「産まなきゃよかった」と言われて育った人へ
「産まなきゃよかった」
親にそう言われるのが普通のことでは無いと知ったのは,高校に入ってからだった。
少しでも認められたくて,猛勉強の末入ったお嬢様高校には,全くの別世界が広がっていた。
自分のような片親家庭など存在しないどころか,親が医者,弁護士,会社の役員なんてのはザラだった。
余裕のある親に育てられたかわいくて真っ直ぐな女の子たちは,もちろん親から殴られた事もないし,暴言を吐かれた事もないと言った。
高校が私にとって息苦しい場所になるには,その事実だけで十分だった。
私は教育にはお金を出してもらっているし,飢えた事もない。もっとひどい親はこの世に確かに存在するのだろう。
しかし,「産まなきゃよかった」「死ね」「バカ」と幾度となく自分に言ってきた人をどうして好きになれるだろうか。
「産まなきゃよかった」という言葉をかけられて,子供はどうするのが正解なのか?
何か許せない,直してほしいことがあるなら,「産まなきゃよかった」ではなくてそのことをきちんと言葉で言えばいい。
そもそも頼んで産んでもらったわけじゃないのに,親の所有物でなく1人の人間なのに,何より力の無い子供は家庭から逃げることなんてできないのに。
なんて暴力的な,非人道的な言葉なのか。
私は決して言われたことを忘れないし,許すつもりもない。
ただ,これから今まで失ったものを,手に入れられるように頑張りたいと思う。
どうしても親を好きになれなくて,世間でいう親孝行な子供になれなくて,苦しんでいる全ての人へ。
親が仮にあなたの衣食住を担保していたとしても,親はあなたにひどい言葉を言う権利を得ているわけではありません。
私は学費や衣食住の全ては,勝手に自分の欲望を優先してこの生きづらい世界に生んだ親が出して当然だと思っているし,大学院の学費も散々苦しめて一生ものの傷を負わせた慰謝料だと思っています。
だから,親の面倒を見る必要も無いし,お金を返す必要もありません。
今学生の人も辛いけど,バカな親は何を言っても変わらないのだから,一緒に耐えて,社会人になったら縁を切りましょう。
「産まなきゃよかった」と一度でも言ったことがある全ての親へ。
産んだことが問題なのではありません。あなたの間違った教育が問題だったのです。
正しく言うなら「あの時こう接してあげればよかった」です。
子供は先天性の障害を除いて,あなたが育てたように育ちます。
子供が成人してからあなたにとる態度は,あなたの教育の通知表だと思ってください。
少しでも後悔する気持ちがあるなら,一生謝り続けてあげてください。
子供を産んで育てるのは義務です。決して「してあげた」ものではありません。
感情のコントロールもできない歳だけとった子供が,子供を産まないで欲しい。
ただそれだけです。
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