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ハイテク株主導で上昇、ダウ342ドル高(2025年2月14日)

市場全体の動向

米国株式市場は、2025年2月14日時点で総じて持ち直しの動きを見せています。前日(12日)の市場では、ダウ平均が225ドル安と反落したものの、ハイテク株主導でナスダック総合は小幅ながら上昇しました。しかし、13日(米現地)には、インフレ懸念の後退を背景に主要指数が大幅に上昇。ダウ平均は+342.87ドルの44,711.43ドル、ナスダック総合は+295.69ポイントの19,945.64と、そろって反発しました。S&P500指数も1.04%の上昇を記録し、過去最高値(1月23日)に迫る水準まで回復しました。

この上昇の背景には、インフレ指標と金利動向の影響が大きくあります。12日に発表された1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る加速を見せたため、一時的に年内利下げ期待が後退し、株式市場は軟調に推移しました。しかし、13日に発表された1月生産者物価指数(PPI)ではコア指数の伸びが落ち着いたため、インフレ鎮静化への期待が高まり、米国長期金利が低下。これにより、ハイテク株を中心に買いが集まりました。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)は1月末のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を4.25~4.50%に据え置き、インフレの「やや高止まり」を指摘しながらも、経済指標次第で政策調整を行う方針を示しています。市場では依然として「今年後半に利下げに転じる」との見方が強く、金利上昇懸念がやや和らぎつつあります。

地政学的リスクも市場心理に影響を与えました。ウクライナ停戦交渉開始の合意が報じられたことで、リスクオフムードが後退。一方で、トランプ米大統領は「相互関税」の導入を発表し、これが一部のセクターに影響を与える可能性があるものの、4月以降の発動見込みとされ、即時の影響は限定的と見られています。

セクター別の動向

セクター別のパフォーマンスを分析すると、特に大きな動きが見られたのは「自動車・自動車部品」関連でした。テスラ(TSLA)やゼネラル・モーターズ(GM)などの主要自動車株が買われ、セクター全体を押し上げました。GMのCEOが「関税対策で影響の50%軽減が可能」と発言したことも市場の安心感につながったようです。

一方、「不動産管理・開発」セクターは13日に下落が目立ちました。通常、金利低下は不動産セクターにとってプラス要因となりますが、今回は個別の悪材料や利益確定売りが影響した可能性があります。また、「小売セクター」もインフレ加速による消費減速懸念から売られました。Amazonなどの大型小売チェーンの動向が注目されています。

ハイテク、素材、金融などのセクターは、おおむね1%前後の上昇となり、全体的に堅調な動きを見せたものの、突出した動きは限定的でした。

銘柄別の動向

テスラ(TSLA)

テスラの株価は13日に前日比+5.8%と急伸しました。直近1ヶ月で約10%下落していたこともあり、リスクオンの流れの中で買い戻しが進んだ格好です。EV市場の成長期待は引き続き高いものの、バリュエーションは依然として割高であり、PERは実績ベースで約175倍、来期予想でも92倍と高水準にあります。今後の株価の持続性は、競争激化や景気変動の影響をどの程度受けるかにかかっています。

エヌビディア(NVDA)

エヌビディアは+3.2%の上昇となり、135.3ドルで引けました。AI向け半導体需要の急増を背景に、直近期の売上高は前年同期比+152%、EPSは+235%と驚異的な成長を遂げています。現在のPERは53倍ですが、成長性を加味したPEGレシオは0.9と、割高感はそれほど強くありません。今後の焦点は、2月下旬に予定されている決算発表の内容となり、AI市場の持続的成長がどこまで評価されるかがポイントとなります。

アップル(AAPL)

アップルは+2%の上昇。CEOのティム・クック氏が2月19日に新製品発表を示唆したことが好材料となりました。バリュエーションはPER38倍、予想PER29倍とやや高めですが、サービス事業の成長や強固なエコシステムが評価されています。現在の株価は過去最高値圏にあるものの、大きな過熱感はなく、50日移動平均線を維持して推移しています。

CVSヘルス(CVS)

CVSは、好決算を受けて+2%超の上昇を記録しました。医療保険部門のコスト懸念が和らぎ、業績改善が期待されていることが株価の支えとなりました。バリュエーションはPER10倍台前半と割安であり、安定したキャッシュフローを背景に、今後の成長と株主還元の拡大が期待できます。

筆者の見解

変動の大きかった銘柄の中で、中長期投資に適していると考えられるのはアップル(AAPL)とCVSヘルス(CVS)です。

  • アップル(AAPL)は、エコシステムの強さとキャッシュフローの安定性から、長期保有に適した銘柄です。短期的な調整局面では、230ドル前後での分散買いを検討し、目標株価を270ドル程度とします。

  • CVSヘルス(CVS)は、バリュエーション面での割安感があり、70ドル付近での買い場が有望です。目標株価は85〜90ドルとし、60ドルを下回る場合は撤退基準とします。

総じて、米国市場は金利低下期待と地政学リスクの緩和を追い風に強含みの展開となっています。ただし、今後もインフレ動向やFRBの政策判断次第で相場が変動する可能性があるため、リスク管理を徹底しながらの投資が求められます。


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