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小型モジュール炉技術「X-Energy」がシリーズCで7億ドル資金調達
核エネルギースタートアップのX-Energyが、新たに2億ドルを調達し、既存のシリーズCラウンドの総額を7億ドルに拡大した。この資金調達には、Amazonが10月に発表した投資に加え、ローレン・パウエル・ジョブズのEmerson Collective、Ares Management、Jane Street、Segra Capital Managementなどが新たに参加している。
1. X-EnergyとAmazonの協力関係
1-1. Amazonとの提携概要
X-Energyは、小型モジュール炉(SMR)技術を開発する企業であり、2023年10月には、Amazonとの提携を発表した。この提携には、Amazonからの投資および開発契約が含まれ、具体的には、太平洋岸北西部に300メガワット相当の原子力発電所を建設する計画が進行中である。
1-2. 資金調達の目的
今回の資金調達により、X-Energyは、以下のプロジェクトを進める計画である。
原子炉の設計とライセンス取得の完了
テネシー州オークリッジにおける燃料製造施設の第1フェーズの建設
2. Xe-100原子炉とその技術的特徴
2-1. Xe-100原子炉の概要
X-Energyが開発するXe-100原子炉は、1基あたり80メガワットの発電能力を持ち、およそ5万世帯分の電力を供給できるとされている。この技術は、AIデータセンターの電力需要の増加や、米国政府による原子力エネルギー政策の支援を受け、大きな注目を集めている。
2-2. TRISO燃料の安全性
Xe-100原子炉は、「TRISO燃料」と呼ばれる特殊な燃料を使用する。この燃料は、従来の燃料棒よりも高い安全性を持つよう設計されている。
各燃料ペブルには、約18,000個のポピーの種サイズの炭素コーティングされたウラン粒子が含まれている。
1基の原子炉には、約20万個の燃料ペブルが搭載される。
事故時にも燃料が溶融しにくい設計であり、安全性の向上が期待されている。
3. X-Energyの今後の展望
3-1. 商業運転開始の見通し
X-Energyは、Amazon向けの最初の原子炉が2030年代初頭に稼働する予定である。この計画が成功すれば、小型モジュール炉技術の普及が加速し、持続可能なエネルギー源としての原子力の役割が強化される可能性がある。
3-2. 原子力市場への影響
AIの発展に伴うデータセンターの電力需要増加や、トランプ政権以来の米国政府による原子力支援政策は、X-Energyのような企業にとって大きな追い風となっている。X-Energyは、新たな資金調達をもとに、さらなる成長を目指す。
X-Energyは、ローレン・パウエル・ジョブズやAmazonなどの強力な投資家の支援を受け、革新的な原子力技術の開発を進めている。Xe-100原子炉とTRISO燃料の組み合わせは、安全性と効率性の両面で注目されており、今後のエネルギー市場において重要な役割を果たす可能性が高い。
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