ルーツミュージックを感じるためニューオリンズを旅した話〜DAY 6〜
明くる日。
朝イチ目が覚めた瞬間に僕の心は固く決心していた。
「今日は休もう!!」
連日、夜中まで飲んでライブに行っていたのとここまでの心労、時差ボケ、二日酔いなどの疲れがピークに達していた。
とりあえず日中はホテルでまったり過ごして体力回復に努める事にした。
若干のホームシックにも苛まれた。
毎日ハンバーガー、サンドイッチ、ピザみたいなものばかり食べていたので異常に日本食が恋しくなり近くのスーパーに朝ごはんの材料を買いに行った。
持ってきていたインスタント味噌汁とサトウのご飯、そしてスーパーでサーモンと醤油を買い、サーモンを塩焼きして朝鮭定食を作った。
だがサーモンの種類が全然違った。
脂がのりまくっている。
ドュルンドュルンの身だった。
どこまでもアメリカが付いて来て逃れられない運命なのか。
ノーモアアメリカと心の中で叫んだ。
そうこうしているうちに夕方になりソファでくつろいでいるとドイツ人の
ミッシェル(男)が話しかけてきた。
ヘイ!今夜は何するんだい?
一緒に遊びに出かけないかい?
君と同じ日本人の女の子も一緒だぜ!
的な事を言ってきた。
はっきり言って疲れが限界にきていてここまでの滞在でほとんど目ぼしいライブハウスは行っていたので今日は疲れてるからやめとくよ的な事を返した。
すると
へ〜〜〜〜イwww
勘弁してくれよ〜
行こうぜ〜!
と返ってきた。
どうやら彼らにとって疲れてるは行かない理由にならないみたいだ。
まあせっかく誘ってくれたので気力を絞って遊びに出かける事にした。
そしてその日本人の女の子(名前は忘れたので仮で花子と呼ぶ)とミッシェルと3人で街中に繰り出した。
案の定、初日に行ったライブハウスで同じ様なライブが繰り広げられていた。
正直結構飽きていたがそれなりに飲んだり話したりライブ見たりして楽しんだ。
そんな中、あるバンドが演奏していてぼーっと見ていたら知らない50歳くらいのおばちゃんが満面の笑みで、踊ろう!と手を差し出してきた。
速攻でうわ、きっつ!と思ったのだがあまりに満面の笑みだったので断るわけにも行かず踊る事にした。
もちろん、女性と手を繋いでステップをする系の踊りは踊った事ない。
必死で今まで見たアメリカ映画のそれっぽいシーンを思い出し、周りの踊ってるのを真似しながら踊った。
こちらもエンターテイナーの端くれである。
すぐに要領を掴んできた。
段々ステップは軽やかに、そして激しくなり、繋いだ手をあげて女性をくるくると回す大技さえも繰り出す様になった。
調子に乗っていつもより多めにおばちゃんを回してやった。
いつもがどれくらいか知らんけど。
そして演奏が終わり笑顔でサンキューと言い、元いた所に戻るとある事に気付いた。
ミッシェルと花子がいない。
ライブハウスを見渡し探すもいない。
消えた。
あいつらしっぽり二人でどっか行きよったのだ。
あのくそドイツ野郎め!!!
しょうがないので体力も尽き、やることもなくなった僕は普通に一人でホテルに帰った。
帰りのタクシーからの車窓からの景色が嫌に目にしみた。
続く
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