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【地方の観光を考える:中編】行きたいのにいけない!魅力ある地方が抱える交通問題とその解決策

前回のノートでは都内最大の白タク運営グループが逮捕された件から、ライドシェアサービスとインバウンドの関係について考えました。

後編の今回は実際に地方ではどの様な現状があり、どの様な課題が存在するのか、主に交通の面から考えていこうと思います。

訪日外国人旅行者の現状

○都市から地方へ 

『明日の日本を支える観光ビジョン』において2020年に訪日外国人旅行者4,000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円、地方での外国人延べ宿泊数7,000万人泊等の目標を決め、観光施策を設定しました。

しかし近年、旅行消費額、外国人延べ宿泊者数の伸びは鈍化しており、訪日外国人旅行者の個人旅行(FIT)化を含む旅行形態の変化に対応しつつ、地方部への誘客を加速させ、一人当たりの旅行消費額を高めていくことが喫緊の課題となっています。

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具体的な数値を2012年から2018年にかけての変化で見ていきましょう。

まず団体旅行から個人旅行への移行についてです。個人旅行手配の割合は60.8%から81.6%となり20.8%も増加しました。

個人旅行手配の割合

次に地方部における延べ外国人宿泊者数の増減についてです。宿泊者数は2012年に855万人だったのが2018年には3636万人となり、約4.3倍にも増えました。

都市部から地方部への観光の広がり

都市部における延べ外国人宿泊者数が1,776万人から5,223万人となり、約2.9倍出会ったことを加味すれば変化がより見えることでしょう。

○訪日中に困ったこと

観光庁が実施した「訪日外国人旅行者に対する受入環境整備に関するアンケート」を見てみます。まず旅行中に困ったことについてです。

訪日外国人旅行者に他する受入環境整備に関するアンケート

平成28年度の調査において困ったこととして多く挙がっていた「無料公衆無線LAN環境」「多言語表示の少なさ・分かりにくさ」「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」は28年度と30年度を比較すると大幅に減少しているが、対して「公共交通の利用」という項目の減少幅は小幅に留まっており、公共交通が使いにくいと不安を持つ旅行者は16.6%もいることがわかりました。

利用した公共交通機関で困った理由

また同アンケートによると、利用した公共交通機関で困った理由について、新幹線・在来線・バスでは「多言語対応をしたルート検索用のウェブサイト・アプリがなかった」が最も多く、続いて乗り場・車両の案内やコミュニケーションに関する理由が多くなっており、特に前回の記事で焦点となった、タクシーでは「タクシーが捕まらなかった」「外国語対応のサービスの少なさ」「ウェブでの配車サービスの見つけづらさ」等の理由が多くなっています。

旅行者目線に立った観光地へのアクセス改善の推進が急務となっており、つまり目標となる地方部への誘客・消費拡大には、FIT化が進んでいる外国人旅行者が自らの力でいきたいところに行ける環境づくりが必要だというわけです。それでは自らの力でいきたいところに行くには何が必要なのでしょうか。

二次交通とは

二次交通とは、これは拠点となる空港や鉄道の駅から観光地までの交通のことを指します。そしてこの二次交通が存在しない観光地が日本では多く存在し、地域の観光においては特に由々しき問題となっています。

○父母ヶ浜・紫雲出山(香川県)

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父母ヶ浜は「天空の鏡」「東洋のウユニ塩湖」などと呼ばれ、インバウンドの個人客にとても人気です。またニューヨークタイムズの特集「2019年行くべき52箇所の旅行先」において「瀬戸内の島々」が日本で唯一第7位に選定され、記事内で紫雲出山の夕暮れの桜の写真が掲載されたことによって今後益々のインバウンド旅行客の増加を見込んでいます。

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しかし、二次交通の面を見てみるとどうでしょうか。父母ヶ浜は交通の弁があまり芳しくなく、殆どがレンタカーによる来客となっています。実は最寄りの駅であるJR四国宅間駅から1日に5本のコミュニティバスも出ているのですが、Google mapへの掲載はなく外国人観光客の利用はありません。

また紫雲出山まではコミュニティバスが出ており、同じく近くまで行くことは可能ですが、見所である山頂のビューポイントまでの経路は徒歩しか存在せず、アクセスの面において不便です。

このような観光地は日本では無数に存在し、口コミサイト上位の訪日外国人旅行者にとって魅力的な観光地であっても、アクセスに関する情報を入手できず、結果として訪問自体を諦めてさせてしまうことになりかねません。


しかし、本当にそうでしょうか。


もちろん、アクセスは良いに越したことはありません。そのための施策や検討はとても重要なことです。しかし、不十分なのは本当に交通の便だけなのでしょうか。

本家のウユニ塩湖を見てみましょう。ウユニ塩湖は南米の国ボリビアのさらに奥地の標高4000m弱の場所にありとてもアクセスの良い場所とは言えません。少なくとも二回は飛行機を乗り継ぎ、長い陸路をかなり乗っていかなければいけません。

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それでもウユニ塩湖は世界各地から多く人が集まり、多くの人に感動を与えています。父母ヶ浜との差はなんでしょうか。もちろん魅力を比べることはできませんが、違いは周りを取り囲む人々の世界に向けた発信力の差なのではないでしょうか。

各観光地の自治体や人々に必要なことは、インフラの不備を言い訳に嘆き、ただ待つことではなく、自分たちにできることを探し自ら行動することではないでしょうか。

余談ですが、弊社Stay Japan Jobsは、地域の観光業を応援する外国人人材紹介会社で、特に欧米豪の優秀な外国人人材が揃っています。

まとめ

地方の交通問題に関し、インフラ面の整備等で今政府や自治体は様々な施策や検討を行っています。まだまだ課題は山積みでそれら全ての解決を待っているようでは仕方がありません。観光業に携わる人それぞれが世界に向け、何か自分たちにできることを探すことが重要なはずです。


前回、前後編の二部編成と銘打っていたのに、タイトルからしれっと今回のを中編にしてしまってすみません。ラストとなる次回は、実際にどのような施策が実施されているのかについて触れていきます。


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