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SwiggyのIPO後の株価低迷とその背景
インドのフードデリバリー企業Swiggyは、2024年最大のテクノロジー企業の新規株式公開(IPO)を果たしたが、上場後の株価は、IPO価格および2022年の未公開評価額を下回る結果となった。これは、同社のクイックコマース事業Instamartの市場シェアの低下、そして競争の激化による利益率の圧迫が背景にある。
1. Swiggyの株価の推移
1-1. IPO後の株価変動
2024年11月にIPOを実施したSwiggyの株価は、当初設定されたIPO価格である₹390(約4.46ドル)を下回り、2024年初頭には₹374.80(約4.29ドル)まで下落した。この結果、市場評価額は、97.5億ドルまで低下したが、一時的な回復も見られた。
1-2. 2022年の評価額との比較
Swiggyは、2022年初頭に未公開市場で107億ドルの評価を受けていたが、現在の市場評価額は、それを大きく下回っている。2023年12月中旬には一時的に₹617(約7.06ドル)まで上昇したものの、その後下落基調となった。
2. Instamartの市場シェア低下と競争の激化
2-1. Instamartの市場シェア低下
Swiggyのクイックコマース事業であるInstamartは、最新の四半期決算で市場シェアの低下を示した。これには、競争の激化や事業拡大にかかるコストが影響していると見られる。
2-2. 競争相手との比較
同じくインドのZomatoが運営するクイックコマース部門Blinkitは、最新四半期の総注文額(Gross Order Value, GOV)が₹780億(約8.9億ドル)となり、Instamartの₹391億(約4.46億ドル)の2倍近い規模に成長した。また、競争相手のZeptoも年間換算GOVで30億ドルと、Swiggyを大きく上回る成長を見せている。
3. 競争環境と市場動向
3-1. 競争の激化と新規出店
Bank of Americaのアナリストによると、クイックコマース企業間の競争は2025年半ばまで続く見込みである。Swiggyは、四半期中に96のダークストア(無人配送センター)を新規開設し、国内の拠点数を705店舗に拡大した。しかし、Blinkitは、216店舗を追加し合計1,007店舗とし、Zeptoも950店舗以上を展開している。
3-2. 各社の資金力と投資戦略
クイックコマース市場は、競争が激しく、各企業は資金力を活かしたマーケティング投資と拡大戦略を展開している。
Swiggy: ₹820億(約9.36億ドル)の現金保有
Zomato: ₹1900億(約22億ドル)
Zepto: 2023年に13.5億ドルを調達し、まだ多くの資金を活用していない
この資金力の差が、各社の事業戦略や市場シェアに大きく影響している。
4. 今後の見通しとSwiggyの課題
4-1. 平均注文額の成長
Swiggyは、クイックコマースの平均注文額を前四半期比7%増の₹534(約6.10ドル)まで引き上げることに成功した。このような成長が継続できるかが、今後の業績回復の鍵となる。
4-2. 競争の中での生き残り戦略
市場の競争が激化する中、Swiggyは、次のような戦略が求められる。
コスト管理と利益率の改善: 過剰なマーケティング支出を抑えつつ、効率的な拡大戦略を模索
新規サービスの開発: 競争相手との差別化を図るための新たなサービス展開
ユーザーリテンション: 既存ユーザーの満足度を高め、リピート率を向上させる
Swiggyは、2024年最大のテクノロジーIPOを果たしたものの、市場競争の激化により株価は下落し、厳しい状況に直面している。Instamartの市場シェア低下や資金力の差が今後の成長を左右する重要な要因となる。競争が続く中、Swiggyが、どのような戦略を打ち出し、市場での地位を維持・向上できるかが注目される。
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