投資契約の実務〜投資家の要求事項:優先引受権〜
【目的】
ストックオプションプールと同様に、投資家としては、自身の持分の希薄化は極力避けたいところです。
そのため、投資契約において、発行会社が、株式等を新規発行する場合には、投資家が自己の持株比率を維持する範囲で優先的に引き受けることができる権利を定めるケースがあります。
【記載例】
①投資家は、発行会社が株式等の発行等を行う場合には、本条に定める条件及び手続に従い、当該株式等のうち、各自の完全希釈化ベースの株式保有割合に応じた株式数(以下「引受上限株式数」という。)について、引き受けを受ける権利を有するものとする。
②発行会社は、株式等の発行等を行おうとする場合には、投資家に対して、(ⅰ)当該発行等にかかる株式等の種類及び数、(ⅱ)当該株式等にかかる払込金額又は処分金額、(ⅲ)その割当予定者その他の処分の相手方の氏名・名称及び住所、並びに、(ⅳ)その他株式等の発行等に関する主要な条件を記載した書面(以下「発行条件書」という。)を添付の上、書面により通知(以下「優先引受通知」という。)を行うものとする。
③前項に定める場合、投資家は、発行条件書及び優先引受通知を受領した日から●日以内に、発行条件書記載の株式等のうち自らが引受け等を希望する株式等の数(但し、投資家にかかる引受上限株式数を上限とする。)を書面により本会社に通知することにより、当該通知に記載の数の株式等を発行条件書記載の条件により引き受ける権利(以下「優先引受権」という。)を有する。なお、投資家が発行条件書及び優先引受通知を受領した日から●日以内に、当該投資家株主にかかる引受上限株式数の全部又は一部について本優先引受権を行使しなかった場合には、当該投資家は、当該株式等の発行等については優先引受権を失うものとする。
④投資家が、前項に定める期間内に当該投資家にかかる引受上限株式数の全部又は一部について前項に定める優先引受権を行使しなかった場合、発行会社は、当該期間の経過後●日以内に限り、当該優先引受通知に記載の株式等のうち投資家が優先引受権を行使しなかった部分について、当該発行条件書記載の割当予定者その他の処分の相手方に対して当該発行条件書に記載の条件よりも実質的に当該処分の相手方に有利でない条件で株式等の発行等を行うことができるものとする。
【論点】
持分をより大きくするものではないので、特段、問題ないかと思います。