【台湾拠点スタートアップ対談】カプセルジャパン埴渕氏×人々石川氏ー「2023年は台湾から福岡へ」
起業後、事業展開の地としてまず頭の中に浮かぶのは、多くの方が日本国内ではないでしょうか。
日本で生まれ育ちながら、台湾をビジネス拠点としているカプセルジャパン埴渕氏・人々石川氏に、台湾やアジア・地方都市の可能性についてお聞きしました。
台湾は、挑戦するには良い環境が揃ってる
ーまず、事業内容を教えてください。
埴渕:カプセルジャパン株式会社(以下、「カプセルジャパン」)は、台湾中心に活動するYouTuberなどのクリエイターマネジメント会社です。インターネット発のIP(知的財産)に関する様々なビジネス、広告業やコマース業などをやってます。
もともとは台湾を中心としたYouTuber ビジネスを行っていましたが、最近はインフルエンサーさんと一緒に立ち上げる ブランドや、YouTube アニメといった、台湾以外の地域でもIP(知的財産)を用いたビジネス展開をしています。
<<追記>>台湾で300万人以上の登録者を抱えるYouTuber「阿神」と一緒に行っている飲食ブランド「KAMIKAMI BURGER」、日本だと所属クリエイターの「大学生ズの恋。」や「魔法少女プリズマジカ」というYouTubeアニメの制作/運営を行っています。
石川:株式会社人々(以下、「人々」)は、台湾・日本にて、成果報酬型のチャットマーケティング「ChiChat(チーチャット)」というサービスを運営しています。「ChiChat(チーチャット)」は、あるサービスサイトにお客さまが訪問し離脱した際に出すリターゲティング広告です。自社に興味があるお客さまに対し、LINEに誘導し接客をすることで再度サイトにお連れし、コンバージョンに誘導することが可能なサービスを作っています。LINEを使っているため、友達追加をされるとプッシュ配信でリターゲティングのような動きができます。Cookie規制が強化される中、リターゲティングが難しくなっていく世界の中で、チャットを使った世界にも一部塗り変わると考えています。「ChiChat(チーチャット)」は、これまで展開していた台湾に加え、2022年より日本市場へ進出しました。また、今年春頃より香港・シンガポールへの展開も予定しています。
ー台湾をビジネス拠点にした理由を教えてください。
埴渕:約10年前に高島市長(福岡市)が掲げた「スタートアップ都市宣言」をきっかけに、福岡でカプセルジャパンを創業しました。当時は日本向けのビジネスがあまり軌道に乗らなかったので、前職(日本の上場インターネット広告会社)でビジネス経験のあった台湾へ拠点を移すことにしました。
台湾で今でもビジネスを続けられているのは市場、人の良さが理由です。
台湾は、当時モバイルゲーム市場においてグローバル5位前後ととそれなりの大きさがあり、スタートアップでも一番になれるのではと感じたこと、また経営者として事業に集中できるよう社員に任せられるところは任せ、性善説で付き合うことができます。
また、いつか日本で働くことをモチベーションにする社員もいたり、日本語や英語が話せる社員も多く、グローバル展開できる人材が揃ってます。管理職は僕以外全員女性で、国籍も様々、ジェンダーマイノリティの方もいたりと、多様化が自然と社内で進み、これから世界で起こるであろうワンステップがすでに起こっています。
少し話がそれますが、実は台湾は子育てがとても楽。子供向けの施設が揃っており、人が優しく、教育も整っているため、今日のインタビュー前にも子供と親子館に行ってから来ました!
石川:2015年に人々を創業しましたが、外需を獲得し日本経済を盛り上げたいという想いがあり、はじめから海外で起業することを考えていました。市場規模が大きく、成長著しい中国は魅力的ですが、アメリカに次ぎ日系企業が多いこと、共同創業者が台湾人だったことなどから台湾市場を選択しました。
台湾日本人社長のコミュニティで出会った2人
ーやはり台湾をビジネス拠点にしていると、同じ日本人同士出会うきっかけはありますか。
埴渕:「ラオバン」という台湾の社長が集まり、美味しいものを食べる会を僕の気分で主催しています。そこに石川さんが来てくれたのが、最初の出会いです。
石川:台湾に来たばかりの2020年に、亞星通股份有限公司(スタートアジア)代表の藤原さんに誘ってもらって埴渕さんに「ラオバン」で会ったのが最初でした。
ー少し時間が経ち、お互いの印象は変わりましたか。
石川:初めて会った時の埴渕さんの印象は、クリエイティブな領域でビジネスをされていることもあり、日本には少ないタイプの起業家だなと感じました。その後は、お互いGxPartnersさんから出資を受けていたり、境遇やバックグラウンドが似ているという共通点もあり、2022年の秋頃から話す機会が増えました。2年前に受けたクリエイティブな人という印象は変わりませんが、実は戦略家なんだろうなと感じています。埴渕さんが、社内で中国語でミーティングする姿を見て、台湾でビジネスを大きくしていくには中国語が必須だと感じさせてもらい、中国語を勉強したのは言うまでもありません。埴渕:僕は、石川さんは頭が良さそう、というのが最初の印象です。台湾の事業責任者として台湾で働く日本人はいますが、台湾でスタートアップとしてビジネスを立ち上げ大きくした人はあまり多くないので、すごいなと思っています。
台湾をビジネス拠点にしているため、中国語スピーカーとして世界に羽ばたきやすい
ーお二人から見た、地方やアジアはどう見えますか。
埴渕:まず地方、特に福岡はコミュニティや都市の大きさ、気温など台湾と似ているところあり、僕のようなアウトサイダーに対しても仲良くしてくれそうな雰囲気があります。また、アジアは日本のカルチャーを受け入れやすい土壌もありつつ、中国語スピーカーという人的リソースを持っているため、アジア展開がスムーズに行けると感じています。
石川:台湾の市場は中国大陸、アメリカと比較すると小さいよね、と言われることがありますが、スタートアップはニッチな市場をまず取れるかが大事だと思っています。福岡は、台湾を重要な市場の一つとして見てくれていたり、応援してくれている人が多いと感じたのが魅力です。アジアについては、中国語圏、例えば香港シンガポールマレーシアでのビジネス展開を考えられるのは台湾でビジネスをしていてよかったと感じます。
2023年は福岡へ進出&移転
ーそんな福岡へ、揃って2023年に進出を計画しているとお聞きしました。
埴渕:はい、2023年は東京から福岡へ本社を移転予定です。フライト時間が東京の3時間半と比較し、福岡までは2時間半と1時間短いのは経営者にとって大きいです。また土地や人、コミュニティは台北と似た魅力を感じており、福岡では東京と比較しポジションを取りやすいと感じています。
石川:今年は日本進出を本格化させる一年とするため、福岡へ本社移転または支店を作る予定です。福岡は、営業拠点としての機能を持たせるつもりです。九州は、支店を持つ会社が本社とは別の意思決定をしていることも多く、独自の動きができる会社を開拓していけたらと思っています。
ー最後に一言お願いします!
埴渕:福岡でグローバル企業を作りたいと思います!
石川:海外市場を志す起業家の方がいたら、ぜひお話しさせてください。起業後の第一歩として台湾をおすすめしたいですね。
埴渕:おっ!!じゃあ台湾で、独立的ラオバン(自分で起業した社長)会作りますか!?
編集後記
埴渕さんの「石川さん、対談しましょう!」の一言から始まったこの企画。台湾で活躍する日本人起業家が、揃って福岡(日本)へ進出するタイミングで彼らの想いを記事にし、カプセルジャパンや人々に興味を持っていただくきっかけになればと思い、インタビュアーとして手を挙げ執筆させていただきました。今回、私がインタビュアーとして初めて「対談記事」を書くという挑戦を、快く引き受けていただいた埴渕さん、石川さん、ありがとうございました!
福岡に進出するカプセルジャパン・人々に興味がある方はぜひコンタクトされてみてはいかがでしょうか。
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インタビュアー:GxPartners コミュニティマネージャー松田優