松たか子先生のご心労いかほどかと

Frozen 2
アナと雪の女王2


記録的大ヒットとなった前作からはや6年、全世界の子ども(と一部の熱狂的な大人たち)待望の続編が遂に公開されました。

主役のアナ先生、エルサ大先生の人気は凄まじいもので(興行収入もすごかったが、フランチャイズ商品が爆売れ)そのせいでお二方がディズニープリンセスシリーズに入れられていないというのは有名な話です。(男児女児ともに人気のあるアナ雪のキャラクターを、主に女児向けにピンクテーマでマーケティングされているディズニープリンセスの枠組みに入れるのは時代的にもナンセンスという点もあります。)

世界で最も有名な姉妹の1組ともいえるこの二人の物語、ディズニーにはすぐ続編を作るお金も、ファンも、理由も(両親のことなど様々な謎が一作目で残された)ありましたが、すぐには作らなかった。ファンを焦らしている間にリメンッバァ〜ミ〜〜♪とおばあパワー(あれはほぼ反則だった思う)でみんなを泣かせたココと抱き合わせて謎のホリデースピンオフを作りましたが、あれはただオラフがカワイかった、という記憶しかわたしには残りませんでした。(真面目に見返しましたが、一瞬アニメがセーターの柄になる(表現が難しい、見れば分かります)部分しか見どころらしい見どころを見つけられませんでした、正直音楽はまあ良いねぐらいだと思う、)(明らかにクリスマステーマですが、クリスマスとは言わずに様々な宗教に配慮してホリデーとして扱っているのが流石です。)

画像1

do the next right thingなディズニー
製作陣のいろいろなインタビューを見る限りでは、スタジオは前作アナ雪の成功(従来のプリンセス・王子様像を打破したことによる文化的影響)と反省点(クリストフを含めサーミ人をモデルとした先住民族やその文化の描き方など)を踏まえ、時代に適したきちんとした(worth telling)続編を作ろうとしていたこと、そのことによって製作にかなりの年月がかかったようです。今作はそれらの反省点がきちんと反映され、先住民族の描かれ方にはサーミ人によるコンサルティングが提供されています。(その関係で今作はサーミの言語での鑑賞が可能に!)

多くの人が指摘しているように、今作は神話要素が強い一方で、エルサ大先生のアクションシーンも多く、一見ディズニーファンタジー・ミーツ・プリキュアのような様相をなしています。(当方はプリキュアをきちんと見たことがありません。)しかし、国による先住民への圧政とそうした過去の誤った行為への代償など、非常に今日的な政治問題を扱っている点を鑑みると、幼児から大人まで幅広い年代へのツボを抑えており、(みんなの一番のツボはオラフ)今作は子どもたちは見返す度に新たな気付きを得るような、素敵な作品になっていると思いました。

画像3

松たか子先生のご心労いかほどかと
前作と比較して作中の音楽がイマイチとの厳しい声もありますが、個人的には前作の音楽をみんなが6年の間に様々な場所で聞いているうち、それらの楽曲への愛着を知らぬ間に育んでおり、我々が聞き慣れない新しいセトリに順応出来ていない説を提唱したいです。聞き込んでみるとどれもいい曲!特に話題になった80年代オマージュ全開のクリストフの曲はプロの絶妙なバランス感覚とギャグセンスに感服です。

今作でLet it go的役割のInto the unknownはエルサ大先生の声を務めるIdina Menzelの歌唱力がハンパなく発揮されていて、さすがブロードウェイ仕込み、、、すごいよエルサ大先生、という感じです。(とにかく原曲バージョンで聞いてください。)エルサのもう一つのソロ曲、Show yourselfは作品のピークで流されるので、とにかくドラマチックー!!!な一曲です。アニメーションとのシンクロ率がすごかった。

画像2

ちょこっと所感
個人的に唯一気になったのは、前作と比較してストーリー部分と楽曲のシーン(ミュージカルパート)の溶け合い具合というか、二つのシーンの行き来がそれほど自然ではなかったように思えた点で、節節でこの曲は、このミュージカルシーンは、ストーリーの進行上に必要か???と思いながら見ている自分がいました。しかし、それも愛着が湧いてるから前作の方がよく見える説かもしれません。どんな点を前作と比較するにしても、6年間の積み重ねを考慮する必要があるかと思います。

アナ先生とエルサ大先生の大活躍に目を奪われがちですが、今作におけるクリストフの描かれ方に関しては多くの称賛が送られました。それに関してここでつらつらと書こうと思い、そもそもこの記事を書き始めたのですが、この記事以上に書けない!!ことに加え、自分の中でのジェンダー論が確立していないまま、それを論じることに正直に抵抗を感じるのでやめました。(B社の記事はあまり好きではないのですが、この記事は超良いです。)常に価値観をアップデートし続け、それを作品にしっかりと反映させていくディズニー、超好感度高いじゃん。素晴らしいと思います。

超絶キレイなアニメーションだけでも一見の価値ありです。ぜひ、ご覧ください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?