クリニック開業時の内装工事業者について~2:早期に初期投資を回収するモデルつづき~

前回、大幅なイニシャルコストを削減する考え方をご紹介しました。
方法はいくらでもありますが、イニシャルコストをなるべく少なくすることは、返済計画を楽にすることにつながり、開業後のリスクを低減させることができます。
極論、自分の預貯金の中で開業することも可能になってくると思います。

出店計画

開業する場合には、いろいろな開業セミナーに参加することでしょう。
開業セミナーを主催する企業(業者)はどんな業者かというと、
1、処方箋を獲得しやすい、医療モールを企画する調剤薬局
2、開業時のコンサル契約を狙う開業コンサルティング会社
3、開業後も長く契約を結ぶ士業系(税理士など)
4、薬や医療機器の卸会社
5、そのほか、クリニックが開業することでメリットがある企業
ということになります。
パターンは多種多様なので一概には言えませんが、クリニックの経営がうまくいくかどうかと、それらの企業のメリットとは直結しないものになります。
なので、「開業をコンサルティングします!」ではなく、「支援します」「サポートします」「お手伝いします」という文言で歌っている会社は「開業の成功にコミットしません!」といっていることと同義なので、そのつもりで話を聞くようにしてほしいなと思います。

それで、上記のような会社でよく提案されるのは医療モールです。
特に1、の医療モールを企画する調剤薬局などをイメージしてください。
調剤薬局は、一つのクリニックの処方箋だけを受け取って調剤していると、点数が安く設定されてしまいます。
これを集中率といいますが、調剤薬局では、複数のクリニックから処方箋を受け取ることによって、報酬を高く取れるという仕組みがあります。
そのため、一つのビルに複数のクリニックと自社の調剤薬局が入居する医療モールをお勧めするわけです。

医療モールの特徴としては、新築の場合スケルトン渡しが基本です。
内装工事が一切されておらず、コンクリートむき出しの状態から工事をしてくださいね!という場合です。
この場合は、好きに設計、工事できるメリットがある反面、一から作る必要があるので内装工事費がそれなりにかかります。
1500~2000万円かかる場合は大体このパターンです。

逆に、スケルトン渡しでない場合を、居抜き、事務所仕様などといい、エアコン、照明、コンセント、床、壁、天井などが備わっていて、とりあえず机とパーテーションを置けば、最低限のクリニックとして運用可能な場合があります。
既存の設備があるので、自由に内装を仕上げたいという場合には、むしろ解体費、残材処分費がかかってよりコストがかかることもありますが、イニシャルコストを大幅に減らし、早期に初期投資を回収するモデルでは一考の価値があります。
例で言うと、診察室、受付、処置室のパーテーション工事と各部屋の扉の設置だけで完結させたレイアウトの例で言うと200万円程度で済むこともあります。
最大限、既存のものを利用してクリニックの形にしたものというイメージですね。
これでも、10分の1程度、1800万円くらいの予算を使わずにできます。

物件を決める前の構想、物件を決める時の諸条件、この2つのポイントで、かなりイニシャルコストは決まってしまうといってもよいでしょう。
なので、そもそも何のため(生活のため、経営者としての成功のため、医師として患者さんのため、家族との時間確保のため・・・などなど)に開業するのか、それに向けて、マスト、ウォンツ、ベターの条件を整理しておくのがお勧めです。

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