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米国初の全国認可消費者向けテックバンク Varoの試練:資金調達の苦戦とCEO交代の真相

米国初の全国認可消費者向けテックバンク Varoは、これまでに10億ドル以上の資金を調達してきたが、最新の資金調達ラウンドでは期待通りの成果を得られなかった。さらに、創業者兼CEOのColin Walshが辞任し、Gavin Michaelが新たなCEOとして就任することが発表された。本記事では、Varoの資金調達の経緯、経営トップの交代の背景、そして今後の展望について詳しく解説する。


1. Varooの資金調達の現状


1-1. 最新の資金調達ラウンド

2024年12月に提出されたSEC(米国証券取引委員会)の申請書類によると、Varoは、現在進行中のシリーズGラウンドで、目標の5,500万ドルのうち2,900万ドルを確保した。しかし、目標額には届いていない状況である。PitchBookのデータによれば、同社は2015年の創業以来、累計で10億ドル以上の資金を調達している。

1-2. 過去の資金調達と評価額の変遷

Varoの資金調達は順調とは言えない。2021年のシリーズEラウンドでは、5億1,000万ドルを調達し、企業評価額は25億ドルに達したが、2023年の資金調達では5,000万ドルを確保したものの、評価額は18.5億ドルに減少した。今回のシリーズGラウンドでも目標額を下回る調達となっており、同社の成長戦略に影響を与えている。

2. CEO交代の背景と影響


2-1. Colin Walshの辞任

Varoの創業者であり、長年にわたりCEOを務めてきたColin Walshは、最近の発表でCEO職を退任することを明らかにした。これにより、フィンテック業界では、「辞任は強制的なものだったのではないか?」という憶測が飛び交っている。しかし、Varoの広報担当者はこれを否定し、「この交代はVaroの次の成長フェーズに向けたものだ」とTechCrunchに語っている。

2-2. 新CEO Gavin Michaelの経歴

Gavin Michaelは、以前は暗号資産取引所BakktのCEOを務めていた人物であり、さらにCitiやJPMorgan Chaseといった大手金融機関でのリーダーシップ経験も持つ。Varoの広報担当者は、「Gavinの経験はVaroの次の成長段階にとって理想的なものだ」と述べており、Colin Walsh自身も「彼が適任である」との認識を示している。

2-3. Colin Walshの今後の役割

Walshは取締役会のメンバーとして残り、創業者として会社に引き続き関与することになる。また、彼はVaroの大株主としても影響力を持ち続ける。

3. Varoの今後の展望


3-1. Varoの競争優位性

Varoは、2020年に全国銀行免許を取得し、全デジタルの全国認可を受けた米国初の消費者銀行として注目された。この免許取得により、Varoは従来の銀行と同じように預金を受け入れ、貸付を行うことが可能となった。しかし、近年の資金調達の減少や評価額の低下が示すように、成長戦略には課題がある。

3-2. 収益性の問題

Varoは、2022年のインタビューで「顧客基盤は順調に拡大しており、収益化への明確な道筋がある」と述べていた。しかし、2024年初頭の時点では未だに黒字化しておらず、12月の決算報告書では約6,500万ドルの損失を計上している。今後の戦略として、収益性の向上と新規事業の展開が求められる。

3-3. フィンテック市場における課題と機会

フィンテック市場は競争が激化しており、従来の金融機関もデジタルサービスを強化している。この状況下で、Varoはどのように差別化を図るかが鍵となる。新CEO Gavin Michaelのリーダーシップのもと、デジタルバンキングの利便性を強化し、新たな収益源を確立することが重要な課題となる。

Varoは、過去10年間で大きな成長を遂げたが、現在は資金調達の困難や収益性の課題に直面している。CEO交代という大きな変革を迎え、今後の戦略次第で企業の未来が左右される。新たなリーダーシップのもと、Varoが持続的な成長を遂げることができるか、今後の動向に注目が集まる。


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