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齋藤なぎさ卒コンレポ

アイドルが、好きだ。それも女性アイドルが特に好きだ。そのなかでも、齋藤なぎさが大好きだ。
 
 2023年1月13日。=LOVEの人気メンバーである齋藤なぎさ卒業コンサート 現役アイドルちゅ〜 みんなのこと大好きだよ♡が行われた。
 
 私は卒コンの抽選を外しに外し、悲しみと失意のどん底にある配信参加勢であった。しかし、満足感が高すぎて逆にこれ以上のライブを見ることができないのではないかと感じ、アイドルオタク人生に幕を下ろしそうになったくらいの、とにかく素晴らしいライブであったので、ここに感想レポを記す。
 
 開演前。眼前のMacBookにはライブ会場が映し出されている。くそぅ、恨めしいと、ずらりと並んだオタクたちの後頭部を眺めながら、私は毛布にくるまっていた。突然、ステージ上のスクリーンにポニーテールのなーたんが現れ、ライブでの注意事項を説明していく。いつからどこで始まったのか。この、アイドルにルール説明させるシステム、オタクは言うこと絶対聞いちゃうよ〜と思いながら聞いていると、今日のライブではサイドスクリーンになーたん推しカメラの映像が流されると発表があり、
「ワァ…」
 と思わず喜びの声を漏らすオタクたち。このご時世、ライブでの声出しは禁止だが、こういうところで我慢できないオタク、いいな…とほっこりした。声出しができない代わりに、レスポンスは拍手で行うのだが、なーたんの呼びかけに応える拍手が、内容に合わせて音量調節されていて、よく訓練されたオタクたちに感動していると、OVERTUREが流れ、ついに開演。
 ジャジャジャジャン!
 あっ、このイントロは…!思わず声が漏れる。彼女のソロ曲「現役アイドルちゅ〜」である。最初にオタクたちが一番楽しみにしていた曲を持ってくるあたり、よくわかっている。歌詞の中で、
「いくつになってもこのままここで輝く」
 とあるけど、彼女がアイドルとして輝くのは今日で最後だ。形容し難いが、本当の本当の本当に、文字通り「キラキラ」しているように見える彼女を見て、早くも私は号泣していた。セットリストは進み、ダンスブレイク、CAMEOと続いてMCが入った。
 「ここからはなーたんのやりたいことがいっぱい詰まったセットリストです!」
 そう言って次に始まったのは、なーたん自身の思い出を辿っていくようなセットリストだった。自分を見つけ出して育ててくれた指原莉乃のソロ曲、「それでも好きだよ」のカバー。メンバーとのユニット曲。妹グループの曲。初めてセンターを務めた「ズルいよ ズルいね」。グループの年少組であるW齋藤がセンターを務める「いらない ツインテール」。全ての曲になーたんの思い入れが感じられてとてもよかった。また、2時間ルームランナーで走りながら歌を練習するといった、なーたんのありえない努力がクローズアップされ、あまりの尊さに意識が過去にトリップし、ふわふわしながら見ていると、「青春サブリミナル」で意識が一気に引き戻された。イコラブが勢いに乗り始めた時の王道爽やかアイドルソングで、ファンが大好きな歌である。なーたんのパートはこれ以降誰がやるんだ?代わりなんていないのに。あっという間に時が過ぎ、卒業ソングの「探せ ダイヤモンドリリー」が終わり、一旦幕が閉じた。
 アンコールの拍手が響く中、本当になーたんはファンのことも、メンバーのことも、大好きでいてくれたのだとしみじみと感じていた。同時に、こんなにもファン想いだった彼女が私たちファンのことを考えながら髪型を決め、服を決め、メイクをすることはもう無いのだと思うとたまらなく寂しい気持ちになった。
 アンコール一発目の曲は、この日のためにさっしーが書き下ろした、「君だけの花道」。ピンク色のフリフリドレスにふわふわツインテール。日本のアイドルのまさに理想を体現した完璧な姿で歌い上げるなーたんの姿に、心の中で何回もシャッターを切った。デビュー曲の「=LOVE」の中には
「やっと会えたMy ideal 君こそ=LOVE」
 という歌詞がある。その歌詞を、5年半という時間をかけて、オタクに最後に思わせるなーたん。下手な漫画よりも鮮やかな伏線回収ではないだろうか。MCで、なーたんのお母様からなーたんに向けて手紙が読まれた。聞いているなーたんがその日で一番泣いているのを見て、育ちと性格の良さを感じ、もはや齋藤なぎさの血縁推しになってしまった。なーたんの一つだけ心残りなこととして、みんなと一緒に東京ドームに立てなかったことと話していた。自分がいなくなった後、絶対に東京ドームに行って自分を見に行かせてほしい、そう語るなーたんにそれはズルいよ…と思うと同時に、かっこいいとも思った。
 多分イコラブのオタクはなーたんがいなくなった後のことについては悲観的だっただろうし、オタクをやめる人も多いだろう。でも、本人の口からこんなこと言われたら、イコラブのメンバー、オタクみんなで諦めず頑張るしかないじゃない。すごく小さな身体で、大勢の人を引っ張ってきたなーたん。最後まで彼女の理想である、「かわいいし、かっこいいアイドル」でした。
 最後、なぎさと言えばこの曲、「届いて LOVE YOU」。大好きだよが口癖だったなーたんの、最後の大好きだよが聞けて本当によかった。なーたんに出会えてよかった。
 歌い終わり、みんなに感謝の気持ちを伝えたなーたん。アイドルが好きで、アイドルに憧れて、いろんなアイドルの卒業コンサートを見てきた一人の女の子が、誰よりも惜しまれて、誰よりも綺麗にアイドル人生を終えた。
 マイクをステージに置き、歩き出すなーたん。こちらを振り向いて、ツインテールを解いた。これからはアイドルの象徴であったツインテールをやめ、女優の道へと踏み出していくのだろう。ゆっくりと幕が下がり、なーたんの頭が隠れ、せわしなくこちらに振ってくれたかわいい手が隠れ、いっぱい我慢して作り上げた細くて筋肉のついた綺麗な足が隠れ、アイドル齋藤なぎさは私たちの前から永久にいなくなった。
 なーたん、本当にありがとう。出会えてよかった。本当に大好き。センスあるどこかのファンの言葉を借りますが、私がいつ、どこにいようと、私のいる場所がなーたん大好きシートだよ。
 
 
 
 
 セットリスト
 M1.現役アイドルちゅ~
 M2.Want you!Want you!
 M3.Be Selfish
 M4.Oh!Darling
 M5.CAMEO
 MC
 M6.それでも好きだよ
 M7.狼とプライド
 M8.推しのいる世界
 M9.言い訳Maybe
 M10.わたし、魔法使い
 M11.流星群
 M12.君はスパークル
 M13.ズルいよ ズルいね
 M14.いらない ツインテール
 MC
 M15.僕らの制服クリスマス
 M16.The 5th
 M17.「部活中に目が合うなって思ってたんだ」
 M18.青春“サブリミナル”
 M19.スタート!
 MC
 M20.探せ ダイヤモンドリリー

 <ENCORE>
 MC
 EN1.君だけの花道
 EN2.=LOVE
 MC
 EN3.笑顔のレシピ
 MC
 EN4.届いてLOVE YOU

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