#19「シリコンバレーから、世界に大きなインパクトを与える事業を」Anyplace, Inc. Co-founder & CEO内藤聡さん
「Startup Now」では、資金調達を実施したばかりの起業家をお招きし、創業に賭ける想い、事業の現状や未来の話まで、アレコレお伺いするインタビューをお届けしています。このインタビュー記事は要約版となっております。気になった方はぜひFull VersionのPodcastもお聴きください!
第19回目は、Anyplace, Inc. Co-founder & CEO内藤聡さんをゲストにお招きしました。
Anyplaceは、リモートワークに最適な環境を整えた居住シェアリングサービス「Anlyplace」を提供するスタートアップです。
CEOの内藤さんに、Anyplace創業の経緯や事業の展望についてアレコレ伺いました。
シリコンバレーへの挑戦
内藤さんがシリコンバレーに飛び込むきっかけとなったのは、大学在学中に観た映画「ソーシャル・ネットワーク」でした。
主人公の若者が、内藤さん自身と同世代でありながらも、世界に大きなインパクトを与えるプロジェクトを生み出している姿に、大きな衝撃を受けたのです。
「自分と同い年の人たちが、こんなにもダイナミックな挑戦をしている。そんな彼らと同じ舞台に立ってみたい」と感じた内藤さんは、卒業と同時にシリコンバレーへと向かいます。
英語力もビジネス経験も十分ではありませんでしたが、「まずは飛び込んでみよう」というチャレンジ精神で、新たな一歩を踏み出したのです。
しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。言葉の壁に苦しみ、文化の違いに戸惑う日々の連続。
「簡単なコーヒーの注文すら満足にできない」という状況から、必死前に進んでいました。
そんな中で内藤さんを支えてくれたのが、現地で出会った日本人起業家のコミュニティです。先輩起業家らの助言を受け、まずは自分にできることから始めようと決意、ベイエリアを中心に100人以上ものITの著名人へのインタビューを行い、それを自身のブログに掲載する日々を1年ほど続けました。
同時に、日本人向けのシェアハウス運営にも携わります。共に夢を追う仲間との暮らしは、苦しい時期を乗り越える原動力になりました。「周りにいる仲間の存在が、僕を突き動かしてくれた」と内藤さんは振り返ります。
Anyplaceのビジネスモデル
実際に創業、事業を開始してから2年ほどはピボットを繰り返し、現在の"あらゆる場所をオフィスにする"をコンセプトとしたサービス「Anyplace」の事業にたどり着きます。
Anyplaceの特徴は、マンスリーに借りられる物件に、家具をはじめとして、仕事に最適な環境を完備することでユニークな価値を提供しているところです。高速インターネット、スタンディングデスク、モニター、エルゴノミクスチェアなど、生産性を高めるための設備が整っており、まるでオフィスのような仕事に最適な空間に滞在することが可能です。
ターゲットとするのは、リモートワークを中心として働くビジネスパーソンや、自由な環境で働きたいノマドワーカーたち。彼らにとって、Airbnbやホテルにはない、仕事に最適化された空間は大きな魅力となります。
さらにAnyplaceでは、利用者一人一人の趣味嗜好に合わせたパーソナライズされた滞在プランも用意していく。ヨガが好きな人にはヨガマットを、料理好きには必要な調理器具を提供するなど、きめ細やかなサービスで、どこにいてもまるで自宅にいるかのような快適さを追求していきます。
このビジネスを展開するに至った背景には、内藤さん自身のアパート探しの際に感じた苦労がありました。「Wi-fiの契約など、入居時の諸々の手続きが面倒」「内装が好みではない」など、物件選びには多くの課題があったのです。
テクノロジーの発展により、ライドシェアや民泊などあらゆるサービスがオンデマンド化されつつ中、「不動産業界もイノベーションを起こすべきタイミングだ」と感じました。
「暮らす」と「働く」が溶け合う新しい体験を、不動産業界で展開することにしたのです。
シリコンバレーでの資金調達
Anyplaceの力強い成長は、日米の投資家が入り混じるユニークな資本構成に支えられています。
創業初期は日本のVCとエンジェル投資家が内藤さんのビジョンと将来性に魅力を感じ出資、その次のフェーズではシリコンバレーでも有名な投資家が支援を行っています。
内藤さんが資金調達においてこだわったのは、単なる資金提供者ではなく、事業に深く関わってくれるパートナーを見つけることです。Uberをはじめ数々のユニコーン企業を生み出してきたエンジェル投資家、Jason Calacanisが率いるファンドも、まさにそのような存在でした。
資金面のサポートはもちろん、経営の重要局面では適切な質問とアドバイスで方向性を導いてくれる。「海外のファンドからお金を募るなら、こうした二人三脚で歩める仲間を見つけることが何より大切」と内藤さんは力説します。
今後のAnlyplaceの事業展開
現在はシリコンバレーを拠点に急成長を遂げるAnyplace。さらに今後は、各国の物件を「Anyplace」ブランドで統一し、日本を含むグローバルに事業を展開していくことを構想しています。
内藤さんが目指すのは、米国で培ったユーザーベースを、世界中のAnyplaceの物件に送客するプラットフォームです。各国で不動産会社や旅行会社等とパートナーシップを結び、Anlyplaceの抱える米国ベースの顧客が海外に行く際にAnlyplaceを使ってもらう。「日本の物価の安さと素晴らしい生活環境は、多くの米国人を惹きつけるはず。Win-Winの関係を築ける。そういった会社があればぜひ資本を含め提携を検討していきたい」と内藤さんは考えています。
日本の起業を目指す方へのメッセージ
日本のスタートアップを取り巻く現状には危機感を抱いています。
「日本から生まれるスタートアップの数は、韓国や中国と比べるとまだまだ少ない。背景にあるのは、グローバルでビジネスを展開することへの心理的ハードルの高さがあるのではないしょうか」。英語教育の強化や、チャレンジへの文化醸成など、同世代の挑戦を後押しする環境づくりが急務だと考えます。
「アメリカに挑戦したいと思っている人がいたらどんどん挑戦してほしいと思います。挑戦する人・数が増え、層の厚みを増やしていけたらいいなと思っています」
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