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CTO・VPoEのキャリア〜次世代に向けて組織づくりに挑む〜booost technologies株式会社 VPoE 高塚 智敬

こんにちは、Startup Tech Live事務局です。CTO・VPoEのキャリアシリーズでは様々な企業のVPoEにインタビューを行います。
どのようなバックグラウンドがあり現在VPoEとして活躍しているのか、VPoEとして何に向き合っているのか、過去のキャリアから現在の仕事まで深くインタビューをします。
今回は人類史上最大の課題である「気候変動」の解決に挑み、NET-ZERO/サステナビリティ・リーダーの脱炭素化を加速させるプロダクトを提供するbooost technologies株式会社の執行役員VP of Engineering(VPoE)高塚 智敬氏にStartup Tech Live(以下、STL)がインタビューを行いました。


現在に至るまでのキャリアについて

STL)中学生ぐらいのときにプログラミングを始めたと以前記事で拝見しましたが、何がきっかけになりましたか。

高塚さん)父が自分で会社を立ち上げ、PC販売をやっていました。医療機関などにPCを納入したりとか。その関係で家には最新のパソコンがあり、小学校の頃からそれでゲームをしたりしていました。いろいろエラーが起きたりすると、原因を突き止めようと、パソコンを触り始めたんです。そのうち、自分でも何か作りたいと思うようになりました。

STL)パソコンにのめり込んだ理由は何かあったのでしょうか。

高塚さん)自分で書いたものが動くことや、インターネットの新しい技術に魅力を感じていました。当時、哲学にも興味が出て色々勉強していました。「分断された世界がなぜ起きるか」というテーマについて考えたことがあります。
共通理解がない、情報が圧倒的に足りないことが要因ということに対して、インターネットは1つの解決策になると感じていました。

当時は自分で掲示板を作ったりしてましたね。
大学に入っても引き続きコードを書いていましたが、自分ひとりでやるのは限界があると感じてました。作ることはできるけど、使ってもらうためにはどうすればいいんだろうと。
個人では限界があるなというフラストレーションを抱えていた時期だったと思います。それでNTTデータに入社しました。

大学の先輩がNTTデータに入社して、話を聞く中でもしかしたら自分がやりたいことは、会社という枠組みでできるのかもしれないなと感じ、当時はあまり迷わず決めましたね。

STL)その頃は、スタートアップに興味はなかったんですか。

高塚さん)そうですね。当時はそこまで関心はありませんでしたが、プログラマーにはなりたいと思っていました。
ただ、情報収集が十分にできていなかったことが良くなかったと思いますけど、当時はプログラマーの働く環境が辛いという風潮が結構あったので就職活動のタイミングではあまりみていませんでした。

NTTデータでは、プロジェクトマネージャーとしてキャリアを形成しました。一応最速で2020年にシニアプロジェクトマネージャーになることもできました。

booost technologiesとの関わり


STL)booost technologiesの初期プロダクトは、CEOの青井さんが高塚さんに依頼して作ったのですよね。

高塚さん)そうですね。自分で全部作りきれないので、ベンダーさんに依頼しながら自分はプロマネ的に動いていました。
実は私と青井は中・高からの同級生なんですよね。そこからなんだかんだでずっと繋がっていますね。
自分にない発想を持っているので一緒にいて面白いですね

自分は大学院に進んだので、彼が先に社会人になりコンサル会社で、トップランナーとして走っている姿をみて憧れてもいました。自分のやりたいことを一生懸命やって成果をだしている彼を尊敬していました。

STL)お父様も経営者ということで起業したいという思いはありませんでしたか。

高塚さん)興味自体はありました。一方で経営の大変な面を経験しているからこそ、親からはずっと大企業に入って安定した生活を送ることを勧められていました。なのでまずはNTTデータでキャリアを築いて、そこから起業なのか、何かわからないがチャレンジしたいことを探したいと思っていました。
そういう意味では、私よりも速いスピードで真っすぐ進んでいた青井を見て、羨ましいという気持ちがありましたね。

STL)青井さんからはずっと一緒にやらないかと誘われていたのですか。

高塚さん)そうですね。ただ立ち上げ当初の数人ぐらいの組織だと自分の価値を十分に活かせないのではないかという話はしていました。
まず作ることが優先だったので、優秀なエンジニアを採用すべきということで知り合いだった、永野さんを紹介しました。

永野さんは、NTT時代に一緒にプロジェクトを動かしていました。
一緒に深夜まで残業している仲間で、よく話をしていました。
嬉しいことに事業が急成長し、それにあわせて組織も拡大してきたのですが組織の拡大が事業成長に追いつかなくなっていた2022年ごろ永野さんから「もう(高塚さんがいないと)無理だ」と話があり、ほぼ即決で入社することを決めました。

前職にいる頃から、定期的にずっと関わりはあったのでいずれはbooost へジョインするんだろうと考えていましたが、自分が活躍するのはもう少し組織が大きくなってからだと思っていたので、永野さんが無理だと言うぐらいのタイミングを待っていましたね。

STL)スタートアップ自体への興味は、ありましたか。

高塚さん)興味はありましたね。ITアドバイザーのような関わりですがお手伝いもしていたので。自分の性格的にも、次はそういうところかなとは思っていました。
大企業になっていくと、ファクトを自分で確認できないレベルで判断しなければいけなくなってきます。情報量だけが多くなり、ファクトやニーズがわからないまま判断するような。そういう形で事業運営するのは本質ではないと考えていました。

STL)冒頭にあった「分断された世界がなぜ起きるか」といった哲学的思想がここでも高塚さんの信念としてでているんですね。

高塚さん)確かに通ずる部分はあると思います。
あとは生産性を上げたり、いろいろなチャレンジがしやすいのはスタートアップのほうが進めやすいとも思っています。そして、やっぱり日本を元気にするためにはスタートアップが頑張らないといけないという考えも持っていました。

入社していま3年目ですが物を作るスピードが断然速くなりました。
NTTデータにいる頃も頭を使っているという感覚はありましたが、今やっていることがそのまま事業の成長や数字という結果に繋がっているところは気持ちが良いです。
一方で経営に少し携わる身としては、やはり組織というのは難しいなと課題も感じています。

組織づくりの難しさと課題

STL)どういうところが難しいと感じますか。

高塚さん)組織については、自分の範疇を超えているかもしれませんが、
ビジネス組織とプロダクト組織がどうあるべきかとか、ある意味、白紙からデザインしていくこと、あるいは既にいる従業員の能力をベースに、どうあるべきかというところを考えることですね
考えることは好きなのですが、動かしていくという意味では、自分の工数は限られているので。

大手企業のように毎年新卒社員が数百人入るという組織づくりではなく、厳選採用して、大切に組織を作って、効率の良い形でアウトプットを出すことが重要です。
一方で求めるレベルが高くなりすぎると、働く人もつらいし採用も難しいという状況になってしまうのでその塩梅というか採用から組織構築は本当に難しいですね。

プロダクト面においても前職と違って、スタートアップ×SaaSの場合お客さんのニーズが曖昧だったり、個別性があったり、そこの部分をいろいろな変数を含めて最適解を見つけていくというのは、かなり頭を使うという感じですかね。

大体お風呂に入っているときとか、寝起きや寝始めぐらいのときは組織のことを考えていますし、PCを触っているときはプロダクトのことを考えています。二重生活ですね。

STL)ビジネス側と開発側の組織の連携は、他のスタートアップでも課題になりやすい部分ですが、高塚さんが何か意識されていることはありますか。
例えば、ビジネス側のトップである青井さんとのコミュニケーションの時間を増やすとか、高塚さんがビジネスサイドの現場レベルと話したりしているのでしょうか。会社組織の中で、いろんな職種の人が混ざり合うために、ご自身でされていることはありますか。

高塚さん)賢いやり方なのかはわかりませんが、今やっていることとしては、シンプルに商談に出ているということですね。
単純に情報伝達というだけではなく、一次情報を取りに行ってます。
商談に全部出ているわけではないですが、定期的に既存顧客に会いに行きます。
話す上で、同じものをちゃんと見ているというのが重要だと思っていて、そこをちゃんと拾いに行くということをしています。

後はちゃんと相談しやすいように、リアクションは本当にすぐ取るようにしています。
言っても返ってこないなと思われると情報が来なくなってしまうので。
キーマンや意思決定の定義をちゃんと決めるというも意識しています
情報伝達のパスをたくさん作ってしまうとよくないので、CEOと営業の2人みたいなホットパスを作っておくことを大切にしています。

VPoEとしての役割と課題

STL)青井さんはビジネス側に強いCEOだと思いますが、エンジニアリングやエンジニア組織への理解や興味はどうでしょうか?

高塚さん)興味も理解もすごくありますね。
勉強して情報を拾ってきて、情報展開してくれたりとかしますね
それこそ他社の開発体制はこうなっているらしいとか。エンジニアリング組織の本も読んでいると思います。
彼を見ていると自分も勉強しなきゃと思わされることが多々あります。

20年くらいの付き合いということもありますが、コミュニケーションは多くとっていますね。そういう意味ではビジネス側と開発側の連携はうまくできているとは思います。

STL)VPoEという肩書になり、課題感や、入社してから意識して伸ばしてきた部分はありますか。

高塚さん)市場が新しいこともありますが、会社が市場に対してどういう役割を持って、どういう機能を提供していくのかという視点で、何を作るか、どう作るか、どういう体制でやるかということをスピードを持って考えて実行していく、ということかなと思います。

まだ組織が小さいからそういうやり方ができていると理解していますね。
だからこそ、さらに成長・拡大した後の組織を考えると、第2の高塚をどうやって作るのかは重要なKeyになると思います。

現状大きな1つのチームを作って動かしているのですが、事業成長を考えると複数チーム必要になってくる未来がすぐにきます。そのときに同じクオリティでもう1チーム作るというところが今最大のネックです。
スケールできる状態を作らなければいけないと考えています。

まずは第1弾としてパーソルさんと一緒に協業してプロダクトを提供しています。一定の成果は出ているのですが、引き続き採用や組織構築は悩みながら進めています。

STL)組織デザインについてまだまだ課題があるということですね。

高塚さん)デザインはできるかもしれませんが、もっと深く考え、深く見たときに、結局どういう人がどういうポジションでどういう働き方をしていれば、もう1チームが立ち上がるかというのは、結局人によるところもあると思ってます。
どういう順番で人を採用して、どのようにチームを立ち上げていくかというところを考えながら採用は進めています。

プロジェクトマネジメントから得た経験と視点

STL)大企業のPMとして若手トップで走ってきて、そこからスタートアップのVPoEとして経営チームに入ってきた中で、求められることや考え方等に変化はありましたか?

高塚さん)実は自分の中では変わらなくて、PMというのはプロジェクトにおける経営者だと思っていました。

プロジェクトも経営も目的に対して関連するステークホルダーがいて、ステークホルダーと目的両方に目を向けながら、それらをコントロールしてゴールに向けてみんなで一緒に走っていくことです。

プロジェクトも起点はクライアントのニーズであるものの、なぜそんなことをしたいのか、実現したいことは何かを深く聞いていきます。大体最初はふわっとしたものが多いのでそこを固めていったり、実現可能レベルまで落とし込むことをしていました。

いまはCEOの青井が描く未来や市場とお客様の声を聞きながら、プロダクトに落とし込むことをしています。

アイデアがあって、お客さんに深く話を聞いてみて、アイディアが正しそうだねと仮説検証し、プロトタイプを作って、いろんなお客さんに出してみて、追加の声を聞きながら、プロダクトをアップデートさせていく。

今後拡大した組織になったらわかりませんが、いまの人数規模で言えば前職のプロジェクトチームともそこまで差がないため、前職での経験を活かしながら、進めています。

STL)経営・事業レベルでプロジェクトを俯瞰して見ることができていたのは、何か理由があったのでしょうか。
元々の性格が鍵になっているのでしょうか。

高塚さん)そうですね。とにかく、なぜこれを作らなければいけないのか、なぜこれをやらなければいけないのかということを、非常に気にする性格が一つあると思います。
なぜ、なぜ、なぜと遡っていくと、結局一番上まで行きますよね。
関わるメンバーが気持ちよく動けるようにならないと嫌だという思いがあるからだと思います。

あとは、前職時代で言えばシンプルに承認欲求からですね。誰よりも成果を出したいとなったら、まずは事業部長の視点で考えるようになる必要があると思っています。
お客さんと同じレベルで考える、お客さんの上層部と同じ視点で考える意識付けは非常に重要ですね。

1人だけすごく影響を受けた前職の先輩がいますね。
彼は物事の本質を考える習慣があり、なぜそれをやるのかをすぐに判断できる視座の高い人でした。そのような視点で考えないと、結局無駄な作業をしたり手戻りしたりということが多くなってしまいます。
大企業にいた頃、そのような姿勢に強く憧れを抱いていましたね。

事業や経営に興味もあったのでファンド系の会社に行こうとしていた時期もありましたし、戦略コンサルティング会社を目指していた時期もありました。
しかし、やっぱり自分はプログラミングが好きだという強い思いと、自分の強みだという自負を再認識してもっと磨いていこうと思い今に至りますね。

booost technologiesの今後
STL)高塚さん個人として、この先の目標はありますか?

高塚さん)とにかく今の事業を成長させて、市場からしっかり選ばれるプロダクトに成長させること、プロダクトを通じて後世の人間が生き続けられる環境をしっかり残していくことです。ここでしっかり周りからも認められる結果をださないと、起業なんて偉そうなことは言えないです。

STL)高塚さんがbooost technologiesを俯瞰して見た場合、何か足りないものは何だと思いますか。

高塚さん)足りないものだらけです。
新しい市場のためマーケットの状況や投資対効果が不透明な中、新しいものにどれだけの工数やコストをかけるべきか、競合と張り合うためにプロダクトにどれだけリソースを割くべきかなど、難しい問題が山積みです。

投資回収の見通しや、適切な人材採用とスケジュール管理、効率的な投資の必要性など、ざっくりとでも把握したいポイントは多岐にわたります。

前述の通りですが、市場が本当に新しいんですよね。顧客の要望はもちろんですが、こちらから業界課題を先読みして必要になるであろうものを予見して考えていかなければなりません。

そういった業界についてはCEOの青井が本当に詳しいので彼の提案や考えを聞いて、どの程度そこに投資をしていくか議論を重ねます。
その上でGMである永野さんともコミュニケーションし、実現的な体制構築やメンバーマネジメントに落とし込んでいます。

足りないものはたくさんありますが、逆に言えばそこをしっかり補完しスケールさせていけば絶対なる成長市場であり、地球規模の社会課題を解決できる可能性もあります。
世の中にはたくさんの社会課題がありますが、地球規模の社会課題に向き合えるスタートアップ組織はbooostだけだと本気で思っています。

STL)今後の将来にとってなくてはならないプロダクトですよね。booost technologiesが次世代に誇れる未来の創造に向けて、世の中へ与えていく影響が楽しみです。ありがとうございました。

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