長にバトンを渡しました。

企業とは、自分1人でマラソンのように走るのではなく、バトンを繋いで大きくしていくものだと思っています。だからこそ、できる限り良いタイミングで後任にバトンを渡してあげたいし、自分は会長や顧問という立場で見守るのではなく、退任するからには後任に全てを任せるという覚悟を持って退任を決意しました。

佐藤さん:
つまり、退任後はウィルグループ社の経営には一切関わっていないのですか?

大原さん:
自分は一株主として応援する立場だと思っているので、経営には一切関わっていません。ただ、現社長とは定期的にご飯へ行き、いろいろとアドバイスはしています。同じ立場でないとわからないケースも多いですし、やっぱり会社も伸びてほしいので。

金融機関の発展と活性化に貢献したい 大原さんがStaywayに参画した理由

佐藤さん:
大原さんとは、共通の知り合いの経営者からご紹介いただいたことで知り合いましたよね。大原さんとは同じ奈良県出身ということで「奈良県出身の経営者の会」という会合で楽しくお話しさせていただいたのを覚えています。その後は、大原さん個人でエンジェル出資いただくなど多くの場面でご協力いただきました。

大原さん:
佐藤さんと初めてお話したとき、地元・奈良県に対する愛情の深さに心を打たれました。また、関西から東京に上がってきた経営者の中で、奈良県出身の人にはあまり会ったことがありませんでした。そのような中、自分と同じ奈良県出身の若手経営者が東京で頑張っている姿を見て、純粋に応援したいという気持ちが湧き、Staywayに出資することを決めました。

佐藤さん:
世の中には色々な事業が存在している中で、どこに人生のリソースを割くかというのは有限でありながら、弊社への出資を決めていただいたときは非常に心強かったです。おかげさまで昨年の終わり頃から業績が伸びてきて、売上が前期の5〜6倍ほどになりました。

大原さん:
すごいですね!補助金クラウドのビジネスモデルは非常に興味深いし、金融機関のニーズをしっかり捉えたサービスだと感じています。金融機関、特に小さな金融機関が、今後どのように生き残っていくのかと考えたときに、企業の活性化にお金貸すだけではなく、AIやクラウドなどの次世代テクノロジーを駆使した金融機関自体の変革が重要だと感じています。そのような中で、佐藤さんとお話する機会をいただき、補助金クラウドのビジネスモデルに魅力を感じました。また、自己紹介のところでお話させていただいたように、父が金融機関の理事長を志半ばで退任しなければならなくなった一連の出来事を間近で見てきたので、金融機関の活性化や発展を間接的に手伝えることに大きなやりがいを感じ、社外取締役としてStaywayに参画することを決めました。

佐藤さん:
なるほど、ありがとうございます。大原さんが社外取締役に参画していただくことについて、周りから多くの反響をいただきますし、非常に心強いです。

ミッション・ビジョン・バリューの浸透 大原さんが想うスタートアップの在り方

佐藤さん:
大原さんは今まで、さまざまスタートアップを見てこられたと思いますが、スタートアップにはどのようなガバナンスが必要だと思われますか?

大原さん:
スタートアップはまだ、ガバナンスをガチガチに固めていくというよりかは、いかに事業を伸ばしていくかが大切な段階です。そのためStaywayでは、社外取締役というよりかは、事業や組織のしくみづくりなど、会社の基礎となる部分についてフレキシブルに良いアドバイスをしていきたいと思っています。

佐藤さん:
大原さんのご経験から、事業の拡大において注意したほうが良い点など、アドバイスはありますか?

大原さん:
目先の数字を追い求めすぎて失敗するケースをよく見ます。企業には、それぞれ文化があると思いますが、企業が成長していくうえで数字だけを追い求めすぎると、そういったところが後回しになってしまい、社内環境の悪化や経営者間のトラブルに繋がります。企業の成長において、会社の業績ももちろん大切ですが、それ以前に、”良い会社”としてどのように成長していくかを常に意識していくことが大切であり、数字と企業文化がいかにリンクしていくかが重要な指標になると思います。

佐藤さん:
現在弊社では、上場に向けて採用を強化しているのですが、働きやすい社風や環境づくりにおいて、ウィルグループ社で意識していたことはありますか?

大原さん:
ウィルグループでは、会社の業績が悪いと、各チームの統一感がなくなったり、秩序が乱れることがよくありました。それでもしっかり、全社員が同じ方向を向いていけるよう、ミッション・ビジョン・バリューという自分たちの不変な想いを具現化し、明確にすることで、社員の意識の向上に努めていました。採用においても自社のミッション・ビジョン・バリューに相応しい人材を中心に採用したり、その3つからブレない新しい事業を創出するなど、そういった行動は後々、会社の業績にも繋がったと感じます。

補助金クラウドの場合は、事業モデル上、金融機関と連携しながら事業を進めていくため、そこまで多くの社員を必要としないビジネスモデルですよね。そういった意味では、一般的な企業とは少し違う部分はあるのかなとは思いますが、どの企業においても拡大期は人的トラブルやマネジメント、企業文化の問題など、エラーが出やすい時期だと思います。そのような観点では、自分の経験からサポートできる部分は多いのかなと思います。

佐藤さん:
ありがとうございます。私も、企業文化の浸透は常に意識しています。例えば、月に1度の全社ミーティングの際には、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を用いたワークショップをおこなっています。弊社は「中小企業と地域のポテンシャルを解放する」ことをミッションとして掲げており、そこに対する3つの行動指針として「GoFun」「BeProfessional」「OneTeam」を設定しています。「中小企業と地域のポテンシャルを解放する」ために、日々の業務でどのような行動ができたか、そしてその行動は「GoFun」「BeProfessional」「OneTeam」のうちどれに該当するものなのかを一人ずつ発表する時間を設けています。
(StaywayのMVVは、
こちら

大原さん:
自社の文化やミッションをメンバーに浸透させることは、会社を大きくしていくうえで非常に重要だと思います。また、人材の採用強化を進めていく中で、新しく入社したメンバーが、会社のミッションを理解し、それに向けてバリューをどれだけスムーズに実践できるかが重要なポイントだと思います。会社がどれだけ拡大しても、ミッション・ビジョン・バリューを社内全体にどれだけ浸透させることができるかが、会社の将来を大きく左右すると感じています。

佐藤さん:
たしかにそうですね。弊社のミッション・ビジョン・バリューは、補助金クラウドの立ち上げ当初のメンバーで考えて決めたものですが、後から入社してそのプロセスに携わっていないメンバーに浸透させるのはなかなか難しいと感じます。何か参考になる社内での取り組みはありますか?

大原さん:
新卒採用説明会やキックオフ、全社MTGなど、社内イベントの際に経営者がアナウンスすることも大切ですが、年に1回程度、社員を表彰する機会を設けるのは効果的です。経営メンバーが会社のミッションを体現していると思える人を表彰し、「このミッションを体現している人が素晴らしいんだ」という文化を創っていくことが重要だと思います。ウィルグループでも、ミッションをもっとも体現したと思われる社員を社内で共有するなど、人事を中心として、社内全体の浸透の施策づくりは積極的におこなっていました。

また、事業内容は時代に沿ってどんどん変わっていくものだと思っているので、新卒採用の会社説明会では、事業の内容はほとんど話さず、ミッション・ビジョン・バリューの説明の時間をたくさん設け、自社の不変の大切な考え方の共有を図りました。そういったこともあり、ウィルグループの人材の定着率は、他の上場企業を含めても比較的高かったです。

健全なる”良い会社”としての成長 大原さんがStaywayに期待すること

佐藤さん:
最後になりますが、当社の今後において期待することは何ですか?

大原さん:
Staywayの健全なる成長に期待したいと思っています。上場するまでに誤った選択をしてしまう企業は少なくありません。自分の経験を踏まえ、会社の軌道修正や中長期的なビジョンなどに対するアドバイスをどんどんしていきたいと思っています。もちろん私が執行するわけではありませんが、Staywayの執行メンバーはとても優秀だと思いますし、会社として正しい方向で健全な道を選んでくれると期待しています。