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バイオダイナミック農法のアルケミ― (聖なる農業 第三章の2)               Sacred Agriculture         ーAlchemy of Biodynamics by Dennis Klocek より


第三章〖マクロとミクロ〗の2

無限に遠い平面

ここで、無限に遠い球体、あるいは 「無限に遠い平面の球体 」を想像する際に働く力について考えてみましょう。この考え方は射影幾何学に見られるもので、これがルドルフ・シュタイナーの仕事の多くを理解する鍵になります。無限に遠ければ、完全に平らな平面になることは、前章で見ました。そういう唯一無二の平面が、すべての方向にあり、球体をなしています。人間の意識が点中心であるため、その完全に平らで無限に広がる、無限に遠い平面は球体のように見えます。私たちの点中心の意識では、無限遠にあるその唯一無二の平面は、唯一の無限平面としてどこにでも見え、どの方向から見ても同じ平面に見えるのです。それは球面上のあらゆる場所にあり、しかも、ただひとつの無限でユニークな平面であるという、パラドックスなのです。人間は点中心の意識を持っているので、球体の中心点から、その唯一無二の平面を、あらゆる方向に無限として存在する同じ平面として経験します。しかし知覚的現実では、地平線を越えれば空間には方向というものは存在しません。方向とは、一種の局所的現象にすぎないのです。

点中心の意識には名前があります。「私!」です。「ここに私がいる」と言う時、宇宙全体が星空のように球体になります。背景と呼ぶこともできます。宇宙全体が天球の音楽として、星座のように配置されます。これは宇宙の無限性に対する、人間の意識の作用です。限りない無限性を球体として星座化するのです。この作用は、あらゆる方向からやってくる光の質を変え、点を囲んで、その周りに配置します。私たちはそれらを芽、結晶、頭蓋骨、肺、膀胱、あるいは平面で出来た小さな宇宙たちと呼ぶことができます。
この用語を農業講座に当てはめると、学習の大きな助けとなります。かつて、天球の音楽は根本原理でした。天球という概念は、私たちが宇宙の相対的な中心にいて、点中心の意識で、平面でできた球体として、宇宙を見ていることから来ています。平面とは、生物学的な言葉では 「表面 」です。自然界で面があるところには必ず境界や移ろい(Gradient)があり、面の片側にあるものと面の反対側にあるものは、法則に従った力で相互作用します。表面は私たちが元素的存在と出会う場所、あるいは彼らを評価し始める場所だと言えるかも知れません。表面とは、特徴の違う2つの場の相互作用の産物です。

自然界では、2つの異なる場の作用が重なるところでは、その境界面がある種の表面となります。草地と森林が出会う場所では、捕食者と獲物が出会い、森林の植物相と草地の植物相が出会い、あらゆる種類の菌類が関わり合う、非常に活発な境界が存在します。草地の真ん中まで足を伸ばせば、森林の日陰の端に生息するような儚げな植物が茂ることはありません。また、林の奥深くで儚げな花が咲き乱れることもありません。彼らは草地からの十分な光が、高い木々と交錯する環境が必要です。自然界では、異なる二つのエリアの境界は、一方にあるものと他方にあるものの相互作用をエネルギー的に表しています。この相互作用領域は「勾配(Gradient)」と呼ばれる段階的な変化の起こる表面なのです。

境界層はミクロレベルだけでなく、マクロレベルでも現れます。例えば、太陽の活動場の端には太陽風が停止する表面があります。宇宙物理学によれば、私たちは太陽の内部に住んでおり、地球は太陽の内部に存在します。私たちが太陽だと思っているガスの球体は中心点にすぎず、太陽とその活動は冥王星をはるかに超えています。人工衛星が太陽風の端に到達すると、外の星間空間(Interstellar space)に到達するためには、乱流帯を通過しなければなりません。太陽の影響範囲の境界で乱流を発生させるのは、一種のエネルギー的な膜なのです。

膜と表面

自然界では、表面において、事が起こります。表面とは、活動の場なのです。そして、表面を作る平面は、節(Nodes)となる点で構成されています。節というのは、活発な活動領域の中に分散して配置された不活発な点です。節の間の空間では、活動が最大であり、節とは表平面において物質が顕現する場所なのです。生物学では、節は膜を構成する物質であり、節間(Intervals)は膜を透過できる部分です。自然界の最も基本的な構成要素である膜は、節と節間によってできています。

つまり、「非物質パターン 」は活動に満ちた部分で、「物質 」は活動が止まった部分です。これは音のような現象を扱う普通の物理学、あるいは音楽の仕組みです。それぞれの音符自体は音楽の本質ではありません。音楽とは、ある音符と次の音符の間であなたの魂がどのように伸びるかです。それが音楽なのです。耳が聴くのは音符だけですが、あなたの魂は音符を飛び石のように使って小川を渡ります。音楽は、耳で聴く音符の中では死んでしまいますが、あなたの中にあるものの中では生きています。音の間(Interval)にある動きを、あなたの魂が引き継ぎ、それに合わせようとすることで、音楽はあなたによって動かされるのです。このような現象は、みな同じ仕組みであり、元素界がどのように働くかの類例を示しています。

人間はマクロとミクロとの間に引っ張られているので、マクロとミクロの折り合いをつけなければならない接点が常に存在します。大きい接点もあれば、小さい接点もあります。太陽風の端かもしれないし、ある細胞と細胞の間かもしれない、あるいは、あなたの肝臓の細胞の中の2つの流れのpHの違いだけかもしれません。実体間のその差が、エネルギー的な膜を形成します。それは、物質の膜ではありませんが、それでも膜であり、そのエネルギー的な膜が持続すれば、やがて2つのpHの流れの合間に塩が析出します。これらの関係は、浸透、拡散、半透膜を生み出す推進力となり、それは地球と関わり合う宇宙的活動の類似形です。地磁気力の場であれ、細胞の活動であれ、すべて同じ形のモチーフであり、形は力のダイアグラムを構成します。

私たちが光と呼んでいるものを、科学はどのように捉えているのでしょうか? それは、宇宙から地球へやって来るエネルギーの、媒介者です。私たちの太陽の光だけではありません。私たちが星と呼ぶ他のすべての太陽からの光も同じです。それらはすべて光を発しており、この星の光の領域は少々クレイジーです。科学者たちはハッブル宇宙望遠鏡を使ってある実験を行いました。ハッブル宇宙望遠鏡で魚座を覗いたところ、ピンの頭ほどの大きさのスポットがあり、そこには何も見えたことがなかったのです。天文学者が、このような小さな点を見つけると、「そこには何もない ですよ」と言うのです。それで、ハッブル宇宙望遠鏡を軌道に乗せたとき、科学者である彼らは当然のように、これを確かめることにしたのです。そして、その暗い「何もない」一点だけを350日間にわたって350枚ほど連続撮影しました。その同じスポットを何日も何日も撮影し続けたのです。そしてその画像を照合したところ、そのピンの頭のような場所に、何千もの銀河が見つかったのです。まるでシャーレの中で泳いでいる微生物のようでした。私たちが話しているのは、ほんの芥子粒のような中にある、何千もの銀河宇宙のことなのです。しかし、今この瞬間にも、それらの銀河から光が降り注ぎ、私たちを浸しています。 このイマジネーションを、地球を包み込む天球というものに広げて、少し考えてみると、絶え間なく、すべての方向から、私たちを包む無限の光の海、ルドルフ・シュタイナーが言うところの「エーテルの海」が見えてきます。

波動のパターン

音による水紋 と 珪藻

左の図は、水を貯めた大きな平底の容器に、周波数を調節できる振動板を取り付けたものです。振動がある周波数に達すると、水が細胞状の模様を表します。 これは「干渉 」によって起こります。このパターンには、六角形やある種の幾何学的な形に囲まれた中心があることがわかります。この形は、音波が互いに干渉しながら横切るときに現れます。その結果、波が交差する場所では定在波が発生します。波の振幅が大きくなり、水面が周囲の水面よりも高くなる部分と、その間で水が振動していない谷ができます。振動が止まったところに結節点ができるのです。この画像は「サイマティクス」と呼ばれる実験的アプローチによるものです。

左の図は珪藻(Diatom)です。すごく小さいので、これが水中を浮遊しているのを見るには、顕微鏡が必要です。これはプランクトンの一部であり、微生物の殻です。振動する水の模様と珪藻の形との対応関係を観察してみましょう。この画像に見られるのは、この動物が殻として自分の周りに作るシリカ構造です。珪藻の中には小さな動物が住んでいて、その動物がシリカの殻を作るのです。形を観察してください。ここでは、形がどのように作用するか、特に光、音、温かさに反応した珪質物質の形について探求してみましょう。

クラドニ図形 と 珪藻

左図は、真鍮の平らな円板の上にホウ酸の結晶を播いたもの(クラドニ・プレート)で、バイオリンの弓で適当な音程に振動させます。ある音程に達すると、板のすべての部分がその音に合わせて振動し、ホウ酸の粒は振動部分から遠ざかり、振動のない結節部分に移動します。ここに見えるのは、それぞれの音程のパターンです。もし私たちに音を観ることができるなら、ここでホウ酸が垣間見せてくれているような蜂の巣状の形が、1秒間に何回という周波数によって、空間に広がっていくのが見えるでしょう。右の図は、クラドニ図形によく似た別の珪藻の顕微鏡写真です。これらの写真は、音の活動、特に活動原理と活動のない節との間の関係で、形が現れることを示しています。

この図は、2つの音波が互いに干渉している様子です。一方は左上から右下へ、もう一方は左下から右上へと向かっています。この2つの波が交差するところでは、互いが増幅し合い、両方の波から生じる形態原理を生み出していますが、同時に、クラドニ図形で見られるような菱形の形態を示し始めるのがわかります。エネルギーの波が出会って交差するところでは、その干渉によって、活動と無活動の空間に細胞状のパターンが生まれます。この細胞パターンは、物質が無活動の結節領域に蓄積して生まれるのです。何故、古代人が「宇宙は偉大なる創造主によって歌われている」と言ったのか、この図は示しているのかも知れません。音の波動は互いに交差し、そこに生まれる振動の細胞パターンは、物質の沈殿によって明らかにされます。光、音、暖かさといったエネルギー、あるいは活動があり、その波動が交差するところに、形態モチーフの生まれる潜在性があります。純粋な力の相互作用によって、細胞と呼べるような形を生み出します。物質が活動のない領域に落ち込むことで、力の形態が明らかになるのです。 

光の伝播と射影幾何学

現代科学では光について、それが遠くからやってくるならば、既存の測定器で測定可能なある特性を持つことが知られています。光を測定する手段の一つは、波動前線(Wave front)、あるいは平面波動(Plane wave)と呼ばれるものです。恒星間宇宙(Interstellar)からやってくる光においては、光のすべての動きが理想的には互いに平行であると理解されています。つまり、天球(Periphery)から来る光の力を想像してみると、光はランダムに構成されてはいないことが分かります。科学によると、光は 一束のエネルギーとして、特定の形態を持って、私たちにやってくるのです。その形とは、波動エネルギーの動きに対して直角な平面です。これが「平面前線」です。もし光を測定したければ、その波の前線で測定します。そこでは、測定値の質が同じだからです。これは普通の物理学ですが、私たちが「無限に遠い平面たち」と呼んでいるものが、天球(Periphery)からのエネルギーの源であるというシュタイナーの考えを裏付けます。シュタイナーは人々に射影幾何学を学ぶことを強く勧めました。エーテル領域の神秘を理解する方法が、射影幾何学の法則の中に存在することを認識していたからです。射影幾何学に取り組み、無限に遠い平面についての強力な思考実験を経験すると、宇宙は自分の肉体を中心とした一点から発しているという思い込みが払拭されます。そして、光の存在である私たちと同じく、宇宙の根源は天球(Periphery)にあることが理解できるようになります。

このように、科学によれば、光は平面の形で地上に届きますが、それはただの不規則な平面ではありません。この 「光の伝播 」を巡っては、大きな問題があります。ここにある図は、光の波動伝播の理論的ダイアグラムです。ここには2つの座標軸があります。Y軸は垂直方向の振幅、X軸は水平方向の振幅です。光波は一方では垂直方向に伝播し、他方では水平方向に伝播します。図の上部を見ると、垂直波がピークの時に、水平波がゼロからサイクルを始めていることがわかります。これはちょっと、お腹をさすりながら同時に頭をとんとんする、子どもの時の遊びに似ています。

X次元が節(Node)に達したところで、Y次元はその波形の振幅に達し、X次元がその振幅に達するところで、Y次元は節(Node)に崩壊します。波のクロスサンプルを測定するには、両方の波の進行方向に垂直な平面で波を切るしかありません。それが波動平面です。波動平面は、2方向の波がある瞬間に共有するすべての点を通って回転しています。その結果、波動平面の運動は、コルクの栓抜きのように螺旋状になり、任意の瞬間における両波の振幅のすべての点を表しています。つまり、遥かな天球の星々を光源とする光は、回転する波動平面として宇宙空間を移動してくるのです。これは標準の物理学で主張される、光の伝播する方法です。それは、進行方向に対して完璧に垂直な平面として、スクリューのように回転しながら宇宙の彼方からやってきます。

平面による球体

恒星のように光を放射する光源があれば、コルクスクリュー状のエネルギーの平面は、全ての方向に広がっていきます。この図の全ての平面は、それぞれが一つの星から伝播してきた光であることを、想像してください。そして、この平面からなる円は、実は球体なのです。その球体の遥かな外縁(Periphery)には、各平面に1つずつ対応する星が、無数にちりばめられています。そうすると、この図は、物理学が言うところの、無限数の星々を光源とする光の進み方を表していることになります。この図での光の平面たちの光源は、この円の中心ではなく、宇宙の深みの星々の領域にあります。そして光の平面たちは、この円の中心に向かって来ているのです。この円の中心は、地上の顕在空間のどこか一点です。このイマジネーションでは、光は周辺(Periphery)から相対的な中心に向かって球状に伝播します。これは、ニコラウス・クザーヌスの話を知らなけれが、理解し難いかも知れません。

恒星のように、ある光源から球状に広がる光は、波動平面を形成し、あらゆる方向に進みます。何十億もの星の光源があり、その光の海の中心に地球を置くと、ルドルフ・シュタイナーが言うところの 「織り成す光(Weaving of the light) 」のイメージになります。だからこの図は、光の平面の織りなす球体である、宇宙のイメージなのです。そして同時に、光の平面の織り成す球体は、光を捉えるアンテナの原型でもあります。光のアンテナは平面で構成された球体の形をしています。

アンテナとしての球体

もし無限数の星々が私を取り巻いており、その光が私に向かって来るとしたら、私のところに到達したとき、それはその場所のすべての中心に向かうエネルギーの回転波としてそこにあります。植物の成長点を考えてみてください。その小さな成長点の葉と葉の間の空洞部分は、通常は球形です。それは、その小さな形態に光を受け入れるための平面の球体なのです。樹木の形態は、葉の平面で構成された球体です。多くの器官や動物の形も、球体の派生物や部分です。また、人間の頭は骨の平面が作る球体です。

つまり、平面の球体というものが一つの中心的なイマジネーションになります。それは、物理学が主張するように、光が伝播する方法であり、すべての生命体は光を受け取るための小さなアンテナを作ろうとするのです。だから、この原理で育つ植物は、星の光の平面を受け止めるための、小さな光の平面を作ります。それらは光のエネルギーを捉えて、取り入れるためのアンテナであり、その形は、その方法を示しています。その植物が、光のスペクトル全体の中のどの周波数を必要としているかも、そのアンテナが示しています。アンテナ理論によれば、アンテナの形は、受信しようとしている信号の似姿(Image)でなければなりません。さらに、それぞれの植物構造の持つ形態的特徴が、その植物の化学、フェノール(Phenolics)、クレブス回路(Krebs cycle)など、あるいはあなたがその植物に求めるものが何であれ、駆動するエネルギーとなります。植物では、炭水化物以外のほとんどのものは、ある種のアルコール派生物です。末尾に 「ol 」がつくものはすべてアルコール(Alcohol)の一種です。アルコールは、色素から酵素から何から、ほとんどすべてのものをカバーしています。アルコールは凝縮して物質化した光のようなものなのです。マッチの火を近づけさえすれば、分かります。アルケミストはアルコールを 「本質的な水銀 」と呼びます。

物理学の理論では、光は巨大な回転する無数の平面で構成され、あらゆる点で交錯し、沁み透っています。それは、遥かな宇宙の周囲(Periphery)の、星などを光源としてやって来ます。地球はこの巨大な光の網の中の一点であり、地球上では、これらの平面は球体に焦点化されます。すべての点は光を受け止め、それがどこまでも広がる平面たちを結びつける焦点化装置となります。自然界で最も光を受け止めるように設計された場所は、球形か、球形に近い形をしています。これは形を理解する一つの助けになります。形の言葉では、自然界にある球状の形は、光のエネルギーを最大限に受け取り、それを保持したいと言っているのです。球形へと向かうこのような傾向は、「極小表面の法則 (Law of minimal surface)」と呼ばれます。これについては、改めて触れます。

射影幾何学的イマジネーションを駆使してルドルフ・シュタイナーが提示する、エーテル界についての考えと、まったく同じことを別の視点から説明する物理学の概念との間に橋を架けたくて、少し難しくなってしまったかもしれません。他の人たちならば、見つけるのに多くのハードウェアを必要とする物理学の諸法則を、シュタイナーは見霊能力を通して、見ることができたということは、非常に驚くべきことだと思います。彼の見霊能力は非常に発達しており、イマジネーションは非常に精密であったので、自分の知覚が物理的、そして霊的現実とリンクしていることを確認することができたのです。彼が物理科学の博士号を持っていたことも助けになったでしょう。現代の秘儀参入者(Initiate)として、自分の仕事の基礎が必要だったので、彼は工科大学(Polytechic Institute)を出たのだと思います。

球面波と平面波

平面波  と  球面波

左の図は空間を移動する平面の想像図であり、これらの平面は運動の方向に対して直角に進みます。右の図は 「球面波の伝播 」を示しています。自然界のどの点においても、その点から発するエネルギーは球形です。だから、毎朝草の葉先に落ちる露は小さな立方体ではないのです。自然界のどの点からも、地球は実はあらゆる方向にエネルギーを漏らしています。どの点からも、巨大なエネルギー、メガボルトの電位が外へ漏れ出ているのです。例えば、雲量が変化するたびに、電位は地球から草の葉先の点を経由して発散するか、あるいは逆に空から地球への方向に変化します。常にエネルギーの交換または流れがあって、エネルギーが地球から上がってきて草の葉先を通って放射されるときは、それは球面波として出ていきます。したがって、ある点(右図の円の中心)から発せられた球面波は、やがて、中心点から遠く離れて平面になるに至ります。 「球面波はどのようにして平面波になるのか?」という偉大な問いには、「少し先へ行く必要がある。」ということなのです。再度ですが、これはニコラウス・クザーヌスの実験に関連しています。

さて、ある点からの球面波の発生は、光の発生サイクルの一部であり、光の平面波が「アトラクター」に当たって反射または屈折するたびに起こります。この図では、左から入ってきた光の平面波が、小さな穴の開いた壁に当たっています。光が小さな穴を通ると円形になるので、穴は光のアトラクターとなり、別の球面波となって穴から放射されます。それがこのダイアグラムです。そして、その球面波は広がっていって、平面になるほど成長し、それがどこか別の開口部に流れ込み、それがまたアトラクターとして、それぞれ別の球面波を発生させてひろがっていきます。

「まあ、それは物理学ですね。自然界ではどこで見られるのですか?」とあなたは言うかも知れません。ちょっとした話をしましょう。ある日、私たちは大学にいて、その日は部分日食の日でした。私たちは庭のプラタナスの木の下のテーブルで、木漏れ日を浴びながら、日食を待っていました。その時、木に登っていた子どもの一人が、「あ、壁を見て!」と言ったのです。大人たちが公転周期についてやら、何やら話していると、「あ、壁を見て!」と言う声が聞こえたので、壁を見ると、三日月のようなイメージが何千もあったのです。日食中の太陽の顔を遮る月の、三日月の形が何千もの数でそこにありました。子どものおかげでそれを見ることができたのです。私たちの会話は、日食や公転周期から、「ここでいったい何が起こっているのか?」に移りました。私たちは、日食が終わった後、壁がまだらな木漏れ日で覆われていることに気づきました。私たちが当たり前のように思っていた木漏れ日の模様が、実は太陽の精密な映像を投影していることに気づいたのです。そして、その太陽のイメージは、木の葉と葉の間によって焦点を結ばれていました。葉と葉の間の空間が、小さな開口部となり、無数の球面波が発生していたのです。庭の壁にあったのは、自然のピンホールカメラによって映し出されたたくさんの太陽の像でした。

このように、光が通る木の葉と葉の間の空間がレンズのピンホールカメラとなって、そのたびに新しい光の伝播、つまり球状の波動が生まれます。科学はこのことを認識し、このような小さな空間を「アトラクター」と呼びます。アトラクターは光を引き寄せ、焦点を合わせ、そしてまた新たな始まりを作り出すのです。電気的な言い方をすれば、これらは変圧器と呼べますし、光学システムで言えば、レンズと呼ばれます。このように、自然界には、光がどのように伝播し、どのように受け取られるかというパターンが存在します。そして、アトラクターと球面波によって、光のエネルギーは物質の中を上がったり下りたりします。私たちは、光によって生み出されるこうした力のパターンを「生命力(Life force)」、あるいはルドルフ・シュタイナーが呼ぶように「エーテル力(Etheric force)」つまり、光のエネルギーと呼んでいます。自然界に存在する伝達の力は、光があるレベルから別のレベルに変化するあり方と同じ形であり、平面による球体なのです。

レンズ と 平面波

左図は、下からの球面波がレンズに当たって平面波になる様子です。反対の方向では、平面波がレンズに当たって球面波になります。自然界におけるこの平面-球面-平面-球面-平面-球面の振動が、物質の多くの変形特性の基礎となっていて、そのパターンには多くのバリエーションがあります。

右の図では、平面波が上方から中央のアトラクターに向かって来ます。そして、球状のアトラクターにぶつかると渦が発生します。なぜなら、平面波は回転しているからです。ぶつかった平面波は球体を包み込み、裏返しになります。そしてアトラクターの反対側で渦状になり、内側では反転を始めます。こうして、光の渦ができるのです。つまり、球体は回転する平面波を自分の中に折り込んでいくのです。だから、自然界において球体がある場所では、光とアトラクターの反応によって、単なる球形の波ではなく、内的な空間が生まれるのです。自然界の開口部はある種のアトラクターであり、丸い形は別の特別な種類のアトラクターなのです。ここで説明しているものを 「光の形態的モチーフ 」と呼ぶこともできます。ある視点から見れば、これらの形はボールや穴に過ぎませんが、これらの形は光に対して何かをしているのです。頭蓋骨、開口部、亀裂、内部の質、内部表面は、生物組織の中で光が作用する仕方に影響を与えます。それらが生み出すパターンは予測可能であり、自然界の相互関係をより深く見通すイマジネーションを養うために使うことができます。

次に、光と形の関係という難しいことを考えてみましょう。それが、エーテル界について考える出発点になるからです。ルドルフ・シュタイナーは、エーテル的なものが何であるかは語らず、ただそれを描写しただけでした。それでも彼は、いくつかの手がかりを残しています。あたかも、「エーテルというものがあること、それには独特な作用の仕方があることは言いましたね。後はあなたたちが空白を埋めなさい。」と言っているかのようです。

光伝達エーテル

シュタイナーの時代、エーテルの問題は非常に重要で、アントロポゾフィーで取り上げられただけではなく、科学者たちにとっても非常に大きな問題でした。1887年、「光伝達エーテル(Luminiferous aether)」または「エーテルの風(Aether wind)」を見つけることを意図して、アルベルト・マイケルソン(Albert Michelson)とエドワード・モーリー(Edward Morley)による有名な実験が行われたからです。シュタイナーの時代、人々はこれらの光の波動や平面波を運ぶためには何らかの媒体が必要だと言っていました。当時の科学的状況では、光は光伝達エーテルという、ほとんど測定できないほど微細な物質を介して伝達されると理解されていました。(あるいは理解できると思われていました。)何にせよ、唯物論的物理学のモデルに適合させるためには、それは「物質」でなければなりません。彼らは、エネルギーを伝達するには、真空でなく、物質が必要だと考えていました。結局のところ、音は真空中を伝わらないのですから。そこで、マイケルソンとモーリーは、計算で求められていた光速を測定基準にして、実験を行いました。彼らは、二つの山頂の測定器の間で光線を送り、地球の自転速度と照らし合わせながら、光の速度を測定したのです。地球の自転に逆らって光を発射した場合と、その反対の場合で、光の速度の違いを探しました。彼らは 「エーテルの押し流し 」あるいは 「エーテル抗力 」を探したのです。1887年のことです。工科大学に通っていたルドルフ・シュタイナーは、間違いなく当時の最先端科学を知っていたはずです。

この実験では、エーテル抗力が実在するというわずかな可能性しか得られませんでした。とはいえ、わずかなものではありましたが、否定する結果にはなりませんでした。当時、アインシュタインは相対性理論を発展させており、彼はこの抗力の量は実験誤差で説明でき、「エーテル 」の存在を証明するほど強固なものではないと述べていました。

同じ頃、ホメオパシーも開発されていました。ホメオパシーの治療薬には物質が含まれていないため、ある種の 「光エーテル 」で構成されているに違いないと考えられました。ホメオパシーそのものだけでなく、多くの人々がこの考え方を支持していたのです。1880年代には、ほとんどの病院でホメオパシーの薬が使われており、アロパシー医学にはまだ席巻されていませんでした。ホメオパシーは、物質ではなく光と霊性に基づいて治癒が行われる新時代の医学と考えられていました。1880年後半のことです。

マイケルソンとモーリーが実験に失敗したという、よく知られた事実があるので、今日の科学者にとって、バイオダイナミックの実践者がエーテルについて語ることは受け取りがたくなっています。彼らは、エーテルは100年以上前に否定されたと固く信じているからです。しかも、その最初の実験に続いて、少なくとも15もの実験が行われました。モーリー自身も、地球の運動と重力の影響を排除するために、装置をターンテーブルの上に置き、そのターンテーブルが別のターンテーブルの上で回転するという別の実験を行いました。彼は、脚をガラスに埋め込んだ特別な装置を作らせ、実験中に光がずれないようにある種の布で部屋を作るなどして、誤差を排除しようとしたのです。このような試みは常に、元の実験とほぼ同じ量の「エーテル抗力」の測定に終わりました。古典物理学では、これらの実験は失敗とみなされましたが、それでも再現可能な結果であったのです。

ホメオパシーとタンパク質構造の合成は、「化学者の髭 」と呼ばれる奇妙な現象と関連しています。例えば化学では、ロサンゼルスとモスクワの研究室が特定のタンパク性物質の結晶化に成功したのとまったく同じ日に、ブエノスアイレスの研究室が、結晶化させていたりします。それまでは試してもできなかったのに、突然、遠く離れた3つの研究所すべてが、このタンパク質を結晶化させたのです。このような現象は何度も報告されていますが、なぜ起こるのかは誰も知らないのです。彼らは化学者なので、何か答えがあるはずだと考え、「化学者の髭」理論を思いつきました。当時、ほとんどの化学者は髭を生やしていました。その理論によれば、化学者は学会に行き、互いに話をする。彼らの髭にはそれぞれの実験室から分子がくっついてくる。会議の後、バーで酒を飲みながら話をする時、彼らの髭は、必要な分子を拾い上げ、それぞれの研究室に戻る。これが化学者の髭理論であり、世界中の異なる研究室が同時にタンパク質を結晶化できる理由です。もちろん、これでは研究成果を特許化することは難しいですね。

光伝達エーテルの実験の場合、結果は無効とされたのですが、人々はそれでも何かあると信じて実験を続けました。さらに、実験の誤差であろうと言っていたアインシュタインが、その後1920年には、「我々の考えの及ばない種類の、別の概念のエーテルがあるかもしれない 」と述べています。このように、この偉人自身が扉を開いたままにしていたのです。シュタイナーが説明したように、エーテルは考えられる種類の媒体ではなく、考えられない種類の媒体なのかも知れません。それでは どうやって、その不可思議な媒体を研究するのでしょうか?考えられないものを考えることは瞑想です。この実験を設定するには、私たちの意識を変える必要があるかも知れません。エーテルの領域に取り組むようになると、生命の領域に関わることになります。生命の領域に関わり始めると、光、エネルギー、極小表面の微妙な相互作用が、実験のためのまったく新しい語彙を必要とします。このような転換には、諸原則の原型を捉えるためのイマジネーションを発達させる必要があります。つまり宇宙のマクロなレベルで諸原則がどのように作用しているかを見ることができる想像力です。

動きと形態

滴下造形法

これらは、流体研究所が開発した「滴下造形法(Drop picture method)」の写真です。メイン州ブルーヒルのジェニファー・グリーン(Jennifer Greene)の研究と、ドイツ・ヘリシュリートのテオドール・シュヴェンク(Theodor Schwenk)の研究がその好例です。この技術では、テストしたい液体のサンプルを採取し、一定の割合のグリセリンと混ぜて浅い皿に入れます。そして一定の間隔で、蒸留水を何滴も液体に滴下します。グリセリンは粘性のあるアルコールであり、特質も知られています。蒸留水を液体に滴下することで、滴下するたびに混合物の奥深くまで力が働きます。このプロセスが信頼できるものであるためには、皿は完全に磨かれ、厳密なプロトコルに則って調整されていなければなりません。

写真の小さな黒いものは、蒸留水を滴下するピペットです。蒸留水の滴は落下し、液体グリセリンとサンプルの混合物に当たり、形を作ります。その後の一滴一滴が、さらに形の奥へ水滴を押し込みます。各ステップは写真に撮られ、一連の写真は、滴下活動によって発生する繊細な造形力に試験液がどのように反応するかを示しています。この過程で、液体の造形的(エーテル的)な潜在的活力が明らかになるのです。これが 「滴下造形法 (Drop picture method)」で、これはルドルフ・シュタイナーがエーテル的な力を研究する方法として提案したものです。生命力のある様々な液体は、それぞれ特徴的な形態を示します。特に、エネルギーを伝達する内表面の結び付きが汚染物質によって歪められた水と比べて、活力のある水の表面は、生命と光を伝達するはるかに高い能力を示します。水はあらゆる物質の中で最も高い表面張力係数を持ちます。そして、その中に何かが入ると、直ちに光と生命力の伝達の妨げとなります。このように、生命力を維持する特質について水質を検査するために開発されたのが、滴下造形法なのです。

左の写真は、山の湧き水がテストされています。渦の花のようなロゼットを形成しているのが見えますが、これは湧き水の内表面が繋がり合い球体の形を作り出そうとしているからです。水の理想的な形は球体です。球体では、水滴の表面はすべて偏りがないからです。球形であればあるほど、潜在力が高まります。なぜなら、表面積が最小となり、エネルギーが最大となるからです。球体の形が、光が水の中に集まる様子の似姿(Image)であるとすると、その球形が平面の中に入ると、渦に変わります。渦が言っているのは、「水は球体になりたいけれど、空気中でしか球体になれない」ということです。水が他の物質と接触すると、球体を形成しようとして、渦ができるのです。実際の渦はドーナツを作り、中心では内側に、側面では外側へ回転します。理想的には、これはトーラスを形成することになります。それがこの左側、活力ある平面が球状の形態を伝達していく作用を示している美しい水の写真です。

右の写真は、衛生施設からの排水で、科学的には純水です。つまり、バクテリアは含まれていないということです。しかし、細菌をすべて取り除こうとしたために、その水の命を保持する能力が破壊されてしまっています。その水は、石ころの周りを動き回り、たくさんの小さな渦を作ったりして、球状の性質を取り戻すことで、もっと生き生きしたものになれるはずです。これらはバイオダイナミクスの背後にある原理であり、水路のフローフォーム(Flowform)や調合剤をかき混ぜる方法などは、みな同じ原理に 基づいています。私たちは、生命力と光が強化され、集中されるように、水の中に豊富で滞りなく繋がった内表面を作ろうとするのです。

左は私が撮影した写真です。水をかき混ぜ、染料を垂らすと、渦が見れます。この写真で興味深いのは、平面状の無数の膜がお互いを内包して、感受性の高い全体を形成している様子が分かることです。それぞれの平面に染料が入り込んで可視化しているのは、そこが、違う速度で流れる水流の間の節のような部分だからです。膜の片側では、水は反対側よりも速く、あるいは遅く流れています。渦の中心は非常に速く流れ、渦の外側はゆっくりと流れます。渦の中でこれらの速度が調整され、組織化(Organize)され、物質を受け止めることができる「器官(Organ)」となります。渦の中の内平面は、私たちがその媒体に入れるものを何でも受け取る感度を持つようになります。なぜなら、水の動きが形態の現れる可能性を開くからです。これは、自然界の動きから生じる敏感な平面と内表面の例です。かき混ぜることで、水中に器官が形成されます。かき混ぜることで、内表面を増幅させ、水の中に入れた物質の中に生きている原理が何であれ、それを取り込む活力ある表面を内側に作り出します。これがバイオダイナミック調合剤をかき混ぜる時に、起きていることです。

右の写真では、物体の周囲の気流が渦を作っているのが見えます。渦は左右に交互に展開し、「渦の行列」を作ります。これはあなたが水をかき混ぜる時と同じです。渦の行列は、敏感な膜の動きに統合されるエネルギーを整え、流体の内部構造では、膜の増幅によって、非常に豊かな内表面を作り出します。層流ができ始めたこれらの内表面の中で、あなたが渦の方向と反対に流れをせき止め、全体の渦を壊した瞬間、カオスの状態と 「極小気泡(Micro-bubbles)」が発生します。これはナノサイズの気泡です。自然界には極小表面の法則というものがあり、これは先に述べたように、形が小さいほど表面は活性化するというものです。球体をどんどん小さくしていけば、表面の働きはより強力になります。ここに自然界の働きの秘密があります。内表面を増幅させ、強力にできれば、そこに活力を呼び込み、マクロとミクロが出会う場所になります。2つの力は、内表面の形成において出会うのです。

渦を壊す時、とんでもなく小さな泡ができます。ある水溶液の中に二つの方向から超音波(Ultrasound wave)を通して、2つの超音波周波数の干渉が起こるごく小さな領域に焦点を合わせて観察した実験があります。その小さな領域から、気泡が発生し始めます。この実験は、船の推進プロペラの合金が、極小気泡によってどう浸食されるかを研究するために行われました。プロペラが水中で回転すると、それによって気泡が発生します。プロペラが水面から空気を引っ張り込むのではなく、プロペラの高速運動によって水素と酸素が分離し、極小気泡が形成されるのです。これらの気泡が破裂するときのデシベルレベルは、ジェット機が裏庭を通過する時と同等であることが分かりました。さらに、気泡が破裂する時(写真もあります)、泡の底から渦が発射されます。その小さな渦の中で、局所的な温度は約400度まで上がって、止まります。だから、エンジニアたちは、水中を進むときに極小気泡の発生量が最も少なく、したがって音の発生も最も少なくなるようなプロペラを設計しようとします。大量の極小気泡がプロペラの合金にの上で爆発し、温度が急上昇すると、表面に小さな穴ができ始めます。すると、さらに気泡が発生し、それがさらに小穴を作る、ということになります。このプロセスが 「空洞化(Cavitation) 」です。

つまり、あなたがかき混ぜている液体の渦を壊す時、液体の中で激しい化学反応と熱反応が起こります。液体中に浮遊している物質が何であれ、吹き飛ばされ、微粒化されます。そして、淀みない一つの流線に組織化された水が、その物質を非常に効果的に吸収します。あなたが今度はその方向を逆にすると、その過程が繰り返されます。基本的に、これは水を消化器官にしているのです。水の中に形成される流線は、腸や腸間膜の形が消化器官を機能させる仕方の類似形です。すべては表面の働きなのです。

表面と内表面の創造に注意を払えば払うほど、消化プロセスはより活性化されます。自然科学はすでにこれらの概念を発見しているのですが、ルドルフ・シュタイナーが示した宇宙観(Cosmology)が欠けています。だから私は、船のプロペラと有機物を畑に撒くことがどう関係しているかを説明しました。シュタイナーの宇宙観から従来の科学で示されている現象を関係づければ、霊学的な理解を、科学者に通じる形で話すことができるのです。

魚の心臓 と 渦列

もう一度、左の魚の心臓を見てみましょう。これはフローフォーム(Flow Form)が開発された時の最初のインスピレーションを与えたものです。魚の血液は右に見える管から入り、動脈球は心室からの血液を受け取ります。心室は拡張して血液を引き込み、収縮します。心室のひだには、一連の小さな渦があり、それがだんだん大きくなって動脈球に入り、そこでまた、別の渦のパターンを作っているのがわかります。これが、地上の現象面から見た、魚の心臓の作用です。右の写真は、流体がパイプを通って別の粘性流体中に滲み出し、渦列を作り出している様子です。魚の心臓の作用とよく似ています。力は物質に先行します。これはこの種の研究における基本法則です。力とは宇宙的な活動であり、物質とは地上での現れです。

人間の心臓も同じで、血管ができる前に、鼓動する液体によって形成されます。胎嚢の中で、体液はリズミカルに鼓動を始めます。まだ静脈も動脈も心臓もありません。拍動している体液は、ゼリー状のもので満たされた小さな袋に向かって移動し、その流れの動きがゼリーに穴を開け、心臓の隔壁と弁構造を作り出すのです。これが発生学です。心臓の形は体液の動きによって作られるのであって、その逆ではありません。つまり、動きが形を作り、形は動きであったものが静止したものなのです。これらの概念は、農業講座をより深く理解するための鍵となります。動物の全ての器官は、有機的な過程や 動きが収束したものです。

写真左は、着色された液体が、水の中に挿入され、渦の輪を作りながら水の中を進む様子です。写真中央は、同じものを1㎝の渦輪のレベルで見たものです。写真右は、雲の中を飛ぶ飛行機です。飛行機の翼から流れ出る空気の流れが、航跡に渦輪を作り出しています。

写真中央の真ん中にある小さな丸い円は「ボルボックス(Volvox)」と呼ばれる繊毛を持つ微細な微生物です。これは群体性の動物で、繊毛を拍動して、白い線で示されているような流れを、自分の周りに作ります。その流れが外に出ていって帰ってくるときに、ボルボックスの中に食べ物の粒子を引き込むのです。この微細な活動は飛行機の活動と似ています。写真左は、「カルマン渦列 (Karman Voltex Street)」です。ここに見える雲の下にあるのは太平洋に浮かぶ島で、白いものはすべて、島の中央にある火山を横切って移動する雲の作る雲塊です。山頂によって引きずられるように、壮大な渦の列が続きます。これは、風の流れが創り出しているのです。写真右は、ハッブル宇宙望遠鏡による渦巻き銀河です。

このように、バイオダイナミクスにおける形態原理と形態の研究では、イマジネーションが鍵となります。とはいえ、単なる空想ではなく、正確なやり方で研究しなければならないのです。


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