
自分の持つ人間関係はグローバルになっているか
日本の大学に通う皆さんにお尋ねしたいと思いますが、日本語が母語でない(あるいは話せない)友達はいますか?友達とまでは行かなくても、近しい関係になっている人はいますか?すでに高校の時に留学を経験していて、海外にホストファミリーの知り合いがいたり、友達がいたり、あるいは日本に暮らすノンジャパニーズの友人がいる、という人も皆さんの中にはいるかも知れませんね。
ここではしかし、そうでない前提で話を続けます。というのは、日本人の圧倒的な多数は外国人との近しい関係を持っていないからです。
日本人が外国人をどれくらい身近に感じているか、という点について、法務省が昨年委託した意識調査があります(注1)。「外国人との交流頻度」という調査項目の結果を見ると、国民全体の平均として、「全くない」がほぼ50%、「あまりない」が約23%です。たまにある、という人が約17%いますが、たまにあるくらいでは親しい間柄とは言えないでしょう。つまり日本人の90%には親しい付き合いをしている外国人はいない、ということです。

下のグラフのように、皆さんのような大学生の年齢グループで見た場合、国民平均とは結果は若干違いますが、「外国人との交流がよくある」と回答しているのはそれでも13%〜16%くらいで、やはり圧倒的な少数グループです。

ところで、私たちの着ている服、食べているもの、日常生活で使用しているものの多くは海外で作られて日本へ輸入されていたり、海外で製造された部品が入っていたりします。つまり私たちの日常生活は、日本に住んでいても相当レベル「グローバル化」していて、私たち日本人は文字通りグローバル経済を生きています。モノやお金の流れはとてもグローバル化しているけれども、人間関係はほとんどグローバル化していない、と言えそうですね。
それでいい、と思う人もいるかも知れません。私も、無理してまでも外国人と友達になりなさいと言いたいわけではありません。ただ、気がついて欲しいことが二つあります。外国人の親しい知り合いができれば、自分の世界が大きく広がると言うこと。そして、どんどんグローバル化している多種多様なビジネスに自分も関わる能力が身に付く、と言うことです。
「ビジネスがグローバル化している」、と言うとそれは何か抽象的な、企業間の話であって個人的な人間関係の次元とは関わりのないように聞こえるかも知れません。しかしビジネスをしているのは人間です。ビジネスのグローバル化というのは、「ビジネス関係」がグローバル化している、と言うことを意味します。結局は人間関係のグローバル化です。
グローバルな人間関係作りに積極的に参加すると、見える景色が大きく変容します。閉塞感はかき消えて、無限に広い活動空間が出現します。それは、急に海辺に出た時のような感覚に似ていると思います。
皆さんの大学には外国からの留学生もきっといるでしょう。あるいは近所に暮らしている外国人家族がいるかも知れませんね。まずはそういう、日常割とよく顔をあわせる外国人と知り合いになっていくと良いかも知れません。将来広い海に出ていくための自分の船を作るんだ、と思ってください。
(注1)「外国人との共生に関する意識調査報告書」(2024年)