大人の泥遊び

今年の4月、全国ニュースにこんな出来事が取り上げられた。レンタカーで貸し出された車が、返却時一見きれいだったものの、エンジンルームを開けると泥だらけで清掃に2人がかりで1日半かかったという話。
『田んぼで泥だらけ』なら日本人は親しみをもって聞いていられるが、今回のような『車で泥遊び』は珍しいこととして受け取られ、全国ニュースにまでなったようだ。

さて、タイトルにもある『大人の泥遊び』とはいったいどんなものか。
いったいどんな人が、わざわざ好んで汚れる遊びを楽しんでいるのだろうか。

ロシア南西部にあるウクライナとの国境近くの町Белгородに、彼らはいる。

大人の趣味や大人の遊びにはそれぞれ流儀があるものだ。特に男の遊びなら言葉でなにかを説明する必要はないと思う。ご覧あれ、これが大人の遊びで、これが愛車との泥遊びだ。このビデオは、YouTubeチャンネル『Менеджер Антон』で公開されている。

初めて彼らのビデオを見ると『どうやったらそんな車のいじめかたを思いつくだ！』とショックを受けるだろう。だがひと月ほど半ばBGMとして見ているうちに車に対する残酷さには慣れてしまう。今はもう、ブゥゥゥンとアクセルを踏みこむ音が心地よく感じてしまう。もちろん、日本車の組み立て工場に勤める人には申し訳ないので見せたくない。

ロシアには、こういった車で遊ぶための泥の道を整備して管理人として収入を得る人がいるらしい。こちらのビデオのなかでは、水場用の防水スーツのような作業着を着て泥の中を歩いて車の『救出作業』を助けている人がいるが、この人が今回のコースの管理人なのだろう。

調べてみると日本にも、『オフロードコース』と言うバイクや車で楽しめる同じような場所が各地に整備されているようだ。少し検索してみたが、やはり日本のコースは綺麗だ。

『Менеджер Антон』のチャンネル内をのぞいてみる方向けに少しコメント。ГеликとはMercedes Benz Gクラスのことだ。それから日本車をяпонцы、ドイツ車をнемцыというように人呼びしている。そして、当然のことながら彼らはユーチューバーである。派手めな演出を求めてビデオが作られていることは念頭に置いていただきたい。