空気清浄機（病院、クリニックでの使用）
このコロナ禍では、空気清浄機や、プラズマクラスター、ナノＥなどいろいろな工夫で院内の感染拡大防止策をとっていることと思います。
ただ、空気清浄機の能力や、各メーカーが出しているウイルスや花粉、ダニなどの不活化ができるプラズマクラスターなどの製品について理解していないユーザーが非常に多いなと感じ、私の経験と私見をお伝えしたいと思います。
【空気清浄機】
基本的に、装置で空気を循環させ、装置内のフィルターで空気中のごみや花粉を取ってくれるというものです。
装置には、たいてい何畳用とかエアコンのように能力が記載されているので部屋の広さに応じた機種選択が必要です。これは当たり前のことですが、とても小さなウィルスなどはフィルターの目で取り切ることはできませんので、感染対策としては効果がないと思います。
花粉やハウスダストには効果がありますので、アレルギー持ちの方にはおススメです。
【プラズマクラスターやナノＥなどの発生装置】
プラズマクラスターに代表される、空気中にイオンを発生させて空気中のカビ、菌、ハウスダスト、花粉などこういったものを不活性化させる技術です。消臭、除菌に効果があります。
10年前くらいの話ですが、シャープの営業さんにデモをしてもらったことがあるのですが、ガーゼにアンモニアを含ませた、それはそれは臭いガーゼを、10秒くらいプラズマクラスター発生装置にあてたところ、まったくアンモニアのにおいがしなくなったのを強烈に覚えています。
空気清浄機と違い、フィルターに付着させて空気をきれいにするというわけではないので、効果の範囲が広いものです。ウィルスにも効果があるといわれます。
ただ、ほこりなど大きな物質を取るものではないので、空気清浄機とは目的が異なります。
【すべての空気清浄ができる製品に言える事】
すべての商品の性能表示は、基本的に密室空間での試験による結果が表示されています。
小さい字で説明の下部に※で書かれている事が多いので、気になる方はチャックしてみてください。
これが何を言うかというと、イオン発生系の製品でも、フィルターの空気清浄機でも密室空間でない限りは、性能を発揮できないということです。
自宅での使用で、人の出入りも少ない環境であれば効果は十分感じられることと思います。
しかし、クリニックや病院のように、空気の流れ、人の動きが活発な環境では、ほぼ効果は期待できないでしょう。
消臭、除菌を目的にするのであれば、トイレなどごく小さな空間では効果があるのですが、待合室や診察室での人の動きの多い部屋ではほとんど効果がないでしょう。
【他には…次亜塩素酸噴霧系のモノ】
他にも次亜塩素酸水を空気中に噴霧する装置もあります。
加湿器のようなもので、水の代わりに薄めた次亜塩素酸水を噴霧するもので、水蒸気の煙のようなものがモヤモヤ出るものです。
これも、ある程度小さな空間であれば効果は高いです。
以前働いていた会社の喫煙室に設置してあったのですが、ほとんどたばこのにおいはしない程、消臭効果が高かったです。
ランニングコストがそれなりにかかるので、そこをどう見るかでしょうか。
【私見】
要するに、クリニックや病院に新型コロナウィルスの感染拡大防止のために空気清浄機やイオン発生装置などを導入する。というのは間違いであるといえます。
その理由として、
１、人の出入りが多いクリニックや病院では装置が能力を発揮できる環境ではないから （密室空間である程度の時間をかけて運転する必要がある）
２、そもそも、空気中のウィルスもそうだが、浮遊ウイルスは時間とともに床に落ちてきます。その床掃除をこまめしないと、結局、人の移動でそれが空気中に舞い上がりふき取り＆アルコールふき取りのほうが圧倒的に効果がある。
３、感染拡大防止のため、1時間に1回など窓を開けて換気をしているので、装置による空気清浄の効力もその換気でリセットされてしまう。
以上のことから、クリニックや病院において、コロナ禍の感染拡大防止のために効果があるとは言いにくいというのが私の結論です。
※人の出入りの少ない、例えば院長室、スタッフルームはありかも。
窓を開けての換気は、部屋の換気扇に頼る換気に比べ十数倍の換気効果があるので、窓を開けたら、装置は何もかなわないという感じです。
今回は、製品の効果がないとかいう話ではなく、あくまで、クリニックや病院という人の出入り、換気に十分に配慮して行っているという環境においては、意味がほとんどないのではという話ですのでご了承ください。
【最後に】
とはいえ、こういった製品の特性などを患者さんみんなが理解しているといえばそうではありません。
医療機関として、空気清浄機やイオン発生装置による除菌装置などを置いているクリニックや病院であれば、清潔に気を使っているのだな～という印象は与えることができます。
パフォーマンスのように聞こえますが、多くの人たちは好感を持つことでしょう。