王様と結婚した宮廷はむしろ魔窟?/韓ドラ『シュルプ』
「…王子様と結婚して幸せに暮らしました」
という昔からよくあるおとぎ話のテンプレ。
平凡な娘が王子様と結ばれて、その後、たぶん二人は王様と王妃様になって幸せに生涯をおくったんだろうな…と一応察してみたりはする。それがプリンセスストーリーのお決まり。
だがしかしです。
目下、王様、王妃様が登場する宮廷が舞台の韓国ドラマ「シュルプ」を見ています。
これを見ていて何より感じるのは、「こんなおっそろしいところで暮らす人生じゃなくて本当よかった…」
韓国の王宮で暮らすようなとこに生まれなくてよかった…と、毎話見るたび胸をなでおろしています。
「シュルプ」の舞台は昔の朝鮮の宮廷。
王様の正室であり、5人の息子を抱える王妃ファリョンが王の世子(跡継ぎ)である長男が病に倒れてしまう中、子どもたちを守るために奔走する物語です。
この宮廷、正室のファリョン以外に側室がたくさん。
そんな中、「択賢」という賢い人を跡継ぎに選ぶ方法が採用され、つまり側室の子であっても世子になるチャンスが生まれてしまったものだから、後宮の女性たちは我が子を跡継ぎにしようと目の色変えてファリョンのライバルとかしていきます。
家庭教師をつけたり、受験コーディネーターを雇ったり、はたまた王の息子たちに課せられるテストの問題をあらかじめ知ろうとしたりと、みなさん大した教育ママぶり。
そして、ファリョンの最大の敵となるのが王の母の大妃様。
このおばあさん、大事なのは息子である現国王だけらしくて、正室のファリョンや自分の孫であるその息子たちすら気に食わない。側室や家来を裏からあやつってファリョンたちを排除しようとします。
この大妃様の息子でファリョンの夫である現国王は、それなりに賢い人物には見えます。しかし、それゆえには、ファリョン以外の大勢の妻たちにも妙に公平で、正妻とその息子たちをさほど特別扱いしてくれません。
つまり、ファリョンは宮廷でほぼ味方なしで戦わなくてはいけない状態(助けてくれる侍女や家来は別にして)。
世子以外の4人の息子たちも、自由奔放だったり素行が悪かったりで、おおよそ彼女の悩みのタネにしかなりません。
王様の正室で国のファーストレディ。誰もが羨む地位にいるファリョンですが、実際生きている環境はあまりにも過酷。おっかない姑やら後釜を狙う愛人たちに囲まれている彼女を見るにつけ、王宮はむしろ魔窟にしか思えません。
とはいえ、魔物が巣食う場所に暮らして、バカ息子たちを抱えながらも相当健闘しているファリョン。大変だけれど絶望しないでほしいと祈らずにいられません。
『シュルプ」全16話中、6話まで見ました。願わくば、少しずつ成長しているファリョンの息子たちがお母さんの頼もしい味方になってくれたらいいんだけどねえ。