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【1/21】注目の海外スタートアップ資金調達3選
近年、多種多様な分野で革新的なサービスを展開するスタートアップが大規模な資金調達を実現し、世間を賑わせています。新技術やユニークなビジネスモデルで投資家の注目を集め、さらなる躍進を目指す──そんなスタートアップの台頭は、あらゆる業界に大きなインパクトをもたらすでしょう。ここでは、注目を集める資金調達ニュースをピックアップし、その魅力と可能性に迫ります。
1. Qomodo:「Buy Now, Pay Later(BNPL)」ソリューション
ミラノを拠点とするQomodoは、2023年に設立されて以来、イタリアの主要な街頭小売店向けに「オールインワン」支払い方法を提供しています。同社は、シードラウンドで3,450万ユーロ(約3,690万ドル)のプレシードラウンドを完了し、今回シリーズAで1,350万ユーロ(約1,390万ドル)を調達しました。この資金調達ラウンドは、RTP GlobalとLMDV Capitalが主導し、他にもFACEITやFreetradeの創業者を含む著名な投資家が参加しています。総調達額は、4,800万ユーロ(約4,960万ドル)に達しました。
Qomodoのサービスは、物理店舗での購入に対して消費者が柔軟かつ無利子で分割払いを行える「Buy Now, Pay Later(BNPL)」ソリューションを提供し、小規模ビジネスのキャッシュフロー改善と売上増加を支援します。同社は、現在、イタリア国内で2,500以上の物理店舗と提携しており、デジタル化が遅れていた中小企業をFinTechの力で支援しています。さらに、BNPLだけでなく、POSソリューションやカード、銀行口座などの他のバンキング製品の展開も計画しています。
RTP Globalのヨーロッパ担当副社長ルイ・デュサートは、「イタリアは中小企業の国として知られており、QomodoのようなFinTech企業が店舗での買い物体験を革新する大きな機会が存在します」と述べています。Qomodoは既にDecathlon、Calzedonia、Moschino、Samsonite、Nike、Pandoraなどの大手小売店とパートナーシップを結んでいます。
2. MoneyHash:決済オーケストレーション
エジプト発のMoneyHashは、中東およびアフリカ地域で複雑なペイメントスタックを管理するサービスを提供しており、今回520万ドルの資金調達に成功しました。このプレシリーズAラウンドは、前年の450万ドルのシードラウンドに続くもので、創業以来総調達額は1,200万ドルを超えています。MoneyHashは、異なる地域の多様な支払い方法や通貨に対応するために、300以上の事前統合APIを持ち、Adyen、Stripe、Amazon Payなどの主要プロセッサーと連携しています。
創業者のNader AbdelrazikとMustafa Eidは、フィンテックおよびエンタープライズソフトウェア業界での経験を活かし、特に新興市場における支払いの複雑さを解消するためにMoneyHashを設立しました。彼らは、「デジタルペイメントがまだ全取引量の一部に過ぎない新興市場では、今後10年間で大きな成長が見込まれます。我々のプラットフォームは、支払いを戦略的な利点に変えるための鍵となります」と述べています。
MoneyHashの企業向けスイートは、大企業へのターゲットを強化し、取引量の4倍増と収益の3倍増を実現しています。主要顧客には、BNPLのユニコーン企業 Tamaraやクラウドキッチンのリーダー Kitopi、eコマースプラットフォーム Brands For Lessが含まれます。今回の資金調達には、Flourish Venturesがリードし、Vision VenturesやArab Bank’s Xelerateなども参加しています。
3. Karmen:小規模向けに即時短期ローンの提供
フランスのスタートアップ Karmenは、資金調達ラウンドで940万ドルを確保し、即時融資製品の改善に取り組んでいます。同社は、小規模企業が運転資金不足に直面した際に短期ローンを提供し、約600社が在庫購入やサプライヤーへの支払い、広告キャンペーンの資金調達などに利用しています。貸付額は、2万ユーロから300万ユーロ、返済期間は2ヶ月から24ヶ月まで幅広く設定されています。
今回のラウンドでは、Seventure Partnersが株式を購入し、Financière ArbevelおよびBpifranceが債務で参加しました。Karmenは、データ駆動型のアプローチを採用し、60以上の財務指標を用いてリアルタイムでローン申請を評価しています。AIを活用したリスク評価技術の強化にも力を入れており、これにより融資リスクを最小限に抑えています。
Karmenのクライアントには、Maison Kitsuné、Balibaris、Les Raffineurs、Alméなどが含まれ、80%が年に数回新たな融資ラインを利用しています。同社は、他のFinTech企業との提携を通じて、埋め込み型ファイナンス戦略を展開しており、新規クライアントの75%がこの戦略を利用することを目指しています。
注目スタートアップの資金調達ニュースは、最新技術やビジネスモデルの進化だけでなく、投資家や企業パートナーにとっても大きな可能性を秘めています。今を逃さずに連携や出資を検討することで、業界に先駆けるテクノロジーの恩恵や新たな収益機会を得ることができるでしょう。今後の動向に引き続き注目することで、さらなるイノベーションとビジネスチャンスが広がります。