【宇宙】Axiomが切り開く2028年の自由飛行計画
2028年、宇宙開発の新たな歴史が刻まれる予定です。Axiom Spaceが計画する「自由飛行型宇宙ステーション」は、現在運用されている国際宇宙ステーション(ISS)の退役に伴う課題を解決する重要なプロジェクトです。本記事では、NASAとAxiomが直面している問題、新たに提案された組み立て計画、そしてこの計画が宇宙探査と商業宇宙ビジネスに与える影響についてわかりやすく解説します。
NASAとAxiomが直面する課題
・ISS退役問題
ISS(国際宇宙ステーション)は、地球周回軌道で実験や観測を行う施設で、2028~2030年ごろに退役する予定です。しかし、主要な運営国の一つであるロシアが2028年までしか協力を保証しておらず、それ以降の運用は難しくなる可能性があります。
さらに、ISSのロシア区画では2019年から空気漏れが続いており、2024年には1日あたり約1.7キログラムの空気が失われる事態にまで悪化しました。この問題は、構造的な大きな故障(致命的な障害)につながる可能性があるため、NASAは安全にISSを廃棄(デコミッショニング)するための準備を進めています。
・Axiomの資金問題
一方で、Axiom Spaceは、宇宙ステーションの建設にかかる莫大な費用をまかなうため、早期の収益化を目指しています。同社はNASAと契約して月面探査用の宇宙服も開発していますが、その資金不足がNASAの計画全体に影響を与える可能性が懸念されています。
新しい組み立て計画
・自由飛行型宇宙ステーションとは?
自由飛行型宇宙ステーションとは、ISSのように他の施設に依存せず、単独で地球周回軌道上を飛行する宇宙ステーションのことです。Axiomは、このステーションを2028年までに完成させる計画を立てています。
・計画の変更点
これまでの計画では、最初に「居住モジュール」(人が住める設備)をISSに取り付ける予定でしたが、NASAの要請で「ペイロード・パワー・サーマルモジュール」(PPTM)を最初に取り付けることになりました。このモジュールは、ISSから独立した自由飛行型ステーションとしての基盤となるもので、電力や熱管理の機能を備えています。
・組み立てのスケジュール
2025年:PPTMの基本構造がイタリアで完成し、アメリカ・ヒューストンで内部システムが統合されます。
2027年:PPTMがISSに接続されます。
2028年:PPTMがISSから分離し、自由飛行ステーションとなります。
その後、居住モジュールや研究施設が追加され、より多機能なステーションへと進化していきます。
商業宇宙の未来
・NASAとのパートナーシップ
NASAは、将来的に商業宇宙ステーションを利用して宇宙実験や観測を行う計画を進めています。そのため、AxiomのプロジェクトはNASAの重要なパートナーシップの一環です。
・課題と可能性
Axiomがこのプロジェクトを成功させるには、CLD(商業低軌道デスティネーション)プログラムの契約を獲得し、NASAを主要な利用者とする安定的な収益モデルを確立する必要があります。こうしたステーションが実現すれば、民間人が宇宙旅行を楽しむ時代が一歩近づきます。
Axiom Spaceが提案する新しい組み立て計画は、ISS退役後の課題解決と、商業宇宙ステーションの実現に向けた重要な一歩です。このプロジェクトは、宇宙探査をさらに進化させると同時に、商業宇宙産業の新しい可能性を切り開きます。