【CTOインタビュー】 スタートバーンの最高技術責任者ってどんな人?
こんにちは!スタートバーンの水野です!
遂に、今日から本格的に更新をスタートします!
前回の初投稿も、まだの方は是非ご一読いただけると嬉しいです!!
さて!本格投稿の第一弾では、メンバーへのインタビュー記事を書いてみようと思います!
スタートバーンでは、ブロックチェーンを用いて、アートのためのインフラやサービスを開発しています。エンジニアそれぞれの高度な技術や知識はもちろん、彼らを取りまとめるプロジェクトマネージャーやCTO(最高技術責任者)も、非常に重要な役割を担っています。
今回は、スタートバーンのCTOを務める、中村智浩(愛称:ともさん。Twitter, Medium)に、これまでの経験や、そこから生まれたビジョン、そしてスタートバーンに決めた理由について聞いてみました!
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—— ともさん!いつもお世話になってます!今日は久しぶりのオフラインだからか、若干緊張するのですが(笑)、よろしくお願いします!ともさんについて、いろいろ教えてください!
え!緊張する? 確かに解像度高いね。笑
こちらこそよろしくお願いします!笑
—— 頑張ります!笑
インターネットと共に育つ
—— では、早速ですが、ともさんの自己紹介をお願いできますか?
まず、今34歳で、つまり1985年生まれなんです。実はこの世代ってすごく良くて、いろんな技術の進化のなかで、どんどん世の中が育っていくのを目の当たりにできていたんだよね。5歳の時、まだインターネットは普及してなかったけれど、ファミコンはあった。一応インターネットの前身みたいなものもあって、ディープな家庭だったらパソコンもあった。そこから15歳くらいになると、もうインターネットが普通に流行っていて、Googleもできていたんだよね。
だから要は、2Dのドット絵とかテキストを送るので精一杯だったところから、動画垂れ流しの時代まで、10代から30代だけで全部カバーできている。明らかな進化だったんだよね。今はさ、最初からTiktokがある状態で10代が始まるわけじゃん。
—— 確かに、私が10歳になる頃には既にインターネットがあって、Youtubeで嵐のPVとか観てました笑
そうだよね。笑 でもそうじゃなくて、本当に分かりやすく、どんどんどんどん世の中が変わっていった。すごく良い時代のなかで育ったなと思っている。
俺のおじいちゃんがギークだったんだよね。早稲田の理工学部(名前は当時違ったのかもしれない笑)を出て、大企業に入ったんだけど、あまり経たずに辞めたっぽいの。その時代って、定年まで働くのが当たり前みたいな時代だったんだけど。
—— 確かに!それってすごく珍しいですよね。
それでじゃあ何になったかって言うと、個人投資家なの。これもまためちゃくちゃレアなことだったんだと思う。株式投資をやって結構儲かっていた。それで、その空き時間にコンピューターとかにハマって、機械工作とかやっていたらしいの。本当か嘘か分からないけど、テレビ自作するとか。笑 そういうレベルで機械が好きだったから、パソコンとかも俺の家にあったのよ。だから幸運にも5歳くらいからパソコンに触れることができて、機械とかインターネットが好きになったんだよね。
—— 具体的には、インターネットのどういうところが好きなんですか?
13歳くらいの時にGoogleを見つけるんだよね。まだ日本語版とかも無い時代だったけど、その出来に感動してさ。こんなに簡単に欲しい情報にたどり着けるんだなって。インターネットが出たことによって、情報発信という行為が民主化されたと思っていて—— 。
—— 「情報発信が民主化」...?
それまでは、テレビのプロデューサーとか新聞記者とか、本当に一部の人しか多くの人に対して情報を発信ができない状態だったと思うけど、ブログとかを通じて個人でも情報発信ができる時代になったし、検索エンジンによってその情報に簡単にアクセスすることも可能になったんだよね。
—— なるほど!確かに今では、インスタグラマーとかユーチューバーの時代ですもんね!
そういう進化の時代を経験しながら、俺は「インターネットとか検索エンジンとかを改善したい」という思いが朧げにあった。インターネットに関わるということは、自分の将来の選択肢としてずっと持っていたの。その志があったから、大学も理工学部のコンピューター専攻のところに入って、研究室でも検索エンジンとかビックデータの解析とかをやっていたの。だから、とにかくインターネットが大好きなまま、中学生から大学生まで進んだのよ。
大学時代の劣等感から、自分の本当の役割に気づく
—— すごい一貫してますね。
そうそう。インターネットが大好きなのは、ずっと変わらないね。そのまま大学院の修士までいって、インターネットを改善するための研究をしていた。でも、学部4年の時に、自分は研究開発には向いていないってことに気づいた。周りに自分よりすごい人がたくさんいて、その中では自分がすごく劣ってる人間だったと思うの。
—— いやいやいや。
いや本当に。一時期はそれで病んだりもした。学校に行こうとして家の玄関に行くと涙が出るっていう時期があってさ。やばいじゃん?笑 身体が「行きたくない!」って言ってるみたいな。
—— そんな一面があったんですね!全然想像つかないです。
あったのあったの。本当に学校行くの嫌だったんだと思う。学校に行ったら、自分よりできる人が周りにたくさんいて、「お前遅いね」「まだ結果出ないの?」みたいな。先生にも良い意味で罰せられてたんだよね。
—— でもそれを「良い意味で」って言えるのは素晴らしいですね。
教育だからね。口調は厳しいけど、「この子はもっとできるだろう」っていう気持ちを込めた温かさだったと思うんだよね。
まあでもそういう大学時代を経て、自分はインターネットの基盤みたいなものをつくるよりも、その大好きなインターネットを使ってサービスを作って、世の中の人に届ける方が好きなんだなって気づいた。だから、研究者じゃなくてエンジニアになろうって思ったんだよね。
まず最初は、新卒だから成長できる会社が良いと思ってた。当時はさっき言った大学時代の経験から、劣等感を持っている時の方がすごく成長するなと思っていた。自分が、他の人よりも劣っていて、「辛い、迷惑もかけているし成長しなきゃ...」と思っている方が、自分が伸びていく実感があった。だから就職するときも、周りの人がすごすぎて辛い会社が良いなと思って。自分が使えない存在になれるところはどこかなって探したら、その1つにゴールドマンサックスがあった。あと、この時は英語が喋れなかったから、英語も喋れるようになりたくて。
—— いや、すごすぎますけどね。笑
本当に優秀な人が多くて良い環境だった。笑 そこから、今度はゲーム会社に転職して、そのあと友人と「ウィキッズ」っていう会社を起業した。
「 すごい人たち 」 の才能が救われて欲しい
—— ウィキッズは、なぜ起業されたんですか?
大学の学部から修士の間に研究をしながら、ずっと「世の中に、すごい人はこんなにいっぱいいるんだな」って思ってたんだよね。例えば、スウェーデンの学生が自分よりも良い研究してるとか、リサーチすると見つかるわけよ。もちろんイチローがすごいとか、エジソンがすごいとかは知ってたけど笑、検索エンジンの研究をしていているだけでもこんなにたくさん見つけられるくらい、実は世界にもっといっぱいいたって気づいてさ。そのすごい人たちを応援したいって思うようになった。自分が研究するよりも、この人たちが研究した方が良くて、そういう人たちの才能が救われて欲しいと思うようになったんだよね。才能とかモチベーションとかパッションみたいなものが、ちゃんと救われて欲しいって。
—— 「才能が救われる」って、つまりどういうことですか?
まず、彼らが生活できるべきだと思ったんだよね。自分の好きなことや得意なことで生活ができれば、それにもっと時間を費やすことができるじゃん。バイトしながら夢追いかけるみたいな形が多いけど、生活できるレベルまでお金が稼げるようになれば、一生懸命それに時間と情熱を注げるでしょ。
一度ゲーム会社で働いていたこともあって、特に、ゲームが得意な人がゲームで生活できるようにしたいって思った。
—— ゲームって、あのプレイするゲームですか?
そう。例えばさ、ゲームで稼ぐって言ったら賞金稼ぎみたいなものがあるよね。でも賞金以外でも、ゲームでお金稼げないんだっけ?って。今こそ、ゲーマーが自分のYoutube動画でゲームをプレイして宣伝するっていう形があるけど、当時はあんまりなかったんだよね。その先駆けというのは言い過ぎかもしれないけど、ウィキッズでは、ゲーマーとゲーム会社のマッチングをやっていたんだよね。ゲームが得意な人とゲーム会社を繋げて、「このゲーマーはあなたのゲーム作りに役に立ちます」とか「あなたのプレイは、このゲームのPRに役に立ちます」とか。実際にゲームをプレイすることで生活できた人もいるし、ちょっとした小遣いなった人もいるんだけど、そういうマッチングをやっていた。
決済を簡単にして、幸せな人を増やす
そこで今度は、「幸せにできる人数をもっと増やしたい」って思うようになったのよ。「100人幸せにするんじゃなくて100万人幸せにしたい」みたいな。ウィキッズは全部自己資金でやってたんだけど、それじゃあ何年かかるか分からない。それなら、もっと大きいお金を使ってやりたいと思ったんだよね。その文脈で次にたどり着いたのが、「AnyPay」だった。
—— AnyPayはどんな会社だったんですか?
AnyPayは木村新司さんっていう人が創業した会社で、「決済というものを簡単にする」っていうコンセプトだった。すごく極端に言うと「日本から現金を消すぞ」みたいなことなんだけど—— 。決済のプロセスが簡単で便利になることで、生き方ももっと自由になれば良いなと思った。例えば、お花屋さんをやるとか、フリーランスのデザイナーをやろうとかと思った時に、どうしても支払いというものが付いてきて面倒でしょ。手数料もたくさん掛かったりする。より多くの人が自分の好きなことや得意なことで小規模のビジネスを始めるなら、決済という基盤がもっと便利になるべきだと思ったんだよね。
ここまですごく長かったんだけど、ここでやっとブロックチェーンが出てくるんですよ。
—— あ!逆にここまでは出てこないんですね!意外です。
自分の人生における主題 × ブロックチェーン
= スタートバーン
そこから今度は何を大事に仕事をしようかなって、すごく考えた。それまでは「インターネットを使って人を幸せにする」というのが主題で、業種はそんなに問うてなかった。特定の技術に対するこだわりも特にはなくてさ。俺は広く浅い人間で、全部まあまあできるのよ。
—— まあまあというより、かなりできますけどね。笑
エンジニアで言ったら、フロントエンド、バックエンド、インフラ、ブロックチェーン、機械学習とか色々あるんだけど、特に「ここに尖ってます!」というのもなくて、自分もそれで良いと思っていた。
でも、「インターネットのバージョンをあげることに貢献して、それで多くの人を幸せにしたい!」とは思ったんだよね。それをできるのがブロックチェーンだった。Google が出てきた時が Web 1.0、Facebook が出たときが Web 2.0。そして、今度はイーサリアムが Web 3.0をつくる。
—— 私たちが知っているインターネットから、またさらに進化するんですね!
じゃあその方法で、誰をどうやって幸せにしようかって考えた。インターネットのバージョンを上げるのに貢献したいとはいえ、自分は研究には向いてないって昔に分かっていたから、そのブロックチェーン自体をつくるのは少し違うと思ったんだよね。スケーラビリティとかセキュリティとかプライバシーとか、色々な側面からブロックチェーンを進化させなきゃいけなくて、その役目を担っている研究者もいるけど、自分はそこになりたいわけではない。自分は、ブロックチェーンの最先端の技術を使って、なにかサービスを作って、それをユーザーに届けたいと思った。
そんなことを考えていた時に、一番最初に目についた会社がスタートバーンだったの。
スタートバーンが目指すのは 「 誰にとっても良い世界 」
—— スタートバーンに決めた理由は何ですか?
「手伝ってよ」と声をかけてもらってから、最初は業務委託として関わっていたんだけど、その時からスタートバーンの思想がすごく良いなと思っていた。
アート業界ってさ、それぞれの作品を、いつからいつまで、どこで誰が持っていたかって、ほとんど誰も分からないんだよね。要はデータベースがない。例えば金融とかだったら、銀行と銀行の間にハブになるような団体やシステムがいて、国際送金とかもそこが受け持ってくれる。アートの世界にはそれがないから、「誰から誰にアートを渡す時はここに全部データを書き込んでくださいね」みたいなことができなかった。とはいえ、ひとつの団体がその役目を担ってしまったら、そこが圧倒的な強者になって、手数料が高くなったりするでしょ。で、ここでブロックチェーンなのよ。
—— ブロックチェーンは、どこか1つの組織が運営するんではなくて、いろんな団体で一緒に持っておけるデータベースみたいなことですね!
そうそう。ブロックチェーンという、みんなで持っているデータベースにそういうデータを書き込んでおけば、最終的には誰にとっても今の世界より良い状態にできる。誰にとってもっていうのは、アートを描く人も、コレクターも、その間を受け持っているギャラリーとかオークションとかも。
—— アーティストにとっては何がメリットになりますか?
現状、アーティストは自分の作品が今どこでいくらで売られているのか正直分からないんだよね。最初自分が10万円で売った作品は、今どこかで1億円で取引されていたとしても、気づかないかもしれない。まあ流石にそのくらいの値段になれば、風の噂とかで耳にするかもしれないけどね。笑 でも基本的には知る術がない。それに、10万円が1億円になっていても、自分にはお金が入らないわけで—— 。そうなってしまうと、アーティストとしても悲しいし、やる気がなくなるじゃない?多少でも自分に分け前があった方が嬉しいでしょ。
—— なるほど。自分の作品が今どこにあるのかも検索できるし、自分が知らないところで売買されたとしても、その分のお金が入ってくるってことですね!
—— 逆にアート作品のコレクターにとっては、何がメリットになりますか?
コレクターからしたら、今どこにどんな作品があるのかは、偶然どこかのオークションで出会うとか以外に知る方法がない。自分の欲しい作品が、例えばイタリアの〇〇ギャラリーに置いてあったとしても、情報が公開されていなければ分からないわけよ。だから、目当ての作品を見つけることが、そもそもすごく難しい。
—— コレクターは欲しい作品を簡単に見つけられるようになるし、その分作品が取引される機会も増えて、アート市場が大きくなりそうですね!
そうなんだよね。今はそもそも取引が活発ではないよね。アートって、投資商品または趣味の嗜好品なわけじゃん?どっちにしても、もうちょっと取引されても良いんじゃない?全然取引されてないんじゃないの?みたいな。そもそも、今どのくらいの数のアートが世の中にあって、そのうちの何%が取引されているのか...とかも正直分からない。データがないから、見えないし探せない。これを全部解決できるというのが理想状態で、これに向かってブロックチェーンを使いましょうという思想が、俺にはすごく魅力的に聞こえたんだよね。
あと、泰平さん(スタートバーンCEO)のストーリーも、すごく良いと思っている。泰平さんは、自らがアーティストで、自らがアート業界の問題を認識している。アーティストが東大の院に入ってビジネスを勉強して、起業をして、「ブロックチェーンに行くぞ!」って思う—— 。これって日本に一人なんじゃない?こんなの聞いたことない。笑
彼がやることによって、アート業界に繋がりもあるし味方に付けやすいよね。作ったものを広めていくための最初の突破口を見つけやすいじゃん。自分がアーティストだから、アート業界のペインを知っているし、それを解決するために最初に使ってもらうべき人たちも目の前にいる。
そんな感じで業務委託として働きながら、「正式に入りませんか」っていう話はもらっていて、「さすがにそろそろ入るか」って言って—— 。笑
クリエイターの才能やモチベーションを救いたい
—— やっぱり「多くの人を幸せにする」っていう、ともさんの人生のキーワードにフィットしたんですかね。
少ないよりは多いほうが良いんだけど、特に好きなこと得意なことがある人が好きなんだよね。生きがいを持っている人みたいな。クリエイターってまさにそういう人種だと思うのよ。美大とかさ音大とかに行ったりとか、バンドマンになるとか、アーティストになるとか、何かモチベーションがないとやらないじゃん?こういうモチベーション高い人たちが救われて欲しいんだよね。
でも、彼らのモチベーションにお金がついていかなかったっていう問題は大いにあると思う。本当に絵が描きたくて美大に入って、卒業したけど、食っていけるか分からないわけだよね。彼らのそれぞれのモチベーションを、お金が原因で失うことがないようにしたい。
—— そうですね。アートに関わらず、クリエイターとして活躍できるのは、ほんの一握りというイメージが強いです。もっと多くの人にチャンスがあっても良いのにと思いますね。
とはいえ、アーティストが得をしていても、コレクターとかオークショニアとか、他の人たちが損していたら、その仕組みは成り立たないよね。ブロックチェーンを使ったら、アート業界全体が喜んで盛り上がって、win-winじゃん。そぅいう意味では「多くの人」っていうのもあるけど、やっぱり好きなこと得意なことがある人っていうのは昔から一番好き。
—— それって、さっきご自身で「自分は浅く広くて...」っておっしゃってましたけど、そういう自分にはないものを持っているっていうことも関係しているのかもしれないですね。
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次回は、スタートバーンでの働き方や、チームワークにおける特徴、また事業全体の面白さや難しさについて、お話いただきます!
お楽しみに!
中村 智浩
取締役 最高技術責任者 (CTO)
Twitter, Medium
早稲田大学大学院にてWebや機械学習を研究。新卒で入社したゴールドマン・サックスとエレクトロニック・アーツでのフルスタックエンジニア経験を経た後にウィキッズを創業。その後AnyPayにてCTOを務め、ペイメントサービスや ICO・STOサービスの開発を統括。また、ブロックチェーン系SaaSのスタートアップcatabiraにおいてもCTOを務めた。2020年よりスタートバーンに参画。Web3.0の世界観とフジロックが好き。
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