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虫の鳴き声から始まる夏

 年を越して桜が満開になったかと思えば、あっというまに新緑まばゆい季節になってまいりました。私が住む京都の夏は、それはもう暑いことで有名ですが、私はどうも夏を迎えることが嫌いじゃないんですよね。夏単体というよりかは、夏の足音感じる時期から気に入っているのかもしれません。
 今年は雷がゴロゴロッと鳴る勢いの梅雨入りとなりました。冷たい雨は降るくせに、気温は高いままで、じめ~っした暑さで気分のいいものではありません。ですが、雨雲が過ぎ去った夜に何気なく窓を開けると、ほんのり残った雨の匂いが涼しい風に乗ってきて、虫たちの鳴き声が程よく響き渡っているんですね。いわゆる風流というやつでしょうか。夏の訪れを感じさせる、こういった自然の環境というのは、私の心を穏やかにしてくれます。そんな雰囲気を感じながら夏が来ることに思いをはせるわけですが、真っ先に思い浮かべるのは、一瞬で汗だくにさせてくるあの暑さです。

画面越しなら綺麗な眺めだけを感ぜられますが…


 京都は盆地であるがゆえに、夏の暑さは並大抵ではありません。道を歩けば至る所から陽炎が現れ、通りすがる人たちはみんなぐったりしています。そんな暑さが来ることに、まずは不快さを感じますが、夏はそんな嫌な事ばかりではないです。
 まず、この暑さを乗り越えるアイテムが登場してきますね。扇風機に扇子や風鈴、甚平など。私は夏場は甚平を部屋着にしているのですが、中々風通しが良くて、着心地も良く楽なんです。多少の外出時にも着ていけます。で外に出るときは扇子を常備して、和風な喫茶とかに入ると風鈴が下げられていて、落ち着いた”チリン”って音を聞きながら扇子を仰ぐ。暑さの中にあるこういった風流を感じるのを待ち遠しく思ってしまいます。

新旧常備扇子 下が4,5年活躍して上に世代交代

 そして夏の自然も存外いいものです。緑一色に広がる森や遊歩道を歩くと、目の保養になります。太陽に照らされて輝く木々や葉っぱを見ていると、動物本来の景色とでも言いましょうか、一番安心するような気がします。そして、避暑地という言葉があるように、自然には涼しさを感じられる場所もあります。木陰や程よく風の流れる原っぱなど。そうした場所で心を落ち着かせ、色々な考え事(課題やゼミの研究テーマなど)に没頭する時間は良いものです。

京都南丹市まで行くと、何もないのどかな景色が広がる

 話は少々それますが、ドラマ「リーガルハイ2」の8話で、人間は結局どんどん自然を壊し便利にしていくと古美門先生が言っていましたが、少し時代遅れな発言な気がします。便利さを相変わらず人間は求め続けていますが、スマートな便利さを求め、日本人本来の自然を利用する生き方を再発見しているように思えます。これを話し出すと長くなるのでやめますが、コロナ禍でそれはより進んでいると感じます。
 そんなこんなで、夏を待ちわびているわけですが、まあ何と言っても日が長いことがうれしいですね。なんじゃそりゃあと思われるかもしれませんが、今まで言ってきた夏の風流は昼間でしか味わえないわけですから、それを存分に感じたいのです。昼間を満喫した分、夜もまた楽しみとなるわけですが。

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