投資契約の実務〜投資家からの要求事項:ストックオプションプール〜
【目的】
投資家としては、投資実行後に、発行会社にストックオプションの発行を乱発されて、自身の持分を希薄化してもらいたくないと考えます。
なので、投資契約の中に「ストックオプションの発行量は発行済株式総数に対して〜%までは投資家に相談せずに、株主総会を開いて発行しても良いですよ」と明記することがあります。こうすることで、自身の希薄化をコントロールして、むやみな株式価値の低下を防ぎます。
ストックオプションプールは、一般的に10%か15%が中央値だと思います。
【記載例】
TBD
【論点】
起業家としては、ストックオプションの発行上限を決められてしまいますので、
インセンティブプランの柔軟性は失われます。
超優秀で高給取りの人材をどうしても採用したい場合には、ストックオプションをちらつかせることも採用戦略として有効と考えられるので、ストックオプションプールを投資家に縛られるのは、痛手といえば痛手です。
起業家サイドとして取り得る策としては、ストックオプションプールを発行済株式総数の15%に設定すること。(20%もたまに見ますが、20%で交渉し始めると、常識知らずだと思います)
ただ、1つだけ勘違いしてはいけないのは、ストックオプションプールの条項の文言には、「絶対に〜%以上のストックオプションは発行できない」ような記載は、通常されないと思います。その例として、一部の大成功しているベンチャー企業(メルカリとかビズリーチ)でストックオプションを発行済株式総数に対して20%以上発行している会社もありますので、事業の実績がアーリーステージの投資家の想像以上に進捗した企業は、ストックオプションプール以上のストックオプションを発行することができるかもしれません。