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Goldman Sachs協力のもと、Plaidが進めるテンダーオファーの背景

Plaidは、銀行口座と金融アプリケーションをつなぐプラットフォームを提供するフィンテック企業である。銀行口座情報を安全にアプリと連携することで、送金、貯蓄、投資といった金融サービスをよりスムーズに利用できるようにする。

同社は、2013年に設立され、急速に成長。2021年4月には、Altimeter Capitalが主導するシリーズDラウンドで4億2,500万ドルを調達し、企業評価額は134億ドルに達した。


1. Goldman Sachsとの協力


Plaidは、投資銀行大手Goldman Sachsと協力し、既存株式の売却を通じて3億〜4億ドルの資金調達を進めている。この取引は、"テンダーオファー(tender offer)"と呼ばれ、既存の投資家や従業員が株式を売却することで流動性を得る機会を提供するものだ。

2. テンダーオファーの影響と市場動向


2-1. 企業評価額の低下

Plaidの今回の資金調達は、以前のシリーズDラウンドよりも低い評価額で行われる可能性が高い。これは、近年のフィンテック市場の変動を反映している。

2021年以降、金利上昇に伴い、多くのフィンテック企業の評価額が低下している。投資家はより慎重になり、特に未上場企業の価値評価は、抑制される傾向にある。

2-2. フィンテック業界の現状

金融テクノロジー業界は、金利上昇や規制強化の影響を受けて成長が鈍化している。2020年から2021年にかけては、新型コロナウイルスの影響でデジタル金融サービスへの需要が急増し、フィンテック企業の評価額は急騰した。しかし、2022年以降の経済環境の変化により、業界全体が調整局面に入っている。

3. Plaidの今後の展望


3-1. 収益の成長

Bloombergの報道によると、Plaidの収益は、2024年に25%以上増加した。これは、同社がフィンテック以外の顧客基盤を拡大していることに起因している。現在では、H&R Block、Western Union、Citiなどの大手金融機関とも提携し、サービスの多様化を進めている。

3-2. 今後の戦略

Plaidは、今後も成長を続けるため、以下の戦略を展開する可能性がある。

  1. 企業向けサービスの拡大:従来のフィンテック顧客に加え、銀行や保険会社といった伝統的な金融機関との提携を強化する。

  2. グローバル展開:米国外市場への進出を進め、新たな収益源を確保する。

  3. 新規技術の開発:データセキュリティの強化や、AIを活用した金融サービスの向上に投資する。

Plaidの今回のテンダーオファーは、既存投資家や従業員にとって重要な流動性提供の機会となる一方、企業評価額の低下を示すものでもある。しかし、同社の収益成長や事業拡大の動きを見る限り、長期的な成長の可能性は依然として高い。今後の市場環境や戦略の進展が、Plaidの将来を大きく左右することになるだろう。


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